”辻元よしふみの世界”からあなたは帰れなくなるかもしれません。


不定期日記 2008年

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2008年12月31日(水)
 ということで、2008年もいよいよおしまいですが、今年はなにしろ彩流社さんから新刊「スーツ=軍服!?」を出しましたし、想像以上にあちこちに書評も紹介していただきまして、本当に光栄なことでした。1月に出る「タミヤニュース2月号」にも載せていただく予定です。
 その出版が縁で、またいろいろな方と知り合うことができました。結局、世の中のことは何事も素晴らしい出会いから始まる、と思います。多くの方々にお世話になりましたが改めて御礼申し上げます。
 来年も出版準備している企画もありますし、またよい出会いがあることを祈っております。皆様もよい新年をお迎えください。
 
 

2008年12月27日(土)
官庁は御用納め、と聞いて驚いている私でございます・・・ええ? もう休みなの? でも中央省庁は5日から国会が始まるから、お休みどころじゃない人もいるだろう。しかし一方で、もう来年の1月5日までまったくお休みな人もいるのだろうなあ。羨ましい。
 私ですか? もちろんずっと夜勤です。年明けも早々に夜勤で、ただちに宿直もありますです。しかし、40過ぎると宿直も身にしみてきます。若い頃はなんでもないんですが。とにかくニュースがないことを望みます。ニュース無用。世の中なにもないこと希望。昨年の今ごろはインドでブット氏暗殺、ということでごちゃごちゃに。その前は突然のフセインの処刑でまた無茶苦茶に。その前年は山形で特急脱線、その前年はスマトラで大津波・・・けっこう年末にいろいろあったりします。今年は勘弁して下さい。
 ◆  ◆  ◆
 それはそうと。サローネ・オンダータで頼んでいたタキザワシゲル・モデルのスーツが出来上がりまして。前にも書きましたが英国・ハダースフィールドのソーントン&ジョンなる機織り屋さんの80年代の生地を使用しまして、ちょっと寸足らず気味だったのですが、ベストも出来ました。これが渋い。実にいい感じになりました。滝沢さんのニューモデルである最新鋭感覚と、なにかヴィンテージもののような感覚が不思議な味わいになりました。
 裏地にちょっと渋いワインレッドを使ったのがまた、いい。いやあ、想像よりずっといい感じです。優雅なラペル、出しゃばらないがしっかりした造形、まことに美しいです。
 こちらのジャケットには裾に鎖が仕込んである、と聞いておりましたが、ありますあります、これがまた渋い。ズボンの裾に鉛仕込んでいる某首相もいますが、これがなかなかいいものですね。確かに妙にひらひらすると格好悪いものです。
 それから、すごく立派な木製のハンガーを付けてくれました。これはまたすごい。これだけでかなりなものじゃないだろうか。
 いやあ、こうなるともう余所に浮気できないなあ・・・。

2008年12月25日(木)
 飯島愛さんの訃報は驚きました。なにかこう、孤独の付きまとう人だったような気がします。
 ◆  ◆  ◆
 今年も余日すくなくなってきました。夫婦そろって次の本の準備に明け暮れている感じですが、ゆうべは珍しく舞浜のホテル舞浜ベイでクリスマス・ディナーとしゃれこんでみました。いやあ、私もバブル世代ではありますが、実際のバブルのころはそんなことは考えたこともなく、初めてですね、こういうのは。しかし、なかなかいいもんですね。さすがにクリスマスの舞浜近辺はきれいです。
 帰った後、ぼーっとテレビを見ていたらショップチャンネルでコシヒカリとサケの販売をしており、妻がなにげなく注文。そのあと、午後2時ごろになって今度はフランス製のシリコン調理用具を売っていて、またほしくなった妻が電話。するとオペレーターさんが「今日は3点目のお買い上げですね! ありがとうございます。ついては、電話出演しませんか」ということで、うちの妻、ショップチャンネルの電話出演、2回目です。
 「緊張する!」と騒いでいましたが、本番はなかなかそつなくやっておりました。まあさすがに舞台度胸はあるほうなんで。
 ということで、なかなか濃いクリスマスイブの一日となりました。
 ◆  ◆  ◆
 最近、年末のセールで手に入れたもの。@イタリア・プラテージpratesi社の表裏両面から開けられる小ぶりのダレスバッグ。本当に素晴らしい色合い。赤みがかった茶色の発色が群を抜いています。ちょっと繊細なので扱いには注意を要しますが。中に小さなライトが付いているギミックに驚きましたAボリオリの大見返しのスーツ。一見すると普通のネイビーのストライプスーツですが、実にいい着心地です。なんかニットのようですね。やわらかくてノンストレス。バルカポケットも単に斜めになっているだけのものが多いですが、ここのは本当にチーフが差しやすい。なんか微妙な違いがあるんでしょうBデンツDENTSのベッカリー手袋。これはもう有名なものですが、なにしろ半値に近かったので購入。
 上記の物はみんなほぼ半値で購入しました。数年後には消費税10%だそうですから、なにか買うなら今のうちか(?)。

2008年12月22日(月)
あることが契機となって、新橋にある「タミヤ・プラモデルファクトリー」さんに、私たちの出した書籍『スーツ=軍服!? スーツ・ファッションはミリタリー・ファッションの末裔だった』(彩流社)を置いていただくことになりました。書店に本を置く場合、また模型屋さんに模型を置く場合と違い、モデルショップに本を置くには、書籍の流通ルートと違う手続きが要るので、この場合はタミヤさんと版元の彩流社さんが直接、契約する必要がありましたが、このほど調った次第です。
 このタミヤプラモデルファクトリーというのは、タミヤの全製品、約4000種類がすべて手に入るという田宮の直営店で、新橋と横浜にあります。
http://www.tamiya-plamodelfactory.co.jp/shimbashi/index.html
 彩流社の担当の方も、だいたい私と同世代で、まあ30後半から40代、50代なんて人にはこたえられないというか、懐かしさがこみ上げるというか、そんなところだと仰っていました。私はまだ行っていないのですが、これは行ってみませんと。
 考えてみれば、私が最も模型を作っていたのは中学生時分です。高校、大学ではやめてしまったのですが、社会人になって3年目ぐらいだったか、たまたま5月に3連休かなにかをもらったので、リラックスして、その当時、すんでいた千葉市の郊外を散歩しまして、ふと一軒のおもちゃ屋さんに遭遇したのです。
 十数年ぶりの懐かしさに、ふと立ち寄りまして、それであまりの存在感にふと出来心で買ってしまったのが、当時のタミヤの最新作だった「タイガーT後期型」でした。いわばこの製品で、タミヤの戦車模型のリバイバルが始まったとされる傑作です。
 それから、出戻りモデラーとなって、昔、作った物、昔はなかったのに製品化された物、を夢中で追いました。ほんの数年でおそらく100や200は作ったと思います。
 最近はまた、執筆に忙しくてあまり作っていませんが、押し入れにはタミヤやらイタレリやらの箱がぎっしり。それに新製品が出るとついつい買い込んでしまいます。
 実際、イラストレーターである妻のイラストの資料になるので、必要に迫られると作っています。ただ、絵の資料用には、ディテールが分からなくなるので塗装はしないことにしています。
 最近の若い人は模型を作る人が少ないようですが・・・しかしなんですかね。ケータイとネットばかりやってても、日本なんて本当に何も生産性がないと思いますけどね。だってネットなんて金にならない商売の典型でしょ? 
 なんとかした方がいいと思いますがね。

2008年12月20日(土)
キアヌ・リーブスの新作「地球が静止する日」を見ました。共演はジェニファー・コネリー。1951年の名作SF[地球の静止する日」(なんと邦題が一字違いです)のリメイクです。話は1928年、というから第一次と第二次世界大戦の間の短い平和な時代、カラコルム山中で一人の登山家が宇宙から飛来した謎の物体と遭遇するところから始まります。
 それから数十年後の現代、科学者のベンソン博士(コネリー)は突然、合衆国政府の依頼で宇宙から迫る遊星の調査に加わることになります。しかしそれは遊星ではなく、意志をもった宇宙船で、中から現れたのは人類そっくりの異星人クラトゥ(リーブス)でありました。全身が銀色の巨大なロボット「ゴート」を従え、圧倒的な科学力を持つこの異星人は、はたして平和の使者なのか、それとも侵略者なのか・・・。
 ということですので、戦後間もない時期に作られたオリジナル版と大筋は同じなのですが、前作との大きな違いは、オリジナルのクラトゥは基本的に地球人の核戦争をやめさせようとやってきた善意の異星人だったのに対し、リーブスの扮するクラトゥは何を考えているのかわからないところです。実際、彼の立場は一種の審査官とか裁判官で、地球人というものが生存に値するか、それとも絶滅させるべき劣等種族なのかを見極める使命を帯びているところであります。その一存で「処刑」が始まるのに、何も知らない合衆国政府は愚かな行為を繰り返すんですね。
 前のオリジナルが米ソ冷戦を思わせる設定でしたが、今回も時代性があり、明らかに人類の文明の行き詰まりを意識した内容になっています。そして、今の文明を引っ張ってきたアメリカというものへの批判的視点も感じます。
 いろいろ興味深いところがありましたが、クラトゥが「人類の指導者に会いたいと思ったが拒まれた」というと、ベンソン博士が「あら、あの人たちは違うのよ。本当の指導者に会わせるわ」といって聡明なノーベル賞学者に引き合わせます。「あの人たち」とは合衆国政府の大統領とか国防長官とか、役人たちです。彼らは自分たちが地球の指導者で権力者だと思っているが、「あの人たちは違うのよ」というわけです。
 本作では、ベンソン博士の夫は中東で戦死したことになっていますが・・・このへんも含みがあるところです。
 ゴートは前作で未来型ロボットの典型として有名になりました。1951年ですから衝撃的だったのも当然です。今回も基本的にオリジナルによく似た姿ですが、人類に攻撃を仕掛けるやり方はまことに意外なやり方です。
 キアヌ・リーブスが得体のしれない雰囲気で異星人そのものに見えます。コネリーもそろそろ40近いと思いますが相変わらず魅力的です。その連れ子役でウィル・スミスの実子が出演していますが・・・うまいんですけど、個人的にはちょっと邪魔だったかな(?)。まあそういう役どころなんで仕方ないですか。
 おそらく私としては今年最後の映画になると思いますが、ヒューマンなドラマだったオリジナルとはまた違う味で楽しめました。

2008年12月10日(水)
 映画「ウォーリー」を見てきました。一連のフルCGアニメの最新作ですが、これがなかなかすごい、というか、かなり涙腺が緩みました。見事にやられましたはい。
 22世紀、環境汚染のために地球を捨てて宇宙船で逃げ出した人類。残ったのはごみ処理ロボットのウォーリー一台のみ。ところが700年もの間、人類が残したミュージカル映画など見るうちに感情が芽生えてしまった。・・・とそこへ、地球探査にやってきたロボット。ウォーリーより格段に進んだ未来型ロボットのイヴ、ですが、ウォーリーは「彼女」に恋をしてしまったのであります・・・。
 やがてイヴを迎えにきた宇宙船とともに、ウォーリーは人類の子孫たちが生活する宇宙船に向かうのでありますが、さて。
 とまあ、けっこう筋書きは予想できるのですが、演出が素晴らしく、夢中になってみてしまいました。日本語吹き替え版で宇宙船の艦長を草刈正雄がやっているのですがはまっています。ああ、ふつうは吹き替え版は見ないのですが、この映画の場合、ロボットたちはほぼセリフがないのであまり影響ありません。英語版ではシガニー・ウィーバーが出ているようであります。
 その艦長がなかなか骨のある人物で、あるシーンではあきらかに「2001年宇宙の旅」のパロディーになっています。なんかほかにも見たようなシーンがいくつかあります。
 ということで、決してお子様向け、という内容ではなくて、むしろ子供ではちょっと難しいかもしれません。
 宇宙の映像も美しいし、ロボットたちの「演技」ぶりも、実にこう、感動的です。よくできています。ああいう感情表現を演出で見せるのは難しいと思いますので、細かいところまで非常に緻密にできている、ということだと思います。
 なお、本作は冒頭で5分ほど別の短編映画がおまけで流れます。これも面白いのですが本編とは無関係の、まったくのおまけだそうです。

2008年12月06日(土)
 暑くなったり寒くなったり、体調崩しますね・・・。ところでこのぐらいになると、あちこちから年末商戦のダイレクトメールがくる人も多いでしょう。
 今日も何通か来たのですが、その中で・・・あらら、ひいきにしていたあるお店が年内で閉店というお知らせ。最近、多いですよね、けっこう気に入っていたお店とかレストランとかが姿を消している、というの。まあ、ビッグスリーまで倒産しそうな今日この頃ですから無理もないのですが。
 ◆  ◆  ◆
 小学館の「メンズプレシャス」なる新雑誌を読みました。なかなか硬派な感じで、ひさしぶりになかなか面白いと思いました。ちょっと方向性がまだはっきりしませんけれど。
 とにかくまじめなのが好感持てます。この不景気な時期、おちゃらけた乗りのファッション雑誌の類は不快感があります。この雑誌は特定のブランドについてよく調べ、史実も掘り下げていてなかなか面白い、と。
 ただ少しイタリア崇拝のにおいがするのと、やはりどうしても特定の権威者の意見に偏る面があるのはよろしくありません。活字媒体である以上、ジャーナリズム精神が必要で、受け売りではなく、懐疑的なぐらいでちょうどいいと思います。
 とにかく内輪受けの、同人誌みたいな感じの雑誌はイライラします。特定のブランドやセレクトショップを持ちあげすぎる雑誌など、広告収入の裏事情ばかり透けて見えて興ざめだったりする。読者は馬鹿じゃないので、スマートにやらないといけません。
 また、いかにも「ファッション馬鹿」という作りの物も退屈です。そんなに二十四時間ファッションばかり考えている人間なんて明らかにクズです。政治も経済も外交も、文学も歴史も音楽も、何事にも相応の教養がにじみ出るようなライターさんが少ない。これはいい、買え買えと無責任に繰り返すだけなら露店の香具師と変わりますまい。
 と、そんなことをちょっと考えました。

2008年11月28日(金)
先日ですが、ウチの会社も苦しいながら(いずこも同じです)ボーナスは出るようなので、意を決しまして(?)銀座、虎屋ビルのサローネ・オンダータでタキザワシゲル・モデルのスーツというのを頼みに行きました。
 ちょっと別の用事があったので妻も同道いたしましたが、この妻というのがイラストレーターですしいろいろ、軍服姿の男の絵など描いてもらっているので、かなり女性として「目が高い」と思うんですが、積んである生地の山を見て「あれがいい」と選び出したのがヴィンテージの英国製の生地。ハダースフィールドのThornton Johnという会社のものらしい。今時はない感じの渋い雰囲気の生地です。いいねえ、それ、ということで、お店の林さんも「お目が高い」と仰るのでそれで即決。いわゆる「有名ブランド」にまったく興味がない私としては満足です・・・後で調べると確かにソーントン・ジョンという会社がハダースフィールドにあるようですが、もちろんサイトもなく、詳細は不明。おそらく80年代ごろの生地じゃないか、というのですがよく分かりません。とにかく当節のしゃらしゃらした生地とは違う感じです。
 で、このところメンズEXなどで見かけた新タキザワ・モデルにしてもらうことにいたしました。つまり襟が三角形にとがっていて、ぐっと腰も絞れたなかなかに鋭いシェイプのものです。
 ゲージ服を着て測るのですけれど、これがもう徹底的にやってもらいました。なんとまあ、3時間もお邪魔してしまいました、はい。これおど丁寧に測ってもらったのは初めてじゃないかしら。実に嬉しいですね。
 3週間ほどでできるとのこと。これは楽しみです。

2008年11月24日(月)
もうすぐお正月・・・というのは早いですが、餅を焼くのがうまい人、というのがいます。せっかちで、イライラしているような人が上手である。つまり、癇性に「まだかまだか」といってひっくり返してばかりいる。おかげで餅はけっして焦げ付くことなく、裏表とも綺麗な配分で焼ける・・・で、うちの祖父がそういう人だったのですが、この人が、ある年の正月に、なかなか年賀状が届かないのでイライラしだした。で、怒った揚げ句、たまたまやってきた新聞配達の人に「おい、新聞屋、早く年賀状もってこい!」と怒鳴りつけたというんですが、いやあ、驚いたでしょうね、言われた方は。もちろんこれは、分かっていての八つ当たりで、不合理なことは承知の上だったんでしょう。
 しかし、たとえばですね。正月に年賀状が来ないのに怒る。で、30年以上もたって、なぜか郵便局じゃなく新聞社の幹部を殺してやろうと思う。それも、もう10年も前に退任したOBを探し出して、実行する。それで「いやあ、30年前に年賀状が来なかったから、新聞社のOBを殺してみました」と言う。こんな話があったとして通用するだろうか?
 例の、厚生省次官襲撃事件の小泉容疑者の言い分って、そんなもんですよね?
 私も保健所で犬や猫がかわいそうに殺処分されることには大いに憤りを感じていますけれど、保健所に対して腹が立つのではなく(彼らも嫌々ながら持ち込まれるものを処分しているので、好きこのんでやっているのではなく義務だからやらされているわけです)、そのように処分するしかないほど溢れかえる原因であるところの無責任な飼い主やら、どんどん生き物を量産しては売れないとなると処分してしまうペット産業やらに怒りが向くのであって、まして保健所の統括をしている中央官庁の事務次官、なんてものを思いつくかといわれるとなんか違うとしか思えず、しかも実際には管轄が違うとなればなおさら筋違いで、要するに簡単に言いまして・・・この人、ちょっとあれですかね。救いようがないほどものが分からない人? 本人の言い分を信じれば、ですが。
 おそらく精神状態に問題あり、でしょうが最近の傾向として、これだけ計画的になにかやった人間には酌量はつかないので、それで逃れることは出来ないでしょうが。
 なにか、あまりに言っていることが的はずれなので、こちらがイライラしてきます。

2008年11月17日(月)
 あるサイトで「彼氏が軽自動車に乗っていて恥ずかしい。隣にでかい車が並ばれるとうつむいてしまう。車のために別れることも考えている」などと書いた女性がいて、それで「今時、車がステータスなんて馬鹿なんじゃないの」といった批判が2000件も寄せられ炎上した、という話を読んだ。おそらく、その彼氏というのは軽自動車だから、というだけではなくて実際に、そのほかの点でもスケールが小さいから愛想を尽かされてるのじゃないかと推察した。
 というのも、けっこうな金持ちなのに軽を乗り回している人も今時は多いからである。ウチの会社でも意外に多い。節約の問題もあるが、最近の軽は性能がいい、それで小回りが利くとなれば、外車信仰の明治時代みたいな旧弊な人でない限り、軽にわざわざ乗り換えるのはむしろ理の当然であろう。
 浦安などに住んでいると、よそもののベンツやらBMWやらが、のろのろと走っているものである。それを勝手知ったる軽自動車で豪快に追い抜くのは実に爽快である。ことに幅を気にしてすぐに動けなくなる大型車をすりぬけ、市民しか知らない細いぬけ道など行くのは腹の底から快感で、それをまたついてくる県外車などをバックミラーで見ながら「バカだねえ、こっちにきてもとんでもないところに出ちゃうぞ」と言いながらぶっ飛ばす。けっこうなことである。
 なぜか知らないがうちのミラ・ジーノ旧型は非常によく伸びる。ぐっと踏み込むとえらくスピードが出る。推測だが、もう生産打ちきりが決まって最後の受注、というときに頼んだ車なので、ほとんど注文生産に近く、工作も丁寧で、同型のものより性能が若干、高いのではないかと思う。それでベンツやらアルファロメオやらを追い抜くのはまことに面白い。エンジンの性能ではなく、道をよく知り信号の位置を知っているから出せる高速、というものがある。
 思うに、上記の彼氏というのは、このような確信犯でなく、金がないので軽、などという発想の男だからバカにされるのだろう。人間にはなんにせよ信念が必要である。
 ◆  ◆  ◆
 さいきんポプラ社のコミックブンブン連載の「大仏刑事」というマイナーな漫画を発見して愛読している。このぐらいマイナーだと(しかしブンブンでは人気が高いそうだが)私も安心して読める。漫画など読むのも久しぶりだが・・・ブラックジャックとかトイレット博士以来じゃないだろうか。私は小学校の低学年まで漫画を大いに読んだけれど、高学年ではもう卒業してしまった。それ以来であろうか。

2008年11月13日(木)
 映画「レッドクリフ partT」を見てまいりました。レッドクリフ=赤い崖、すなわちあの「三国志」から赤壁の戦いをテーマにしたジョン・ウー監督の新作です。
 なにしろ三国志が元ネタなうえに、いろいろ脚色はあっても基本は史実なので、なにがどうなってどうなるか、についてはどなたもすぐにわかる話。だから、どのぐらい「あの三国志」を映像化しているか、が問題なわけでした。
 で、どうでしょう。私はディープな三国志ファンではないと思います。どちらかというと日本史と西欧史が得意分野です。あ、なにしろ「戦史・服飾史研究家」という肩書を自称しておりますので。しかし正直、中国についてはやや、弱いです。
 と言いながら、実は私は小学生低学年時代の最大愛読書は三国志演義でした。ほかに愛読してたのは太閤記とか平家物語、あとは吉川英治とか山岡荘八でした。
 私は小学3年生のとき、三国志を読んで、高潔な義兄弟三人ではなく、実は曹操にいちばん惹かれたのです。そして、「権謀術数」という単語を覚えました。目的を達するには、手段を選ばず他人を欺く必要があること、また権力者は利用すべきこと・・・を学んだのです(!)。以後、馬鹿にしていた学校の教師なども徹底的におだてて利用するように考えが変わりました。不良がばかに見えるようになった。刃向うのではなく利用すればいいのに・・・そんな薄笑いを浮かべるいやなガキになりました。それはみんな曹操、あなたのせいです! で、次点が諸葛孔明でした(笑)。
 そんなわけだから、自分の中では温度は低いながら、そこそこ三国志のファンではあると思います。で、その感想としては・・・「よくできている」。そう思います。損なっていない、と思いました。金城武の孔明が非常にいいです。ちょっとユーモラスで大胆不敵な諸葛孔明は、ともするとまじめな秀才になりがちな従来の像より面白い。
 孫権がなかなか魅力的でした。原作よりも魅力的かも。周癒などは原作以上にヒーローになっています。張飛、関羽は出番少なめですが、ちゃんと活躍しています。新野が陥落して趙雲が劉備の子供を取り返す場面から始まりますので彼も大活躍します。配役も適格。戦闘シーンもやりすぎてマンガにならないけれど、英雄豪傑は超人的に強い、という配分をうまくとっていいると思います。ちょうど史実と講談の中間ぐらい、のバランスでしょうか。うまいと思いました。
 曹操は「始皇帝暗殺」のベテランが演じていますですが・・・なんか曹操に影響を受けた私としては(?)もうちょっとスケールの大きい人物に描いてほしいな、と感じたんですが、世間的にはあんなもんでいいのかな、悪役だから。
 いちばん驚いたのは孔明の陣立てを本当に視覚化しているところです。昔から三国志では孔明の戦術がいろいろ描かれますがなんだか本当はわからない。ジョン・ウーはそれを目で見えるようにしてしまいました、すごいです。あれが史実じゃないかもしれないが、三国志のビジュアルイメージがひとつ変わるかもしれません。
 赤壁の戦いは、曹操にとって「関ヶ原の戦い」みたいなもの。天下取りに王手をかけた戦いでした。徳川家康はそこで勝利して天下をとりますが、はて曹操は? 関ヶ原の場合は両軍がほぼ20万の軍勢で互角。曹操と劉備・孫権の連合軍は80万人対5万人と普通に考えて曹操の圧勝が当然。それがさて、どうなりますか・・・。
 続きは来年4月公開のパート2へ。これならぜひそちらも見てみたいです。
 

2008年11月11日(火)
 「オウム真理教の麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚(53)側が10日、東京地裁に再審を請求したことがわかった。(読売新聞)」という一報がきたとき驚きました。いや、戦術としては予想の範囲内ですが。前の宮崎死刑囚の場合は、再審請求しそうなのでやっちゃった、というわけでしたが、こっちは不意打ちだったんでしょうか。もっとも、関連裁判が続いている間、麻原死刑囚の執行はできない、というのは定説でありましたけれど。
 ◆   ◆   ◆
 船橋市の妙典駅近くに「オランダ家」というケーキ屋さんがあります。前からチラシで見て知っていたので、一度、いきたいと思っておりましたが、先日、ついに行ってきまして。それで試しにいくつか洋菓子を買い込みましたけれど・・・うまいですね、これが。いやこれは非常にこう、素材がいいんでしょうけれど。久しぶりにおいしいな、と。
 そういうわけで今年のクリスマスケーキはここで買おうかな、という話になっています。
 このオランダ家というのは千葉・房総半島に拠点を置く洋菓子製造・販売会社ですがおそらくもっとも東京に近い拠点が船橋あたり、ということでまだまだそんなに知られてはいないと思います。とにかくなんで「オランダ家」なのか、と調べますと・・・同社のHPによりますと、要するになんの理由もなく、なんとなく自然がきれいで健康なイメージだから、というだけらしい(笑)。しかしえらいのは、ちゃんとオランダ大使館に申請したんですってね。そしたら使用条件として「とにかくおいしい菓子を作ってください」といわれたそうです。なんかこう、レイドバックしたいい話です。
 ◆   ◆   ◆
 それにしても、そろそろ年賀状も買わないと。年末ですね。私は昨日からマフラーを使っています。薄手の手袋も持っています。夜勤の時はこのぐらいほしい感じになってきました。コートはまだ。まあ、けっこう正常な冬が来そうな感じですか、今年は。



2008年11月10日(金)
オバマ大統領の当選でアメリカの新聞が軒並み売り切れ、なんと新聞の増刷というあり得ないことまで起こったとか。なるほど・・・新聞ってのは今や「流れない」媒体の代表ですから。流れ去らないで居てほしいことは新聞で保存したい、のですね。
 ◆  ◆  ◆
 ぜんぜん関係ないですが、日本のウィキペディアの「英国の軍服」という項目で拙著「スーツ=軍服」が参考図書として挙げられていてびっくりしました。いやあ、驚いた。やっぱり日本じゃこういうことを書いている人っていないんですね。どなたか存じませんが取り上げていただいた方、嬉しいです。
 ◆  ◆  ◆
 ぜんぜん関係ないですが、なにかの記事で「入場者が本当に一人もない場合、映画館は上映を中止する」というのを読みました。ただ、自動的にフィルムを管理しているので途中で映写中止とかは出来ない、単にスクリーンを映さないそうですが。
 一度、ある映画で、ある映画館で、私と妻の二人だけ、貸し切り、ということを実際に体験しました。後にも先にもそれ一回きり。十人ぐらい、というのも何回かあります。
要は、そういう映画がすき(つまりマニアック)なんでしょうが。
 ◆  ◆  ◆
 新丸ビルの会員になって約一年、得点をためたタダ券が4000円ほどたまったので、それを握りしめてオーストラリア料理のレストラン「ソルトsalt」に行きました。
 いやあ、最高ですね。ちょっとエスニックなんだけど洋風、というオセアニア調がいいです。いちばんいいのは、真っ先に「なにか苦手なものやアレルギーはありませんか」と向こうから聞いてくれたこと。あれはえらいです。妻が「チョコ・アレルギーです」というと、非常に気の毒がってくださいました。「ほとんどのお菓子に入ってますものね」。
 で、最後のデザート・・・よくあるお皿に色づけで描いてあるソース。チョコかな、と思うとなんと「バルサミコ酢です」とのこと。なるほど。見た目はそっくり・・・ちょっと酸っぱいですが。

2008年11月04日(火)
ゆうべのニュースは小室哲哉一色でした・・・毎年2億円の定期収入があってもあんなていたらくなんですか。それに、あれほどの売れっ子だった人でも、そんな程度の収入なんだろうか、という感じもいくらかあります。いずれにしても「奢れるものは久しからず」というだけのことですが。しょせん20世紀の音楽だったな、という感じもありますし。
 それでいよいよ今日はアメリカの大統領選挙ということです。普通にいけばおそらくこうなるだろう、というのはどなたもあるでしょうが、それはしかし結果は分かりません。
 日本じゃ麻生さんの不支持率が支持率を上回ったなんて話も。小沢さんが「選挙を打つなら就任直後、国会冒頭しかなかった。彼は機を逸した」と批評したそうですが、その通りの展開の模様。まあどう考えても条件がよくなることはあまりないだろうし。
 

2008年10月31日(金)
映画「ブーリン家の姉妹」を見ました。英国史上有名なアン・ブーリンの物語・・・いや、厳密に言いますとその妹であるメアリー・ブーリンの物語です。原作小説はメアリーの視点による一人称小説だそうで、現代もThe other Boleyn girlすなわち、「もう一人のブーリン家の娘」というもの。
 実際、アン・ブーリンはかなり有名ですが、その姉妹となるとかなりのマニアか研究科じゃないと知らないはず。実際、映画では妹となっていますが、はっきりはしないが、本当は姉であったらしい。そして、姉妹そろって英国王ヘンリー8世の愛人となり、メアリーは日陰の存在で終わったけれど、アンは正妻の王妃を追い出して堂々とクイーンに上り詰めた人物です。おまけにアン・ブーリンと結婚するべく、正妻を追い出すためにヘンリー王はカトリック教会との決別をしてしまいました。英国がカトリックでもプロテスタントでもない国教会という宗派になるのはこれがきっかけで、その後、英国がスペインやフランスと抗争を続ける原因となった話です。だからアンはとにかく英国史上では最大級のヒロイン。
 一方のメアリー・ブーリンはほとんど名前も知られていない存在です。その視点で描く辺りが巧妙な作品です。
 史実と引き比べますと、けっこう大胆に改変しているところがあり、たとえばブーリン家は本来、駐仏大使を務めた外交官として頭角を現した一族。アンもメアリーも当然、10代のほとんどをフランスで送っていますが、この映画ではとにかく地方からの成り上がり者、という面を強調しています。その他、いろいろありますが、原作および脚本家が非常に上手にまとめる人で、なるほど、こうしてまとめていくと面白い話になるな、というお手本のようです。それで調べますと、脚本のピーター・モーガンは「クィーン」「ラストキング・オブ・スコットランド」など、史実に立脚した映画を多数、手がけている人。今あげた二つの作品も、史実通りになぞるのでなく、いくつかの人物や挿話をまとめあげて流れを作るのが巧みで、いずれも見事にアカデミー賞作品となっています。なるほど、似たテイストだな、と思った次第です。
 衣装は大変よく考証されていて、ことにヘンリー8世の有名な、たっぷりと幅の広いダブレットや、股間に飾るコッドピース(股袋)まできちんと再現しています。衣装担当は「アヴィエイター」などでアカデミー賞の経験があるサンディ・パウエル。
 それに制作者は「エリザベス」の人だそうです。
 そこに、アンをナタリー・ポートマン、メアリーをスカーレット・ヨハンソンと人気者を配して、ヘンリー8世はエリック・バナ。「トロイ」や「ミュンヘン」で有名になった人です。これだけ豪華なメンバーですが、監督はこれが長編初というほぼ無名の新人。いきなりこういう大作を新人に任せる辺りはすごいです。
 それにしてもヘンリー8世というのは、6人の妃を迎えては離婚し、2人を処刑したことで有名な人物。普通、かなりの暴君に描かれますが、本作ではけっこう違う面も描いております。これがまったく史実とも思いませんが、なるほど、と思わせられる。
 一方、アン・ブーリンはちょっと悪女のような描き方で可愛そうかもしれません。史実だからネタばれもないと思うので書きますが、最後は処刑されてしまうところまでちゃんと映画で描きます。その結末は史実だとしても、ちょっと「自業自得」という幹事の描き方なので、いささか厳しいかもしれない。まあ、メアリー・ブーリンがヒロインですので。
 最初の妃であるキャサリン・オブ・アラゴンやメアリーが生んだことになっている王の庶子(つまり王位にはつけない私生児)のその後、なんかはけっこう切り捨てられていて、ちょっと物足りないですが、なにしろ脚本はかなり枝葉を刈り込む主義なので。そういえばメアリーの最初の夫(王の愛人になる前に結婚してたんです)ウィリアム・ケアリーのその後も割愛されています。この三人についてだけ、ちょっと書いておくと、キャサリンは王妃を首になっても、もともとは若死にしたヘンリーの兄の奥さんだった人、しかも神聖ローマ皇帝カール4世の妹にしてスペイン王フェリペ2世の叔母なので、ヘンリーもうかつに手は出せず、王族という身分も剥奪されず前王太子妃という身分で、まあ軟禁ですがそんなにひどい目にも遭わずに生きます。私生児のフィッツロイというのは、史実ではメアリーの子ではなく別の愛人の子かもしれないようですが、結局、映画にも出てくるアンやメアリーの叔父・ノーフォーク公の娘婿になりますが、早死にします。また、最初のだんなのケアリーは悪性感冒でこれも早死にしています。
 それから映画のラストでノーフォーク公は、懲りもせずにヘンリー8世に5人目の妃であるキャサリン・ハワードを献上したけれど、キャサリンもまた反逆罪で処刑、前のアンのこともあって腹に据えかねた王により投獄される、という紹介がありますが、処刑寸前にヘンリー8世が亡くなって危うく処刑だけは免れ、その後は衰弱して死んだようです。
 ついでに。映画ではアン・ブーリンの近親相姦を王に告発し、処刑に追い込む悪女として登場するアンとメアリーの弟・ジョージの奥さんのジェーン・パーカーも、キャサリン・ハワードの侍女だったために連座して処刑されています。
 つまり関係者の殆どはその後、ろくな目に遭っていない。メアリー・ブーリンだけ生き延びたんですね。この映画では、そのへんの理由も描かれています。
 さて、ついでに映画の後の史実を言えば、映画でも最後のほうでちょっと出てくるアンの侍女ジェーン・シーモアがついにヘンリー王の正式な世継ぎである男の子を産みますがすぐに死亡。この男の子がエドワード6世と名乗って、ヘンリーの跡を継ぎ即位するけれど、わずか15歳で急死。そこで、ずっと不遇だった最初の王妃キャサリン・オブ・アラゴンの娘メアリーが女王メアリー1世として即位。この人はスペインのフェリペ2世と結婚し、母親を追放した国教会を廃止してカトリックにもどそうと流血の弾圧を繰り返し、ものすごい暴君として名を残します。もちろん自分の母親を追放した女の娘、つまりアン・ブーリンの娘であるエリザベスをいびりぬきますが、そのメアリー1世も急死。
 で、結局、アン・ブーリンの一人娘エリザベス女王が、父親が残した国教会を守り抜き、スペインを撃破して世界に冠たる大英帝国を築くわけです。ここらは映画「エリザベス」やその続編「エリザベス ゴールデンエイジ」をご覧あれ、というところ。
 海外の批評では「ソープオペラみたい」という批評もあったようで、確かに英語も現代英語のようですし、キャスティングも若いし、昔のローレンス・オリヴィエなんかが出てきた史劇映画のような格調はないでしょうが、それは日本でも最近の大河ドラマ「新選組」と昔の片岡千恵蔵がでてたような新撰組映画を比較するようなもんで、現代的解釈として私は評価してよいのじゃないかと思います。本当にシェークスピア時代のような英語なんかでしゃべっちゃ英語圏の人もつらいだろうし。むしろヘンリーやアンのいかにも現代人的な感覚が興味深いです。原作者や脚本家の狙いでしょうが、つまり環境こそ違え、人間としてはいつの時代も同じ、ということ。そしてそういう生身の人間が、どれほど宮廷という密室で常軌を逸していくか、というお話です。
 暴君ヘンリーにも一抹の哀れさを覚えるのはそういうことからです。
 英国史の勉強をしたい人、歴史映画が好きな人にお勧めなのはもちろん、よくできた愛憎劇として見ても非常に面白い映画だと思います。2時間ちょっと、ややこしい人物関係を裁きながら、まったく目が離せない展開は見事だと思います。
 
 

2008年10月27日(月)
いやあ・・・選挙どころじゃないことになってきましたね。ウチの会社、オリンピック期間は夏休みはダメ、とあって秋休みを設定していた人が多いんですが、それも選挙がらみで返上・・・だったのだけど、株価が7000円割れ目前では選挙どころじゃないのは明らかで。「いったいいつになったら休めるんだ」という人もあるようですが。だから、休めるもんは早く休まないと、ねえ。私は梅雨時にとっちゃいましたが正解でした。
 ところであと1週間で米大統領選挙ですけど。ブッシュ大統領もいよいよ最後ですが、すごい大統領でしたねえ。たった8年間で政治、経済、軍事のすべてでアメリカを完全にダメにしてしまった、これは凡人ではできません。すごい才能だと思う(笑)。2000年ごろにはアメリカ一極の二十一世紀、ということで、小泉政権なんかがあんな調子で自由主義と対米べったりを通したのもある意味、無理もない選択だった。
 ところがそれからわずか数年でこのざま。経済はほったらかしで金持ちの好き放題にしておいて戦争ばかりしていた。そしたらこう。おまけに戦争もほぼ負け戦。完全に中東から追い出されグルジアにも手が出せなくなりました。パキスタンも離れてもう打つ手無し。
 アメリカの時代って、もう終わりかもしれませんな。
 よくいうショーニー族の呪い、というのでブッシュは暗殺か変死するのでは、という話があり、実際に菓子を喉に詰まらせて死にかけましたが、ひょっとしたらショーニー族の怨霊たちは「このアホは生かしておいたほうがアメリカをつぶしてくれる逸材かもしれない」と判断したのかもしれない。
 新自由主義の時代も終わりか。堀江、村上も過去の出来事。レーガンはすべてを忘れ去って世を去り、サッチャーもまたすべてを忘れつつあり。
 きっとブッシュJrもそうなるんじゃないかしら。

2008年10月25日(土)
なんだろうか、昨日は近所のホームセンターに行きまして、食事などもし、いい機嫌で帰宅しまして、「ちょっと一休みする」といったきり・・・ふと目を覚ますと時計は4時54分だかを指していまして。「ん? これ、朝なの、夜なの」と一瞬、理解できず、さらには一体現在は何曜日で、自分はなにをしているのか分からないという案配に。どうも、明け方の5時だったんですね。それからまた気絶しまして・・・今度は目が覚めたのは、お昼の時報でした。翌日の昼ですね。
 なんかざっと数えると14時間ほど寝ていたらしい。しかもほとんど途中の記憶がない、つまり夢もあまり見ていない。なかなかこんなに長く寝られるもんじゃないと思いますが、よほど疲れているのか。
 まあ前日まで、会社の健康診断があるというのでかなり熱心に運動したり、食事を軽くしたりしましたので、けっこうストレスになっていたのかも。ウエストまわり83センチという結果になりました。
 ところで、ここ1年半ほどかなり意識的に運動しておりますが、ウエストなんかは絞れるんですが、体重そのものはかえって増えてきたりする。ひょっとしてある一線を越えたのかしら、筋肉が増えて体重そのものは増えるところまできたのかもしれない、という気はします。
 ◆  ◆  ◆
 なにかの記事で、手ぶら通勤の勧め、というのを読んだことがあります。その趣旨は、手ぶらだと軽快だし、満員電車でも便利、そしてなんでもかんでも持ち歩くよりも合理的になって、本当に必要なものだけ携帯するようになる。必要な場合は会社に鞄を置いておいて、必要なときに使用すればよい・・・そんなことでした。
 これはよく分かるし、実は私、十年ほど前には手ぶら派でした。雨の日の傘以外は基本的になにも持たない。それどころじゃない、クールビズなんていわれる前から私は通勤時にはネクタイもしないし上着も着ない、ジャケットは会社に起きっぱなしにしておくという典型的な・・・まあ今時のにんげん、よくいえば合理的人間、悪くいえば合理化かぶれのだらしない人間でした。
 ところがこれ、駄目だな、と思った。弊害の一つは、基本的にだらしなくなる。軽快というよりものにこだわらない人間になる。面倒くさがりになる。
 二つに、これはてきめんに出ますが、握力や腕力が低下する。間違いなく下がります。
 三つ目、これが私の中では大きいのですが、まったくの手ぶらの場合、万が一にも暴漢に襲われた場合に身を守ることも、攻撃することもできない。逆に金属製のケースでも持っていればそれだけでかなりのことができます。
 四つ目、これはまあどうでもいいようなもんですが、家人にこっそり何かを買うことができなくなる。いつでも手ぶら、という前提だと、少しでも手に何かを持って帰ると「なにを買ってきたの?」とばれやすい。
 私は上記のなかでも主に二と三を重視しまして、かえって重いぐらいの鞄を常用するようになりました。なんでもかんでも軽くて合理的なものがいい、という風潮は違うのじゃないかと思っています。
 握力、筋力が格段に上がりました。これはもう確実に自信があります。手ぶらの頃はとにかく体力がなくて太っていました・・・。

2008年10月21日(火)
今、わけあって英国の勲章制度について調べていますが・・・しかしあの国の勲章もおもしろいですね。ガーター勲章とかシスル勲章、バス勲章なんていうと格好いいような気がしますが、翻訳すれば「靴下止め勲章」「アザミ勲章」「お風呂勲章」ですからね。まあ歴史があるだけに由来はそれぞれあるんですけど。
 ◆  ◆  ◆
 鳥取でタミフルが効かないインフルエンザ・ウイルスが高頻度で見つかっているとか。おそろしいですね。国の見積もりでも60万人以上が死ぬんじゃないかという新型ウイルスの登場はいつの日のことか。国がせっせと溜め込んでいるタミフルも結局、たいした役には立たないかもしれず。
 先のことを考えると、こういう病気や環境、経済に医療、なにをとっても、どんなに楽観的な人でも暗然とする今日この頃じゃないでしょうか。本当にろくなことがない。
 

2008年10月18日(土)
またちょっと新しい原稿に取りかかったりしてまして、そうなるとこういうブログなんかに書く暇がなくなって間遠になる・・・もうばれているかと思いますが、そんな感じでございます。ところで先日、26歳の看護師さんが26時間ぶっつづけの手術室勤務の後、急逝したのを労災認定した、という話題がありました。なんでも最近、ときどき行っている近所のスーパー銭湯で、夜の12時すぎに近くの病院の看護師さんが二人、いたそうでありますが、やっぱり「手術室勤務がつらい」「ああ疲れた」「彼氏から連絡があったけど、疲れすぎて会いたくない。そんなこと分からないのかな」「・・・ああもう駄目。あまりに疲れすぎたので、もう上がろうか」といって上がっていったとか。もう見るからに疲労しきって顔色悪いお二人だった、と妻が申しておりました。
 人を救おうと思ってこういう仕事に就かれたのに、自分たちがもう、命の危険すら感じるほど疲労している。それでもって、患者たちはわがままばかり言う。いやもう頭が下がります。
 ◆  ◆  ◆
 最近、インド洋の海賊が増えて困っており、海上自衛隊も派遣しようか、という話が出てきましたが、本当にひどいらしいですね。しかも身代金はテロリストに流れる。これ、、昔のような「武装商船」とか、「仮装巡洋艦」とかいうのは駄目なんだろうか。商船と思って近寄ると、いきなり大砲が出てきてドカンとやる。昔はそういうのもあったんですが。

2008年10月11日(土)
三浦和義元社長が自殺した、というので号外を出します。まあ最後まで目立つ人でしたけれど・・・この方、日本では無罪なわけで、アメリカでもこれで終わっちゃうわけですがそれにしても、まあヒールというか、「悪い人」である、という前提で有名人になった人の走り、まあ悪いセレブの走りだったような気がいたします。それも確信犯的で悪いことをあくまでも悪くやってのける極悪人、というイメージのまま有名になった。
 そういう意味では、後の宮崎死刑囚とか、最近の金川、加藤といった容疑者たちにも悪影響を与えた人物といえるかもしれません。
 その金川容疑者が加藤被告に対して産経新聞でコメントしていたそうですが、つまり彼は「死んで別の人生なり異界に行きたかった」のだが「自殺するのは怖い」ために、他人を殺して死刑になりたかったのだと。つまりあくまでも殺人は手段であり、被害者など「関係ない人たち」で、徹頭徹尾、自分のことだけを考えてやったのだ、と彼なりの主張があるそうであります。それだから彼に影響を受けたという加藤被告のことは「あれは周囲への不満から、なんでも他人のせいにして、最後は八つ当たりした人間でつまらない」というような反応だそうです。
 要するに金川というのはもはや人間ではないのでしょうな、精神としては。加藤はただのアマちゃんである、という結論そのものは分からないじゃありません。いえ、別に共感を覚えるというのじゃありません。しかし確かに金川はすべての他人を拒絶しているのに対し、加藤は二番煎じでもあるし甘えっ子の駄々のようでもある。さらに三番、四番を演じているその後のアホな連中・・・最近の連中でいえば個室ビデオ放火のあいつですか、ま、こいつらは悪人としても二流、三流なんだと。
 悪にもオリジナリティーってのはあるのか。ま、それはあるのでしょうね。

2008年10月10日(金)
連日、株またまた暴落、の連発。昨日も株を持っている知人が「サブプライムなんて日本は関係ないのに、ザマミロ、日本のバブルのことを笑っていたから天罰だ、というべきところなのになんで、日本もここまで落ちなきゃいけないのか。どうしてこう、日本の株価というのはアメリカの前日の動きを真似するだけなんだ」と憤っていました。
 ところで大和生命というの。あれ、迷惑というか、保険業界の人たちは「こんなタイミングでやめろよ」と言いたいのじゃないでしょうか。もともとずっと以前からリスクの高い保険会社だったはずです。今回のことがとどめになっただけ、と思います。あまり騒がないことです。すぐに慌てふためく人がいるので。それで恐慌ってのは起きるんですから。
 ところで大和生命の前身は「徴兵保険」という会社なんだそうですが、これは別に、兵隊さんになって戦死したら遺族がもらえる、というわけではない。一種の学資保険で、お子さんが生まれたときにかけ始めて、徴兵検査で合格すると満額もらえる、というものでしたそうです。これそもそも、明治時代に一年志願兵制度があったころにできたものだとか。
 一年志願兵というのは、職業軍人にはなりたくないけど、有る程度の高学歴のヒトが平時に自ら志願して下士官候補生となっておく、有事となると下士官に任命される、といういわば予備下士官の養成システムで、これは本人が志願する者で徴兵じゃないから、被服装備のたぐいは自弁となっておりました。つまり自己負担。軍もちゃっかりしてたんですな。
 これをやっておくと、いざというときにも平の兵隊は経験しないですむから有る程度の有力な家の子弟はけっこう志願した。そういうわけでした。が、まとまったお金がいる。そこで徴兵保険、というのができたそうです。ま、私も今回の破綻でこういう保険があるのを知ったのですが。

2008年10月08日(水)
 最近ろくなことがないのですが、ここにきて連日、日本人がノーベル賞受賞。まあこれもオリンピックみたいなもので、まるで関係ない自分たちなどからみても慶賀だけれども、皆さん、30年も40年も前の研究がここにきて認められている、というのはちょっと気になるところかもしれません。というのも・・・そのころの日本の研究レベルが高かった、ということだと、今後はどうなんだろう、と。それで言いますとノーベル賞をもらうにはやはりある程度の長命が必要だ、ということも思いますね。基礎研究の評価には時間がかかるわけで。若くしてもらった、というのは田中さんだけですね。
 いやあ。なんにしましても、こう毎日悪いニュースばかりだと、とにかくほっとします。

2008年10月07日(火)
ゆうべは、アメリカの株価暴落の話一色で・・・と思っていたわけですが、1時すぎて毎日新聞が「訃報・緒形拳さん 71歳」というのをサイトで速報したわけです。ところがまもなく削除されちゃって、うちの会社も「載せるのか、載せないのか」と大騒ぎの末、確認がとれずに載せなかった・・・のですが、どうも2時半ごろには確認がとれた模様。
 本当ですか。71歳。お若いですよね、今の感覚だと。それもつい先月まで倉本聡の新作ドラマなんかが発表されてたような。
 2、3か月前にみた「鬼太郎」の「ぬらりひょん」役、映画としてはあれは最後なんでしょうか、それとも後があるのか。ともかく驚きました。
 私個人としては、NHK大河の「太閤記」のころはまだ生まれていませんので、「風と雲と虹と」の藤原純友役とか、「黄金の日々」の秀吉役、それから「峠の群像」とか印象深いです。ああ、「風林火山」でも宇佐美定満でしたね。ファッション誌にもよくでておられて「ブリオーニ」を愛用されていたとか。とにかくまだまだこれから老け役でいいお仕事ができそうなところだったと思います。ご冥福をお祈りいたします。


2008年10月04日(土)
いやあ、選挙が延びちゃうわ、なんだかんだでもうなんか・・・大変です。予定立たないですね。変な失言大臣も政界引退するそうですし・・・アメリカでは金融安定化法案が通ったようだし、しかし毎日毎日めんどうくさいですなあ。
 次の本の準備で、もう連日、6時間も7時間もコンピューターに向き合っていました。なんか段々、精神的に悪くなります。が、なんとかこのほど、まとまりそう。本出すのって大変です。

2008年9月26日(金)
小泉元首相が政界引退だそうだが、通りすがりの新聞の見出しで「投げだし引退」とあって苦笑させられた。ま、良くも悪くも格好良さが行動原理のヒトなので、このまま自民党にいて影響力を落としていき、さらにかつてやったことを否定されていく中で、年を取るまでしがみつく、なんてのはしたくないのは分かる。老齢を理由に中曽根さんを首にしたこともあるし、まあ、驚くには当たらないと思う。
 いつまでも「小泉再登板待望論」みたいなことをいうヒトがいたが、私は100%ありえないと思っていた。あの人は6年間だけ、なんとかもつようなスタイルを築いたのであって首相を辞めた後、後継の人たちが苦労するのは分かっていたはずで、その責任感もあるからここまで引退しなかったのだろう。
 いうまでもなく、世界情勢が全く異なり経済情勢が全く異なる今、小泉さんが仮に再登板したとしても、以前と同じようなことをやるわけにはいかず、引き受けるはずがない。要するに自民党を6年間、延命させるのに成功した、というのが彼の最大の仕事であった。だから、いつまでも終わってしまったヒトを懐かしんでいるのは馬鹿げている。
 普通の国では、貧乏人と金持ちは利害が一致しないから、二大政党を建てれば片方が金持ち向き、もう片方が貧乏向きなのは当然である。小泉さんの時代には、まだ有権者は自分が貧乏人だと認めたくない心理が強かったのかもしれないが、金持ちと大企業を徹底優遇して地方と貧乏人を切り捨てる、というアメリカ共和党風の政策を掲げる小泉政権を、なぜかそれで一番、苦労しそうな地方の人や低所得層、お年寄りが応援するという奇妙なことが起きた。そして、いつまでも「純ちゃん」待望をいうのもそういう人らの一部であろう。
 あのとき、純ちゃんを応援しておいて、今更、後期高齢者制度やら格差問題やらで文句を言うヒトは、要するにナイーブなヒト、ものの判断が出来ないヒトなのだろう。
 ◆   ◆   ◆
 コンピューター血液型性格診断をやってみた。思った通りというか、「あなたはB型ですね?」と出た。自分勝手で他人を顧みず、集団行動が嫌い、人の上に立つのは好きだが、命令を受けるのは嫌い、論理的で合理的で秩序を重んじるが、案外に思いやりがあるところもある・・・ま、そんな結果がいつやっても出るから、そんな人間性なのだろう。そして、そういう人間はB型なのだという。
 いうまでもないが、こんなことを書くのだから、外れている、ということである。私は血液型性格診断を信じない人間なので、当たらない。
 しかし、固く信じているヒトを判断するには有効である。A型のヒトは自分を神経質で穏和で型にはまった人間、B型のヒトは気ままで奔放、などとセルフイメージを作っている場合が多い。そういう手合いを判断するには明らかに有効である。
 ただまあ、はっきり言って、座興の範囲なら問題もないが、極端に血液型に振り回されるヒトはひとつ、こういう人間だと見切ることが可能であろう。
 すなわちあまり論理的でなく、洗脳されやすい人間、ということである。

2008年9月25日(木)
 麻生内閣、だそうですが・・・なんか新鮮味がないといいますか。やっと思いついたのが小渕さんですか。ま、どうでもいい感じですが。
 ◆  ◆  ◆
 映画「ウオンテッド」というのを見ました。アメコミ発でCGてんこもりのアクション映画、すなわちまったくの娯楽映画です。なんといってもアンジェリーナ・ジョリーの魅力がすべてですね。主人公のなんとかマッカボイは、ナルニア国物語とかラストキング・オブ・スコットランドで注目された演技派。さらにモーガン・フリーマン、トーマス・クレッチマン共演とキャスティングは豪華です。
 しがないスーパーの従業員である主人公は、突然謎の美女に話しかけられます。「あなたのお父様は昨日、死んだのよ。凄腕の暗殺者だった」そうこうするうちに、殺し屋から命を狙われわけがわからないうちに暗殺組織に連れ込まれてしまいます。そして、自分が父親の遺伝子を受け継ぎ、潜在的に暗殺の天才になりうる、という事実を知るのですが・・・・。
 お話は二転三転、映像は漫画的だが確かに見たことがない斬新さ。ということで非常によくできている面白い映画ですが、だんだん陰惨な感じにいなっていきます。エンディング、あれですっきりするかというと、そういう意味で爽快感はありません。
 ま、かなりブラックで苦い味の映画になっております。そして気になるのは、人が死にすぎますね、ちょっと。実際にテロが頻発する今日この頃、あれだけ犠牲者が出る話は娯楽作品としては・・・という感じは正直しました。
 謎の組織についても、なんかよく考えると変な設定もあるんですが、ま、漫画だからこんなもんでしょう。
 モーガン・フリーマンはちょっと老けこんだな、と。これで愛人とドライブしていて事故を起こし、奥さんに逃げられた、なんて実情を聞くとなんか情けない。俳優は私生活も大事ですね。
 

2008年9月22日(月)
 毎日毎日いろいろニュースがあっててんてこ舞いである。会社中ちょっと浮足立っていたりする。パキスタンのテロもあるし金正日氏の健康状態も気になるし、アメリカの経済は大混乱だし、事故米もメラミンもあるし、殺人事件は多いし。それでざまをみろなのが、自民党総裁選なんてものが消し飛んだことである。完全にみんな忘れてしまった!
 福岡の小学生殺人・・・実は最初から考えた可能性ではあったが、やはり母親が容疑者。なくなった子供について「やんちゃな子供」という評が多いのも気になっていましたが、まあ想像はした範囲なんですが、本当にそうだとなると残念。
 ◆  ◆  ◆
 福田さんが政界引退という話すら出てきて、まあまだ決まった話じゃなかろうが、辞め方のいかんによらず、本当は首相を終わった人なんて政治家を辞めるべきじゃなかろうか。アメリカ大統領みたいに引退後は口出ししないで政治活動から手を引く、というのが本当では? だって元首相なんて代議士としちゃもう役立たずなだけでしょうに。
 それとも麻生新首相には、元首相どもを再利用していただくか。安倍をのろわれた農水大臣に、小泉を厚生労働大臣か国交大臣に、森は何をやらせるか、まあ要するに自分のときに放り出してちゃんとやってなかったことのしりぬぐいを自分でやらせる、というのはどうでしょうか。自分がやってる間はうまくごまかし続けて、逃げ切ってしまえばあとは野となれ山となれ、という小泉さんの態度がいちばんよくないんですよ、その後の政治を見ていると。
 ◆  ◆  ◆
 まだTシャツにサンダル履きみたいな人を見ると滑稽に見えます。衣替えは何も10月にならないとしちゃいけない、というもんじゃありません。
 私は昨日あたりから完全に秋向けにしました。夜勤が多いのでチョッキまで着込んでいますがこれでちょうどいい。社内では風邪ひいた人が結構、続出。上着も持たず夏服で出かけちゃもういけません。

2008年9月16日(火)
話題はリーマン・ブラザーズ一色である。それで「事故米」の発表があったのだけど吹っ飛んでしまった。うちの会社じゃ社会部はがっかりし、経済部は紙面を全部、獲得してあたかも経済新聞状態、である・・・。
 ま、軽く4,5万人がレイオフされるというから規模がでかい。それにしても、ほんの5、6年前には無敵を誇っていたアメリカ経済である。で、日本の山一証券なんかを見て笑っていた連中である。「日本に学ぶことなんてもはやない」とか豪語して、アメリカの場合はバブル崩壊などなく、不良債権も金融工学的に処理しているから大丈夫、これつまり、なんかあった場合もアメリカは被害を被りません、ということで、だからアメリカの市民は安心して右肩あがりの資産価値を楽しんでいて、上がった分はどんどん消費に回していると聞き、なんでこれがバブルじゃないというのか合点がいかず、グリーンスパンまで「これは新しい経済減少であって、おそらくIT化のためだろう」とかいい加減なことを解説し、そういう話を聞く度に、きっと日本がまた損するように出来てるんだろう、くそったれ、一度アメリカもひどい目に遭えばいいや、と思った人は私だけじゃあるまい。
 で、そんな中で例の9/11テロが起こって、「それみよ天罰だ」と密かに思った人もいたはずである。
 ま、結局バブルだったというのがここにきて鮮明になり、山一証券なんかと全く変わらない仕儀だというのがはっきりしました。
 なんでほんの10年で人間は何もかも忘れちまうのでしょう。
 小泉・竹中時代を懐かしんでいる人は、もはや決定的に環境が変わっていることを理解した方がよいでしょう。
 ◆  ◆  ◆
 麻布のTULBに行きました。そしたら、以前からお世話になっていたEさんがおやめになると聞いて驚きました。わざわざ電話をいただいたので伺ったんですが。ショックのままなんとなくドゥシャンのネクタイを買いました。残念です・・・いや、ドゥシャンが、じゃなくておやめになるのが。
 

2008年9月13日(土)
 なんか総選挙は10月26日なんですってね・・・。いや、どうせやるならさっさとやってもらいたいですが。面倒くさいですけど。
 自民党総裁選が・・・ま、全くどうでもいいですが、当意即妙の、気の利いたコメントを言えるかどうか、みたいなことばかり気にしているのは馬鹿げているとは思います。だったら吉本の芸人でも立候補させておけばいいじゃありませんか。
 ましてアメリカ大統領選挙の某候補の真似してる人なんて最低というか。なんか最近の政治家は時事ネタのパロディーみたいなことを言いたがるのがいますが、そんなにそんなことを言いたきゃ芸能人になればいい。
 ま、ぜんぜん興味ないのでどうでもよろしいですが。
 ◆  ◆  ◆
 ああ、この時期になるといろいろ、ダイレクトメールがいろんなお店から届きます。しかし予算がありません。無い袖は振れません。困りますねえ・・・。
 ◆  ◆  ◆
 このころになると、ファッション雑誌などみてると秋冬のモードを一生懸命、読者に押しつけようとしております。今年は英国調、なんですと。たしか去年はアメトラ、でした。しかしその前の年はやっぱり英国調、だったと思いますが。その前はまだクラシコ・イタリアでしたか。なんにしても、その三つぐらいしか選択肢がないわけで、どんなに煽ったって意味があるようには思えないのですが。
 私は今年は、秋冬対策としてポール・スミスとリプセットで新しいウェストコート(ベスト、チョッキ)を買いました。とりあえずこれでいいかな、今年は。
 実はこのところ、次の本の準備に入っております。それで相当に厳しいであります。

2008年9月08日(月)
誰がどうとは言いませんが、一般的な感想です。政治家はすべからくマキャベリストである必要がある、つまりどうしてもやらなければならないことがあるのなら、手段を選ばず目的を達する必要がある、現実的で狡猾である必要があり、ある程度に置いて詐欺師である必要もある・・・。
 それはその通りなのだが、・・・まあおおむね言って特に小泉政権以後の日本の政治家には、マキャベリストであることを隠さない人が多くなりすぎたのが気に入りません。
 しかしそれはまた、ダメじゃないでしょうか。
 すなわち、マキャベリストでありながら、一応、マキャベリストでない振りができるような人物が政治家であるべきである、と私は思いますが。
 非常に安易なたとえで言えば、改革を叫んで無茶を通し、結局は頓挫する信長タイプは所詮それだけで、穏やかな振りをして結局は裏で無茶をとおしてしまう家康タイプがやっぱり真の大政治家なんだろうと思います。要するに腹芸です。
 ここで解散すれば人目を引いて、馬鹿な人がたくさんだまされるだろう、というようなことが見え透いてしまってはやはりダメですね。素人にも分かってしまっては。
 瞬間的にテレビや新聞がたくさん取り上げてくれるだろう、それで人気が上がるだろう、という思惑だけで辞任した首相の判断は、数年前、小泉時代なら通ったんだろうし騙された人も多いのじゃないかしら。
 だがそういうのは、広告代理店とかテレビ局の人の発想ですね、政治家の使うべき頭ではありません。
 ここ数年、あまりにもそんなことばっかり気にしてパフォーマンスする政治家が増えすぎたと思います。アメリカかぶれなのか何か知りませんが、いいかげん、うんざりですけど。

2008年9月04日(木)
映画「ハンコック」を見てきました。すでに予告等でいわれているとおりで、ウィル・スミスとシャーリーズ・セロン共演のヒーロー・アクションもの、という分類になるんでしょうか。とてつもない超人パワーを誇るのだけど飲んだくれで世間に理解されないハンコックが主人公。次から次へと、良かれと思ってやったことが裏目に出て世間に批判され孤独を募らせていくわけですが、あるとき、たまたま鉄道事故から救ったPR専門家から「イメージを良くする」方法を教わることに。刑務所に収監されることになりますが、一方、そのPRマンの奥さんに何やら秘密が・・・。
 ということですが、けっこうこの作品については「前半のハチャメチャなノリが、後半はかなりシリアスになってしまって、コメディーを期待していた者にとっては期待外れ」という感想が多い。私はその声を知っていたので、「後半はかなりシリアスになるのだな」と予想していたためか、これがかえって「なんだ、別にそんなにバランス悪くないじゃないか」というのが率直な感想です。
 あまり先入観、予断を持って映画を見るのは良くないのかもしれませんが、今回に関しては「最初は軽快なコメディーだけど後半はシリアスな感動路線」と知っていたほうがいいんじゃないかと思いました。
 実際、その後半部分もよくできていて、泣かせる展開だと思います。やはりウィル・スミスというとメン・イン・ブラックみたいな作品を期待しがちなので、そこらへんで違和感を持つ人もいらっしゃるのでは、と思います。
 ウィル・スミスもシャーリーズ・セロンも熱演しております。悪役が弱いのでは、というのは同感です。が、悪役の描写を盛り込むとますます面倒くさくなる、ということで軽い扱いなんでしょう。娯楽作品としてのバランスは結局、もっと軽くしたほうは良かったという声も理解できますが、私はそういうわけで、不満は感じませんでした。
 ところで、ハンコックは大昔から生き続けている不老不死の超人、らしいのですが、たとえば第二次大戦中はどこで何してたんでしょうか。気になります・・・。
 
 

2008年9月02日(火)
なんかですね・・・ゆうべは、8時すこし前ごろになってひそひそ、福田がどうの、号外がどうのという声が社内に流れましてですね。で、首相の写真が新聞紙面の素材として出てきたりしましてね。おかしいな、と。どうもあの時点で、麻生、町村さんと会談していたか終わった直後だったようですね。
 ま、公明党さんにクビにされたというところですか。野党に文句を言っていましたが、やる前からそれは分かって就任したのだし、プロとしてはいいわけにならないでしょう。
 ただですね。小泉さんのパフォーマンス政治の後遺症で二代続けて沈没している、という側面もあるでしょうね。
 なんとなくローマ帝国の末期のような。民主党なんてものも、いってみれば「東自民党」みたいなもんですからね、そもそも。

2008年8月31日(日)
さて、子供たちも夏休みはおしまい。これだけ大雨が降っているのになぜか四国のダムは水がない。そしてアメリカではハリケーン、と。いろいろあります・・・。
 ◆  ◆  ◆
 ところで映画「ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝」を見てきました。ジェット・リーの新作でもありますが、これまで良質な娯楽作品としての水準を保ってきたこのシリーズ、いかがになったかというと・・・大丈夫、今回も面白いですね。
 非常に簡単に言うと、前作までのヒーローとヒロイン夫婦の子供が大学生になった16年後、第二次大戦直後のこと。その息子が中国で古代の皇帝のミイラと兵馬俑の軍団を掘り出してしまいます。で、後はお定まり・・・。例によってミイラが復活し、大騒動に、であります。
 まあいうことはないのですが、まずジェット・リーがCG処理でいろいろ化けるのはもったいないですね。だって生身の本人が一番強いのに。それからレイチェル・ワイズが降りちゃったのはやっぱりかなりがっかり。彼女の魅力で持ってきた部分が大きいと思うのですが、このシリーズ。アカデミー賞女優を引っ張るのは難しかったかしら。
 ところが脇役の中国勢が断然よくて、皇帝以外にも20世紀の中国軍閥の将軍が非常にいいです。おまけにその副官の女性士官が大変いいです。この人、役名も女優さんの名前もわからないのですが、実はいちばんかっこよかったんですけど。なんかこの人たちでスピンオフでもつくってほしい。
 全体的には、冒頭の皇帝のストーリー・・・明らかに秦の始皇帝がモデルですが、ここが面白い。圧倒的によくできている。前振りというボリュームじゃなくて、ちょっとした歴史映画になっている。ああ、このへんでもスピンオフもいいかも。
 それから、夫婦は第二次大戦中もいろいろ英国政府に協力してスパイ活動などしていたようですが、そこを描いてほしいんですけどね、むしろ。こっちもスピンオフを作ってほしいんですけど、できればレイチェル・ワイズで。
 いえねえ、前にも「スコーピオン・キング」というスピンオフがあって、それが面白かったからいうんですけどね。
 どうも次作は南米で、という伏線を張りたいようですが、ま、南米もミイラの宝庫ですから作れるでしょうけど、どうなりますか。とにかう娯楽作品としては満点、いいと思いました。

2008年8月24日(日)
ふーん、胸いっぱいの愛を、できましたか。女性ヴォーカルって新鮮。ジミー・ペイジ氏なんと64歳ですか。老けたなあ・・・でもしっかり弾いてますね、さすがに。まさかこっちは口パク、というか弾きまねじゃないでしょうね。
 なんかでかい二階建てバスが来たからこんなとこかな、と思いましたが本当だった。このなんか真面目なような不真面目なようなノリにほっとします。ロンドンらしいというか、北京のノリじゃなくていいな、というか。
 ということで北京五輪が終わりました。大健闘した人、ぜんぜん期待はずれだった人さまざまですが、国威発揚なんてことを今更いわないですむ日本は、少しは大人になったのでしょう。今回はマスコミ、ことにテレビがいつものようなあおり方を比較的しなかったというか、全体としてあまり新顔がいないから地味だったというか。ま、それも良かったように思いますが。
 これから中国がどうなるのか・・・それはまた別のテーマです。でもあれだけ楽しみにしていたイベントが終わって、反動は間違いなくあるだろうけど。
 ◆  ◆  ◆
 関係ないですが近所の盆踊り大会がありまして、今年はコメ2キロ、景品でいただきました。昨年はなんにももらえなかったのでラッキーであります。
 そういえば昨年はこんな地元の会に当地選出の自民党代議士が来ました。今年はいなかったみたい・・・いやよく分かりませんが。
 実はこの代議士という人、うちの会社の元後輩です。いえ、直接のかかわりはないですがとにかく元政治部の人。
 次は厳しいと思うけど、なかなか。

2008年8月21日(木)
 アメリカの大統領選挙で、ずっと劣勢だったマケイン候補がオバマ候補を上回った、とのことです。直接的影響はグルジア情勢のようです。
 どうも時計の針が逆回りをはじめ、冷戦時代がまたやってくるかもしれません。
 ロシア軍の電撃的進撃と、「自国民保護のため」という大義名分は、どこかで聞いたような、と思った方も多かったはず。確かにこれは、20世紀前半の様相、すなわちナチスドイツの繰り返した手法に似ております。欧米でも「これは21世紀のヒトラーによるチェコ進駐ではないか」という声があります。こういうことにきわめて敏感なポーランドは、それまで否定的だったミサイル防衛システム配備を肯定する声が急に沸騰。ロシアが嫌がっていたMD配備があっさり認められ、ますます状況が難しくなってきました。
 これで冷戦となればマケインだろう、ということのようですね。
 つい数年前、アメリカ独り勝ち、グローバリズムの時代などといっていたのがうそのようでありますね。
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 終盤にきて日本選手が健闘している北京五輪。・・・しかしまあ。仕事柄、自分の仕事との絡みでしか見られません。正直言って、早く終わってくれ、というのが本音。明日の野球を乗り越えればまあ、なんとか・・・。もちろん選手の皆さんには奮起していただきたいですが。

2008年8月17日(日)
 北京五輪ネタなどあまり書かないつもりなのだが、ひとつ気になったのが・・・浦安市民ならだれでも知っている路線バスの行先。海沿いのマンション街に向かうそれは「了徳寺大学」行き、なのです。昨年だったか、おととしだったか、誘致された大学でして、はっきりいって当地でもなんの学校かよく知らない、ただバスの行先として名前は知っている、という感じでありました。が、思いがけないところでこの名がこんなに有名になるとは。
 日刊ゲンダイの14日の記事で、とうとう見かけました。「北京五輪で日本柔道は金3個に銅2個(13日時点)と、まずまずの成績だ。でも平岡拓晃、金丸雄介、佐藤愛子、小野卓志、泉浩の5選手は、メダルを期待されながらも、いいところなく敗退だ。実は泉浩を除いた4人には、ある共通点がある。五輪初出場なのに加え、そろいもそろって所属先が「了徳寺学園」なのだ。聞き慣れないが一体どんなところなのか。「了徳寺学園は、千葉県にある理学療法士などを養成する学校法人です。柔道部創部は2000年と歴史は浅く、内柴正人が所属する旭化成や中村美里が所属する三井住友海上などの名門実業団に比べれば新興勢力。でも学園理事長の了徳寺健二氏が、企業スポーツに限界を感じ、五輪でメダルを取れる選手育成のために設立しただけあって、アテネ五輪前年の03年あたりから急激に頭角を現しはじめたんです。谷亮子に2度勝った実績を持つ福見友子も所属しています」(柔道連盟関係者)」
 ブログや掲示板では「それで了徳寺ってなんなの?」という声がひとしきりあったようですが、まとまった記事ははじめてみました。続きには「同学園に所属する選手は「学校職員扱い」だが、その待遇はプロ選手並みだ。「五輪に出場するような実力選手は、年俸1000万円以上もらっています。さらに大きな試合で優勝するとボーナスも出るともっぱらです」(実業団通)・・・成績が悪いままだと、契約を打ち切られることもあるんです。だから選手は、他の実業団チームに比べて必死です。まあ今回五輪に出場した4選手は、メダルが取れなかったからクビ……なんてことはないでしょうが」(同)とあります。
 うーん、これだけではなんだか分かりませんが。しかしまあ、確かに柔道二日目から「あの学園職員ってのはなんなの」というのは素人でも思っていました。しかもそろいもそろって、成績がよろしくない(!)。そう言われてもいたしかたないかもしれません。ま、浦安にある大学は、一応、別法人だそうですが。
 今回の柔道は、バルセロナで男女正式種目となって以来、メダル数としては最低。まあなんか考える必要はあるでしょうね。

2008年8月15日(金)
 時事通信によれば「インターネットの掲示板に、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催のコミックマーケットを爆破する予告を書き込んだとして、警視庁東京湾岸署は15日、威力業務妨害の疑いで、兵庫県加古川市、無職陰山浩章容疑者(20)を逮捕した。容疑を認め、「世間に注目されたかった」と話しているという」とのこと。他の新聞にも今回のコミケの「緊急手荷物検査」の件は載っているようですが、・・・明日、あさって参加される方はお気を付けて。秋葉原の一件以後、模倣犯は頻発、おまけについ先日、ワンフェスのエスカレーター事件があったばかり。それでなくとも色眼鏡で見たがる人も多いので・・・。
 私はワンフェスもコミケも、30代の間はさんざんお世話になったので、ことにコミケの方はコスプレも出店も何度も経験しております。40の声を聞いて、朝早くから重い荷物を引っ張りながら猛暑の会場に行き、設営し、午後まで店番する気力・体力が失せました。オリンピックでもアテネのメダリストが次々、予選で脱落しておりますが、やっぱり年齢的限界を感じるときってあるもんです(と、こんなレベルで五輪のトップアスリートを引き合いに出すな、と自分でも思いますが)。
 しかしコミケについては、ちょっと大きくなりすぎた、中途半端に有名になりすぎた、という気もしております。
 妻はスクリーントーンを買いがてら、知り合いのサークルに挨拶回りでも、と思っていたようですが、手荷物検査の話を聞いて、今夏は断念したそうです。
  




2008年8月10日(日)
 いよいよ夏休みシーズン。政界も経済界も活動休止してニュースは夏枯れ、とりあえず北京五輪と高校野球でスポーツ一色・・・のはずだったのだけど。思いがけず戦争状態の国ができてしまいまして。読売新聞の記事では「ロシアは死んでも許さない。命令があれば死ぬまで戦う。・・・8日に空爆を受けた、トビリシの南東15キロにあるワジアーニ陸軍基地。ダビッド・クトシア大佐(43)は、ロシア軍への怒りをぶちまけた。国軍精鋭の陸軍第4師団が駐屯する同基地では9日、私服を着た若者が次々に建物の中に入っていった。急きょ招集された予備役だ。「ロシア野郎め!」。少年ぽさが抜けない20歳の若者はこう吐き捨てた」ということで、グルジアとロシアの戦争なんてものが出てきました。アブハジアでも戦闘開始ということで大変なことに。
 南オセチアはグルジア領だがオセット人の国でグルジアとは言語も違います。だから住民7万人のうちの7割がロシア国籍であるとか。グルジアとしてはここでロシアの介入を招いてロシア軍の非道を世界にアピールし、アメリカの援助を引き出して、あわよくばNATO加盟までこぎつけるつもりで、はじめから勝ち目のない進攻をしてのけたらしい。ロシアはロシアで、自国民の保護で介入しました、とこれは古今東西の宣戦布告の理由の圧倒的ナンバー1の大義名分で攻め込んだのですが、かといってグルジアから南オセチアを奪うことはできない。なぜならこれを認めると、自分の国の中のチェチェン独立も認めなければならなくなるから。ほかの国も静観の模様、というのはコソボでもチベットでも、みんな分離独立を認める理屈になるから、いつもは親露的な国も口出ししない。一方、アメリカはアメリカでいつもは分離独立派を支持することが多いのに今回は逆。グルジアはこのへんで最も親米的な国だからほってはおけないが手出しもしにくい。
 非常に思惑を眺めるとややこしい話です。歴史的にみれば、あのあたりにいろいろな民族があってごちゃごちゃしている最大の理由は、13世紀のモンゴル帝国のせいなんですってね。チンギス・ハーンがどんどん攻め込んで、ほかの民族に移動を強いた。フン族の移動、モンゴルの遠征。歴史を大きく動かしたのはいつも遊牧民ですね。
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 北京五輪は思いっきり日本にとっては盛り上がらない出だしのようで。ま、なんとなく思ったとおりですが。と思ったら新疆でまた爆弾テロとか。こっちもまだまだ、これからですな。ということで、なんか物騒な話が多く、のんきな夏枯れモードじゃないようです。

2008年8月08日(金)
いよいよ今夜から北京五輪、なんですが、今回ほど競技以外の関心を呼んでいる五輪もないのでは? というか純粋に競技としてみるとまた、これほどまでに盛り上がっていない五輪もなかったような・・・。
 しかしイスラム・テロリストとしてみると既に成功していると言えるのかもしれません。中国にこういう問題がありこういう組織があることを宣伝するには、五輪はうってつけだったことになります。
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 ところで、今更ながら「ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌」を見てきました。続編は今市と言うことも多いのですが、今作は・・・なかなかの名作に仕上がっているじゃないですか。
 各地で突然、妖怪に襲われて魂を奪われ人が失踪する事件が続発。ヒロインの高校生・楓にも妖怪・濡れ女の魔の手が忍び寄ります。鬼太郎、猫娘らおなじみの面々が彼女を助けるべく活動を開始しますが・・・。
 時代は変わって1000年前、というから平安時代の終わりごろ。一人の人魚が人間の漁師と恋に落ちました。彼女は人間として生きる決心をします、となんか「ポニョ」みたいな話なんですが、こちらはその後、人間に迫害されるようになります。さて、彼女のその後の運命は?
 とまあ、そんな感じで、平安時代の話と現代の失踪事件がリンクしてくるわけです。
 しかしまあ、比較すると平安時代の話が見事すぎて現代が霞んでいます、ちょっと。なんといっても寺島しのぶと萩原聖人の演技が素晴らしい。最後など、泣けます。
 現代のほうは登場人物が多くてちょいと散漫かもしれません。とはいえ脚本はよく練れています。前作と違いまったくのオリジナル。よって話としては今回の方がまとまっていますけれど、水木しげるの鬼太郎のさばさばしたテイストからは離れているかも。もっとも、このちょっとウエットな「悩める青年鬼太郎」も悪くありません。
 ヒロインの北乃きいさん、うまいです。トランペットに琵琶、ひちりきまで練習しての熱演には好感を持ちます。が、ちょっと華やかさはないかも。衣装も地味すぎか。前作がアイドル的なヒロインでしたので・・・もっとも今作のヒロインは猫娘のようですが。
 

2008年8月04日(月)
中国の爆弾テロですが・・・ま、いろいろ言うことはないですが、「大丈夫なの?」とは正直、思います。今までの開催国ではあまりこういうケースは・・・とにかく無事を祈るのみですが。
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 竹島の問題で、これについてもいろいろ言うことはないですが、一つだけ思うのは、韓国の人々が日本の「教科書」というものを理解していないのじゃないか、という点。あちらの国では権威があるわけですが、日本では検定はあるにしてもあくまで民間出版社の出版物。そして日本の学生のやる気のない者は教科書など見ることもなく、やる気のある者は自力であるいは塾や家庭教師から教わる・・・要するに公教育なんてものの権威は全くゼロ。そのへんを理解していないのかな、とは思います。日本人がなんで関心がないか、というと、結局は「教科書なんでどうでもいいものじゃないか」ということに尽きるような気がします。
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 福田首相の内閣改造について。これについてもいろいろ言うことはないのですが(笑)、ひとつ挙げますと、マスコミの意識調査の話。あるマスコミの世論調査担当の人から聞いたのですが、少なくともそこの会社では全く数字の操作なんてしていない、出たのは正直な数字だ、と言います。今時、あからさまなことをやって通用するわけがない、という。それはそうでしょうね。
 ではなんで会社によってかなり、支持率の数字が違うのか。なんとなく与党を応援しているメディアのほうが支持率が高く、逆の場合は低いのか。
 実のところ、その担当者さんも困っているのですって。つまり幹部から「なんでまた高く出るんだ、どうしてだ。またお前の会社の調査なんて信用できないと批判されるじゃないか」とお叱りを受けるのだそうです。だから、情報操作なんてとんでもない、できれば操作するなら、穏当な数字に操作したいのが本音だそうです。
 おそらくですが、結局、日本人は相手の社名を聞いて迎合するのではないか、それしか理由が思いつかないのですって。A社の調査と聞くとA社の喜びそうな、B社と聞くとB社が喜びそうな答えをしてしまう・・・ということは、日本人には世論調査なんてできない、というか、はっきりいえば日本人には世論なんてない、ということなのかもしれません。
 要するに空気を読んで迎合する、自分の意見などない人ばかり、ということなんでしょうな。小学校の学級会で、みんな顔を見合わせて先生の意見を支持する・・・文句があるヤツは後で休み時間になってぶつぶつ愚痴を言う。日本ってのはそういう国ですな。威勢のいいことが言えるのはネットだけですか。それも大抵は虚勢ですが。


2008年8月01日(金)
8月に入りました。先月は西日本は本当に暑かったそうで、ことに京都など31日間すべて30度超えとか。幸い、東京あたりはけっこう、北風も入ってきて、夜は意外に涼しく、35度超えも今のところありません。さて、今月はどうなりますか・・・。
 ところで映画「ドラゴン・キングダム」を見て参りました。話題作が続々と出てくる夏休み、この作品の注目度は日本ではそんなに高くないかもしれませんが、アメリカ公開時にはジャッキー・チェンとジェット・リーの二大カンフースター競演で大いにヒットしたそうです。が、単にカンフー映画をそのまま作ってもハリウッド受けはしませんので、この作品は工夫しています。出だしは現代のアメリカ、ボストンから始まりまして、情けない転校生の少年が不良グループにいじめられるシーンで幕開け。
 しかしこの少年、実は根っからのカンフー映画ファンで、知識だけは膨大にある。で、チャイナタウンの骨董品店に入り浸っているのですが、不良どもがこの店も襲撃、店主の老人は撃たれてしまいます。少年は老人から家宝の金属製の棒を託され「これを本当の持ち主に必ず返してくれ」と言われます。追いつめられビルの屋上から飛び降りた少年は気絶。しかし目を覚ましたときには、彼がいる場所はボストンではなく、何千年も前の古代中国の村落なのでありました。
 そして、ふとしたことで出会った仙人(ジャッキー・チェン)から、その棒を持ち主に返さないと、お前も元の世界に戻れない、と告げられます。その持ち主とは、あの孫悟空、そして老人から託された棒とは、ほかならぬ如意棒なのでありました・・・。
 孫悟空はさらに500年前、悪逆の暴君ジェイド将軍の策略にかけられ、石と化していました。如意棒を渡すことで悟空は甦る、そしてジェイドを倒すことが出来る、というのであります・・・。
 やがて彼らに協力する謎の少女、さらに謎の僧侶(ジェット・リー)も絡んで、派手やかなカンフーアクションが繰り広げられるのであります。
 そのジェット・リーが登場するシーンでは、ジャッキーと延々と・・・どのぐらいでしょうか、10分ぐらい続くのじゃないでしょうか。ものすごい格闘シーンがあります。そのすごいことといったらありません。
 ほかにも全編てんこ盛りのアクションですが、ちょっとラブストーリーも絡んで非常に巧い脚本です。
 この手の映画でいちばん問題になりそうなのが「言語」でして、無神経な昔のハリウッドだとなんの前置きもなく、どこの国の人も英語で話すところですが、本作では、はじめ中国語で話すジャッキーに、主人公が「何を言ってるか分からないよ」と叫ぶと「聞かないからだ」と英語でジャッキーがこたえる・・・もちろん、英語を知っていた、というのではなくて、分かろうとすれば分かる世界なのだ、ということらしい。以後、少年の視点では英語、中国人同士の会話は中国語、ということで進行します。ま、とにかく一応の配慮をしていて好感が持てます。
 これ要するに、孫悟空が三蔵法師に出会って天竺に向かう物語以前のストーリーということですが、どこかで見たようなシーンも多く、実に巧妙に出来ています。
 いろいろ映画の封切りもありますが、埋もれさせてしまうにはもったいない娯楽作品と思いました。
 
 
 

2008年7月27日(日)
最近の若い者は、という言い方をする年寄りほど、たいていの場合、くだらないヤツだと思うことが多いものです。戦後の教育を受けた人間なんてみんな似たようなもので、その戦後教育を受けた世代の先頭が70代に差し掛かって居るんだから、あまり威張るんじゃない、と思います、しばしば。
 前にも「マッカーサー元帥の帥の字がおかしい。師なのではないか」と聞いてきた70代とか、「田舎教師の引用でげんげの花、とあるがれんげの間違いではないか。自分は80年間生きてきたが、げんげなんて知らない」と偉そうに言ってきた老人とか・・・八十歳だろうがなんだろうが、田山花袋よりは最近の人間だろうになにを偉そうに、と思いますけど(ちなみに、げんげは紫雲英、レンゲのことですがちゃんと辞書にも両方正しい、と載っています)そんな傲慢で「自分は長生きしてきたから、若い者より物知りだ」と思いこんでいる醜い年寄りのことを書いたことがあります。「高が知れる、高をくくる、は間違い。多寡が知れる、多寡をくくるのはず。訂正を出せ」と言ってきた老人もいました。調べてみれば「高」のほうが正解だとすぐ分かる。どうしてたかだか数十年の己の人生の知識を絶対視するのだろうか、理解できません。人類の文化は何千年何万年もあるんですけどね。
 今度はこんな投書がうちの会社にきました。なんと匿名です。卑怯なヤツですが、字といいはがきで書いてくる姿勢といい、まず老人の仕業です。若い人ならメールですから。匿名だからここで引用しても構いませんよね、もちろん。これはある外部の文学者の文章についての文句なのですが・・・。
「袖擦り合うも他生の縁、は、袖振り合うも、であり、他生の縁も間違いではないが多生が正しい。学生のためにもよく調べてから活字にしていただきたい」
 居丈高でしょう? しかしこれ、よく調べてから、はそのままお返ししたいですね。
 日本最大の辞書である日本国語大辞典を見れば、「袖擦り合うも他生の縁」「袖の振り合わせも他生の縁」「袖の振り回しも縁」「袖振り合うも他生の縁」の四つがバリエーションとして載っており、確かに基本形は「袖振り合うも他生の縁」となっているがほかの言い方もすべて正解扱いであります。また、「他生」「多生」どちらもOKです。要するに、よく若い人が間違えているような「多少の縁(笑)」でなければ全部、正しい。目くじらたてて自分が知っているものだけ正しく、ほかは「学生のためにもよく調べてから活字にしろ」などといって偉そうに否定できるようなものではない。
 これ、輪廻転生の考えで、袖がふれあう程度の通りすがりの人も、他の人生(他生)、あるいは他の多くの人生(多生)で御縁がある、つまり来世や前世でかかわりがあるのだ、という意味合いです。そこが分かっていればすべて正解、です。
 とにかく自分の知識を絶対視して、調べもせず否定する、しかも匿名で・・・これ、若い者の掲示板の書き込みみたいなやり方でしょう。相手の反論を一切、聞かないわけだから。感心しませんな。
 若い者は、というベテランの人は、本当に自分らは間違いを犯していないか、あるいは若い者が馬鹿なのだとしたら、その原因は自分たちにあるのじゃないか、というような考えは持たないものなのでしょうか。ま、そういう謙虚な人は馬鹿な投書してきませんがね。

2008年7月25日(金)
LUSHという石鹸屋さんをご存じの方も多いと思います。というか、まあ女性のほうがご存じの方が多いかも。私は最初、カナダのプログレッシブ・ロックのバンド名かと思いました(そっちはつづりがRUSHですが)。
 で、先日、市川市のコルトンプラザに立ち寄ったときに衝動的にLUSHのソープを買ったのだが、そのあまりのすばらしさに感動し、再び行って、今度は洗顔剤やパックまで買い込んだ・・・夫婦二人で1万5000円ほどもセッケンや洗顔剤を買ったのですけど、いや素晴らしいですね。本当にこう、効果甚大という感じです。
 とにかく自然の成分を手作りで、という英国のブランドだそうです。まさに生もので、一切の添加物のたぐいがないので、長持ちはしません。パックなど冷蔵庫に保管し、1か月半の間に使い切ることになっている。食べ物同然の扱いです。
 逆に言えば、そのへんの大手メーカーの商品ってどれだけ化学的な処理されて、添加物やらなんやらが混ざっているか。そういうもので顔や頭を洗っているから禿げたり皮膚に障害が出たり、なんてことなんでしょう。
 そのLUSH社の主張は「私たちは動物実験はしません」というもの。身体を固定されたウサギの目に目薬を差し続ける実験の写真など掲げて「私たちは自然派なので、動物で危険な実験などしません、自身があるから人間で試します」とのこと。立派なポリシーです。
 ◆  ◆  ◆
 それで思いますがね・・・。
 とにかく近頃、「誰でも良かった」といって人殺しするヤツが居ますね。しかも30歳を過ぎてまで、若い者の真似して「親の関心を引きたかった」なんて言っている馬鹿者が出てきました。20代の加藤某ですら幼稚だと思いましたが、世の中、とことん赤ちゃんみたいなヤツばかりなのですね。
 それで、捕まった後で「誰でも良かった」というセリフを吐いた段階で、通常の殺人犯より罪を一等重くしたらどうでしょうか。特定の人物を恨んで意趣晴らし、という場合はまだしも相手との関係で考慮すべきことも出てくるかもしれないが、誰でもいい、はそういう発想自体が罪です。はっきり言って計画的殺人犯よりも罪深い。そういう者は存在そのものが罪を犯しているといえましょう。そこで、そのような者はやった人数にかかわらず、単なる死刑でもなく、「人体実験に使用する」というのがいいのじゃないか。
 で、人体実験として身体を差し出すことで「君は生まれてきて最後に役に立ったのだよ、社会に貢献したのだよ、ありがとう」といってあの世に旅立って貰う。けっして死刑ではありません。生命をかけて償いをするボランティアである。
 さもなくば、臓器を提供する。ただの死刑ではなく生きながら臓器を取り出す。これも死刑ではない。いわゆる死刑のような、犯罪者を殺すことが本旨ではないのであります。
 誰でも良かった、というセリフを吐いたその瞬間、そのような「生命をかけてつぐなう」ことにしたらどうかと思うのであります。

2008年7月22日(火)
読売新聞の一面トップにも出ていた、陸上自衛隊の方面総監部廃止と陸上総隊設置、という話題。さすがに(?)産経新聞の方がよく書けている、というか本質を掴んでいるような気がします。「・・・組織再編に絡み陸上自衛隊各方面隊の上に「陸上総隊」を新設する方向で検討に入った。総隊司令官を海上自衛隊の自衛艦隊司令官、航空自衛隊の航空総隊司令官とともに各自衛隊の指揮命令系統のトップに位置づけ、陸海空幕僚長はスタッフとして防衛相補佐に専従させる。これに伴い、各幕僚監部は廃止も含めて大幅に縮小する。同再編案は石破茂防衛相の指示で省内に設置された改革推進チームで検討されている有力案の1つ。ラインとスタッフの区分を明確化し、指揮命令系統を簡素化することで、有事に機動的に動く自衛隊に改編する狙いがある。現在の機構では大臣スタッフである陸海空幕僚長が事実上の各自衛隊トップとして指揮命令系統にも介在する形となっている。同案では、陸海空各司令官を現場の指揮命令系統のトップに位置づけ直すことで首相、防衛相からの命令を迅速に実施に移す態勢の実現を目指す。このため、5方面隊に別れ、全体を統括する組織を持たない陸自に陸上総隊を創設する。各司令官の呼称は陸上総監、海上総監、航空総監に改めることも検討する」というような次第。
 まあしかし、何人も将官のポストがなくなるわけで、企業で言えば重役がごっそりなくなっちゃうのだから、嫌がる声も当然出るでしょうし、それに軍事的組織では伝統とか、その組織に対する愛着とかいうのも重要なことで、ただただドライにリストラすればいい、というものでもないわけですが。産経さんの記事でいいのは、現在の組織だとスタッフつまり参謀である幕僚長が指揮系統の事実上のトップを兼ねている、という指摘です。つまり軍政軍令の分離が今の自衛隊では出来ていないということ。参謀本部と司令部の分離が出来ていない。そこらへんをこの短い記事でおさえているのは立派。読売ではぜんぜん書いていませんから。なんとなく組織図を載せても、防衛大臣直轄の中央即応集団(昨年、発足したテロ対策などの専門部隊)が陸上幕僚長の下に入っているような書き方になっているし。ま、難しいんでしょうけどね、そのへん。
 それで、陸海空各自衛隊の司令官は全部、総監にしちゃおう、というのもこちらにしか書いていません。個人的には海上自衛隊の自衛艦隊司令官がなくなっちゃうのは、なんか連合艦隊司令長官の後継ポストがついに消滅する、というイメージで寂しいような。もっとも、社内でも「自衛艦隊と護衛艦隊は何が違うんだ」という質問があるようなこのごろですので、わかりやすいといえばわかりやすいですか。
 ・・・それでふと思いましたが、「司令長官」という言葉も今や死語ですね。日本じゃもちろん、アメリカでも太平洋艦隊の司令長官が90年代に司令官に・・・まあ格下げ、というか実態が低下したので見合った呼称になっています。今時はプロレス高田軍の「アン・ジョー司令長官」ぐらいですか。
 ・・・とまあ、ちょっとマニアックな話題でしたかこれは。
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 先日のNHKの番組(音楽探偵、でしたっけ)で、モーツァルトのピアノ協奏曲20番を取り上げていました。当時としてはピアノ協奏曲をマイナーコードで作曲すること自体がかなり異例だった、などなかなか面白かったのですが、いちばん興味深かったのは、この曲の出だしがテレサ・テンの「つぐない」に似ているということ・・・本当にほとんどそのままですね確かに。作曲者は三木たかしさんですが、意図的かそうでないか、影響を受けているのは間違いないでしょう。しかし別にモーツァルトには訴えられませんしね。意図的ならうまいですね。テレサ・テンのファンとモーツァルトのファンがそんなに重なるとも思えないし、気が付く人がいれば「ああ、なかなか巧いな」ですむ話だし。
 で、うちの奥さんに「20番って知ってる?」と聞いたら、「ああ、あれなら演奏したことがある」とあっさり。知ってるとか聞いたことがある、じゃなくて一曲通しで演奏したそうです。さすがに音大出の人は違います。

2008年7月20日(日)
「崖の上のポニョ」についてこんな記事をみかけました。Tech insightより「・・・これまでけして抽象的な展開に陥ることのなかった宮崎アニメのなかで、『ハウルの動く城』は異色の作品であったと言えるだろう。大人から子どもまであらゆる世代が楽しめるというのが宮崎アニメの醍醐味であったはずだが、『ハウルの動く城』を最後までストーリー展開を理解しながら楽しめた子どもは少なかったのではないか。・・・およそ4年ぶりの新作となった『崖の上のポニョ』。公開前のプロモーションが意外と地味だったこともあってか、公開初日、都内のとあるシネコンでは、朝早くチケットブース前に行列を作った子どもたちのお目当ては『崖の上のポニョ』ではなく、同日公開されたポケモン映画であった。・・・結論からいうと、宮崎アニメの復活には、今一歩届かなかったように感じられた。1997年公開の『もののけ姫』が大ヒットとなったとき「どこがそんなに面白いのか分からない」と宮崎監督はコメントしたという。そこまで自らの作品を厳しい目で見つめている宮崎監督は、『ハウルの動く城』、『崖の上のポニョ』をどう評価しているのだろうか。・・・2006年に長男の宮崎吾朗氏が初監督を務めた『ゲド戦記』を見たとき、「素直に作れていた。よかった」と感想を述べていたという。・・・このときの言葉が、あまりにビックビジネスになってしまったが故に、本来の純粋な作品づくりに没頭できない宮ア 駿監督の苦悩を表しているように感じてならないのだ」だそうです。
 私の個人的な感想ですが、ナウシカ、ラピュタ、トトロときて宅急便、ここまでは興行収入はそこそこですがいい作品でした。そのあとの「紅の豚」からぐっと興行的には大きくなりますけど・・・実は私はすでに、ここらから勢いがないように感じた。で、次の「もののけ」では、ご本人もいうとおり、素直じゃない、どこが面白いのか分からない、と私は率直に言って感じたのですが、なぜかこの辺からビジネス的には大成功し、アカデミー賞にまでつながっていくわけです。
 不思議なもんです。まだ地位も名声も盤石じゃなかったころは勢いがある作品だったのにビッグネームになればなるほど、なんか難しくなってしまう。しかしこれ、ミュージシャンにもよくある話ですよね。どう考えても最初の3作ほどが名作であとはビッグネームになったけど明らかに作品は大向こう受けを狙いすぎて作品は地味になっていく。最初にそのアーチストを評価したコア・ファンが基礎を固めてくれて、そこに注目したいろいろな商業筋が乗っかってくる。で、名前が固まるとあとは「名前だけで」盤石の売り上げとなり、いつしか信者集団が出来て、内容にかかわらず賛美するようになり、それを商業筋が必死に支えるからいつの間にか「○○は最近詰まらない」といった批判が出来なくなる。気が付くとコアな初期からのファンが去り、後で乗っかってきた連中だけが数だけ多くなる。名前負けしないように肩に力が入ってどんどん創作は行き詰まるが、もはや巨額の金が動くようになっており引くに引けなくなる・・・。
 私は「ゲド戦記」について全く見る気がなかったのに、あまりの不評だったので、そんなに不評ならば、と見ました。とことん天の邪鬼なので。世間がもてはやすものは信用しないが、世間がやたら叩くものなら見てみたくなる。で、見てみてがっかりした(苦笑)。けっこう「素直に出来ていて」名作とは思わないが、そこそこ以上に普通のアニメだったから。つまりああまでけなされるほどの内容でもなかった。
 で、今度のポニョです。相変わらず宮崎アニメというだけで称賛されるようなら私は今回も見ません。が、もし「詰まらない」という声が出てきたなら、見ます、はい。
 とにかく日本人もいい加減に「有名で人気があるから自分も」という態度をやめてはどうでしょうか。そして、自分でいいものはよく悪いものは悪い、世評などどうでもよくあくまでも自分の判断で責任を持って考えてはどうでしょうか。宮崎アニメもいいものはよく悪いものは悪い。当たり前です。
 しかし、宮崎監督、すでに雲上人・巨匠なんだから今後は一切、スポンサーにもお客にもこびずに本来好きなものをやったらどうでしょう? コナンやナウシカやラピュタ、あれらが生き生きしていたのは氏の本当は好きな要素、戦争映画だからじゃないでしょうか。氏は大変な軍事マニアで兵器マニアであることは知っている人は知っている事実。思想だの環境問題だの教訓じみた要素は後で自然についてくるもので、何よりも本当は好きなもの、を主題に据えてやればいいのじゃないでしょうか。いいじゃないですか、第二次大戦のティーガー戦車の話で。それで離れるようなファンやスポンサーなんて気にしないでもいいと思いますが。

2008年7月18日(金)
毎日新聞でこんな記事を見かけたが、要するに世間で「地球で優しい」のなんのといっているエコというかけ声、実はほとんどエセではないのか、というのである。ようやくこういう話が出てきたかと溜飲が下がる。「<割りばしを使わずマイはしを持つのはただのエゴ><温暖化は二酸化炭素(CO2)削減努力では防げない><ペットボトルのリサイクルは環境に良くない><冷房28度の設定は温暖化防止に意味なし><古紙のリサイクルは良くない> 中部大総合工学研究所の武田邦彦教授(資源材料工学)は、5月末に発売された著書「偽善エコロジー 『環境生活』が地球を破壊する」(幻冬舎新書)の中で、これまで常識として受け止められたエコ活動を、真っ向から否定してみせる。・・・「レジ袋は、もともと石油の成分のうち使い道がなく焼却されていた成分(エチレンなどのオレフィン成分等)からできている。いわば石油の“廃品”を有効利用しているもので、環境には特によい」と主張。返す刀で、レジ袋削減や代わりに使うマイバッグについても「石油の中で貴重な成分(BTX成分)でできていて、使う石油の量はレジ袋の比ではない。また、これまで家庭で生ゴミを捨てる際などにレジ袋を活用してきたが、レジ袋を追放すれば代わりに専用ゴミ袋を新たに買わねばならず、結果的に石油の消費量はほとんど変わらない」と切って捨てる・・・武田教授は「レジ袋を減らしても新たに物を買えば結局ゴミは減らない。国民は石油やCO2の削減になると思って取り組んでいるのだから、精神論ではなく数値で効果を示すべきだ」と反論する。・・・市民団体「食品と暮らしの安全基金」(さいたま市)の小若順一代表は、「ゴミの排出量を抑制するにはレジ袋削減などよりも、新たな消費を作らないことが一番重要。そんなことは誰でも分かるが、消費が低迷すれば景気低迷につながるので大きな声で言う人はいません」とレジ袋削減による効果には懐疑的だ。さらに「新たな消費をあおるもので環境にいいものはない」と言い切る。・・・「地道に取り組んでいることが本当にエコになるのかという疑問は、反論が出るたびに、みんな感じている。そろそろ冷静に、本当に環境にいいことなのか悪いことなのかを検証する時期にきているのではないか。そうでなければ、腰を据えて取り組むことはできない」と話す」というわけだが全く同感である。
 エコと名付けると商品が売れる。それだけのことである。嘘くさい話ばかりだ。また環境を持ち出すと票が取れる。科学的根拠が有ろうとなかろうと、である。
 そう思っていると、今度は読売の記事でも「クールビズでは、設定温度を28度にして軽装するだけでは、作業効率が1度上がるごとに2パーセント低下し、試算によれば、1平方b辺り1万3000円のマイナスになる」というのが出てきた。
 何を今頃言っているのか、と思う。
 クールビズに郵政改革、医療改革、年金改革、非正規労働者改革、後期高齢者医療制度・・・どれもこれも小泉改革とやらの結果だが、いったい国民は何を見ていたんだろうか、と思う。頭が悪いにもほどがあるのではないか。どれもこれもエセ改革であった。それでいちばん手を付けにくい公務員の問題をほっといたから今になって無茶苦茶になっている。・・・まあいい、そういう話はもう書かないはずであった。
 それはそうとしても、エセエコはいい加減にしてはどうかと思う。私はそもそも温暖化と人類の二酸化炭素の問題も本当に因果関係があるのか疑っている。いやあるとしたら、温暖化しているので結果として二酸化炭素が膨張して増えているのではないか? 恐竜の時代には二酸化炭素が多かったのだろうが、もちろん当時、人類など居なかった。
 ◆   ◆   ◆
 野茂英雄選手の引退と聞いた。スポーツ選手についてはほぼコメントしない方針だが、私は野茂選手だけは別格で尊敬している。「それまでやったことがないことをやった。初めてその道を開いた」人間は無条件で賞賛するというのが私の考え方だからである。二番煎じ以後はどれほど成績的に立派でもあまりなんとも感じない。
 これからどうするのか存じ上げないが、これからも群れない生き方をされるに違いないと思う。 
 外国では、せっかちでアグレッシブな人に心筋梗塞が多いが、日本ではまったく逆で、一見すると円満な人のほうが発病するという。つまり外国ではアグレッシブな人が普通で、のんびり屋は天然な人である。天然なのんびり屋は発病しないわけだ。しかし日本では殆どの人が無理をして円満を装っているからで、むしろ一見して攻撃な人は、日本社会では変人であり、いわば我慢したり世間に合わせることなく自分に正直に生きている人なのだそうである。だからかえってストレスはたまらず健康である。円満タイプは我慢を重ねているのであって、天然ののんびり屋とは限らない、ただ周囲に合わせているだけなのでストレスが多く発病する、ということである。
 バカな国だ。まあ、野茂選手はいち早く外国で成功したことから見ても、こういう社会が嫌いな人なのだろう。

2008年7月15日(火)
どうも今年は西の地方がとりわけ暑いみたいですね、今のところ。ことに東海地方がヒートアップしてきたみたいな。私も岐阜の生まれで親の実家の一つが名古屋ですから、あのへんの夏の妙にどーんと熱気の塊がのしかかってくるような暑さは知っております。
 関東はというと、少なくとも私の感じでは夏だからこのぐらいの暑さは当然だろうという程度の暑さじゃないでしょうか、今のところは。8月はどうなるか分かりませんが。しかし去年みたいな40度連発と言うことはなさそう、という話を聞きます。
 インド洋の温度がどうのこうのという話がこのところ出てきますが、こういう場合、西の方があつくて東の方ではやませが吹いて、かえって温度が上がらないことがあるような話も聞きます。ま、そんなに単純なもんじゃないのでしょうね、地球の温度なんて。
 地球の歴史上はもっと暑い時代も寒い時代もありました。要するに人類はたまたまこの数万年ぐらいの気候が望ましい、と思っているだけで、地球環境は人間のことなど考えてくれない、ということなんじゃないかと私は思っておりまして、例のCO2がどうの、というエコ系のお話も、本当に人類のCO2で温暖化しているのかそうでないのか(つまり人類がいようがいまいが今は温暖化の時期なのかもしれないということ)あやしいとは思いますが、それはそれとしても化石燃料に頼らない文明であるべきなのは確かで、アメリカ型消費社会なんて物はやめるに越したことはなく、いかがわしいビジネス的、政治的な話ばかりであったとしても、まあそれはそれである程度はいいかな、とは思っております。
 その中でも今時、目立ってきたのが「車離れ」なんですってね。
 実際、ちょっと渋滞が減ってきているかもしれません、都心など。ただ浦安じゃあまり感じないですが・・・なにしろ観光地ですので。日頃から他県の車が多いわけなんで。
 いやあ、ガソリン自動車の時代はなんにしてもそろそろ終焉です。というか思ったより長く続いております。自動車会社や燃料業界の思惑もあるんでしょうし、なにしろ長きにわたって化石燃料が安かったから当然ですが、私自身も、今の軽自動車を買い換えるときにはもうガソリン車じゃないかもしれない、と思います・・・しかしなんですね、軽自動車の大きさで電気自動車ってまだ作れないですかね。電池を何とかして小さくして。
 とにかくでかい外車を見栄で乗り回すような時代じゃないですね。たとえ金があっても、無駄に大きな車など乗るべき時代じゃないような気がします。

2008年7月12日(土)
大分県の教員採用試験でいろいろ揉めています・・・が、どうなんですか。私の就職活動はもう20年も前のことになりますが、まあ都会は知らず、地方などではコネがない者は諦めた方が無難、と言われていたような気がします。
 教員一家、なんてものがあって、親兄弟親戚縁者がみんな教師、という家が珍しくありません。そういうところの子弟が、一応、どこでもいいから教員免許さえ取得すれば、なんとかもぐりこめる。教職ってそもそもそういうイメージだったような気がいたします。
 私はだから、実習は母校のある茨城県で受けましたが、実際に試験を受けたのは東京都でした。まあ、都会なら成績が良ければ一定数は合格するだろう、と判断したんですね。地方だと本当に年に数人しか取らない場合もあるから、そんな場合にはもう満点とっても採用されない、全部「指定席」の人らで定員オーバーかも知れない、というわけです。
 案の定、東京の高校教員の採用試験では無事に合格しました・・・が、私はそっちには行かなかったことになります。しかし懐かしいですね。私はまだ有楽町にあった旧庁舎まで書類を取りに行った覚えがあります。もう二昔のことになりますが。
 ここにきて世間の目が急に厳しいわけです。それはタクシーの無制限利用にしろ天下りにしろ、かつてはお役人のやるいいかげんなことに世間も寛容だった。民間も右肩上がりの時代には色々いいかげんだったし、役人の役得もまあ、そんなもんかな、ですんだのです。
 それが今は一切駄目。昔からやって来たこと、かつては問題にならなかったことがどんどん駄目になる。これは空気の変化です。
 民間の人らがほぼ、日本国の先行きについて敗北を予感しているのですね、今や。こういう時にいまだ、景気がいい時代の夢を見ているようなお役人に無性に腹が立つ。しかもおまえらが日本国の大本営参謀じゃないか、おまえらがバカだから日本はこうなったんじゃないか、と恨みの矛先が彼らに向かうのであります。
 ま、当然ですわね。
 お役所の人たちは本当に敏感になった方がいい。世間の変化に、です。なんで今まで問題にならなかったのに、もう何十年もやってきたことなのに・・・でも通らないことが大奥なったのであります。
 

2008年7月05日(土)
ポケモンショック、という言葉をご存じでしょうか。今となっては旧聞ですし、ポケットモンスターも昔のような猫も杓子もという人気はないようですが、1997年12月、テレビ東京で放送したアニメ、ポケットモンスターの「でんのうせんしポリゴン」の回で、それを見ていた子供などが光過敏で吐き気やめまいを起こし、病院に駆け込むという騒ぎになった、という話です。ほぼ10年前、当時の子供さんもそろそろ大人になっていらっしゃると思いますが。
 私は当時、30代に入ったばかりでしたが、少し前からどうしたものかアニメのポケモンを見ていて、この「ポリゴン」の回も見ました。赤と青の明滅が激しくあるシーンが確かに多かったと思いますが、何事もありませんでした。
 それで、後で聞けば、この騒動がきっかけでかえってポケモンの注目度がいや増し、世紀の変わり目ごろには国民的、さらには世界的なヒットとなったそうですから、どういうものも乗り越えるべきハードルというか、試練というものがあるのかもしれません。ま、その話はそれとして。
 ところでゆうべのことですが、私は最近、購入したPS3の新しいゲームをやっておりました。ま、少し前に書いたように、近頃はやるにしても初代PSのものばかりやっていて、しかしさすがに32ビット機のころのゲーム、まさにポケモンショックのころの、3Dポリゴンを使っていればすごい、といわれたころのゲームでPS3をやるのはあまりにもったいない、というのもあり、久々に比較的新作を買ったんですが・・・。
 で、問題はそのゲームにはないと思うので、なんというタイトルか書きません、しかしその中のミニゲームで、いわゆるリズムゲーム系のもの、音楽に合わせて○ボタン、△ボタンや□ボタンをうまく押すとクリア、というものでしたが・・・これをやっていて、なにしろ緑色の△と、ピンク色の□をじっと見つめていたら、ふらふらめまいがしてきました。
 それどころじゃない、だんだん立っていられなくなり、吐き気がして、ちょうど子供のころに車酔いしたような感じに。最初は単なる3D酔い、つまりあまりに最近のゲームの立体表現が良くできているために、自分がここにいるのかゲームの中にいるのか分からなくなり三半規管が混乱してめまいが起こる、というものかと思いましたが、だいたいこんなのは目を離せばすぐに直ります。車酔いが車から降りればまもなく治るのと同じ。しかし、今回はひどいんですね。一晩寝て、次の日になってもまるで「二日酔い」のような感じがのこっているんですが、確かに、酒を飲んでいないのに酔っているような感じにも近い。
 これ、やられたんでしょうね。光過敏というの。子供はじっとアニメを見つめるからなりやすい、といいますが、大人もゲームをクリアしようとするとじっと見つめてしまう。それにあのPSのボタンはご存じのように緑、赤、ピンク。それが画面に出てきて、あまりにそれの光ったり消えたりばかりみつめていると、補色ですからおかしくなる可能性があるわけですが・・・いや、参りました。かなり苦しいです。なるほど、これで10年前にも騒いだのか、と今更ながら思いました。
 あんまり真剣にゲームなどやらなきゃいいわけですが、いい年をして不覚でした。

2008年7月03日(木)
先日に引き続き、今度はなぜか梅雨時のウイークデイに伊豆・熱川に行ってまいりました。踊り子号で熱川に行き、バナナワニ園へ。しかしなんか大改装中でして、ワニたちはひたすらじっとしておりました・・・なにか温暖化、温暖化としきりに騒ぐ人がおりますが、少なくとも今年は決して暑くありません。ことに夜ともなると風が涼しく、薄着では寒い時すらあります。そんなことだからか、ワニも動きが鈍くて置物のようでありました。
 そこから熱川のペンション・クノッソスへ。http://www.knossos.jp/ご夫婦二人で経営のアットホームな宿で、地中海を思わせる白いテラスが特徴です。こちらのお料理が絶品ですね。夕食も朝食も本当にセンスがいい。中でもアジのマリネ、ヨーグルトの蜂蜜がけなどは絶品中の絶品。聞いたらアジはお隣の別荘の人が釣ってきたものだとか。当地は熱川の別荘地の中にあるのですね。当然ながら風呂は温泉です。
 翌日は河津のアンディランドへ。ここは世界最大級のカメの水族館です。とにかくここのカメはよく馴れていて、人が近づくと寄ってきます。爬虫類は頭が悪く人間になつかないと思っている人は偏見です。ことにカメは非常によくなつきますし、名前を呼ぶと寄ってくる者もいます。要するになんでも飼う側の心がけ、愛情次第です(そりゃそうでしょう。高等動物のはずですが人間の子供がぜんぜんなつかない、なんてざらにあることではないでしょうか。生物学上の高等下等なんてのは学者の都合にすぎません)。なんといっても巨大なワニガメが見ものです。ぬっと近寄ってきます。それにゾウガメに餌をやれるコーナーも面白い。エサは有料なんですが、カメたちはこちらがエサを買うまでは明らかに無視していますね。で、買うとなると急に近寄ってくる。餌を買わない人は客じゃないわけです。大きな陸ガメがどんどん寄ってきて餌をねだるのがかわいのですが、私は足を踏まれました。でかいカメだからものすごく重い。あれはちょっとびびりました。
 そのあと、伊豆バイオパークへ。こちらは立派な動物園ですが、まあこんな時季外れには人も閑散としていて動物たちも暇そうでした。ここも餌をやれるのですが、なんか羊や山羊が必要以上に飢えているんですね、おそろしい勢いで寄ってきます。キリンは上品にゆったり寄ってきますが、あの長い舌をぐっと延ばされると一瞬、驚きます。
 帰りは適当な踊り子号に乗って夕方には帰宅。いやあ、このあたりは近いですね。
 ということで、このところ近場の旅にはまっているのでありました。

2008年6月28日(土)
先日ですが、公休を利用して一泊二日で養老渓谷に行ってきました。はて? 養老渓谷なら秋だろう、と思う方が多いでしょうが、いいんです、梅雨時のウイークデイにあえて行くのがいいんです。
 私は宿直明けの会社から東京駅八重洲口に出て、妻と待ち合わせ。ここから高速バスで羽田空港―海底トンネルー海ほたるからアクアラインを経て房総半島・金田海岸へ。さらに市原を経て大多喜町へ。2時間ほどかかりましたがあっという間でした。
 バス停のある大多喜町ショッピングセンターの「オリブ」に「粋なやど ホテル十万石」の車が来ていました。さっそく宿に直行。
 梅雨時のウイークデイですからほかのお客さんはほとんどいません。これ当然。しかしまったく手を抜くことないVIP待遇をしていただいて感激。和洋折衷の料理に大満足。中でもカツオのカルパッチョは絶品でした。近くの休耕田まで連れて行っていただきホタルの観賞もしました。いるんですね、このへんにはホタル。
 温泉はほぼ貸し切り状態。夫婦で思い切り満喫いたしました。
 で、翌日は心づくしのコーヒーをいただいてから、小湊鉄道の養老渓谷駅へ。
 久しぶりですねえ・・・単線の気動車なんて。やってきたのは一両きりの編成のディーゼルカー。そして20分ほどゆられてついたのが高滝駅。ここは無人で車掌さんに切符を渡します。
 ここでしばし待つと、予定通り「市原ぞうの国」の迎えの車が来ました。ぞうの国は、日本でも唯一のぞうを中心にした動物園です。サーカスを引退したり、動物園が廃園になったり、という場合に困ってしまうのがゾウさんの扱い。もともと年老いたゾウをタイに里帰りさせたら地元メディアから「日本人は年老いたゾウを捨てにきた」とたたかれた、という事実があって、それならば行き先のないゾウたちを引き取ってしっかり保護する施設を・・・という発想からできたのがこのぞうの国だそうです。
 しかし、実際に行きますとゾウ以外にもいろいろおります。プレリードッグ、馬、牛、トラ、ジャガー、ライオン、クマ、エミュー、ダチョウ、ペリカン、ペンギン……実は一通りなんでもそろっている。じっくり見ていきますと本当に楽しめます。
 ここの場合、園が用意したエサをバケツに入れて持ち歩き、動物たちに与えることができます。が、私たちは入り口近くに陣取るキリンにほとんど最初のバケツを全部、食われてしまいました。あの巨体で「もっとくれ、くれ」と首をのばして迫られますと、ちょっと断れません・・・。
 ゾウたちはいちばん高い所に集まっています。で、一日2回の「ぞうさんショー」になると十頭ほどのゾウが隊列を組んで山を下りてきますが、圧巻です。
 ショーは30分ほど、さまざまな曲芸をしたり、絵を描いて見せたり、お金を渡すとぬいぐるみを鼻で渡してくれたり・・・最後はゾウの背中に乗れる「ぞうさんライド」。なんだかんだいって私どもは夫婦そろって乗ってみました。揺れますが、乗馬と同じでゾウの歩行に合わせて自分の腹筋でコントロールすれば難しいものではありません。なにしろ二階建てほどの高さですが、私はいい気持で「ハンニバルもかくや」と思っておりました。
 その後、高滝駅に戻って鉄道で五井、千葉と経て帰宅。
 旅行というほどでもないですが、一泊二日でこれほどリラックスできるとは。観光シーズンに外れた企画もいいですね。今年は梅雨といっても関東はそんなに降っていませんし、あまり暑くもありませんし。というか日によってはうすら寒いんですけど・・・。
 東京メトロ東西線に乗ったとたん、私がいらいらした表情で「もう、前の人、歩くのが遅い」とつぶやいたら妻が言いました。「二日間、珍しくのんびりしていたのに、いつものあなたに戻ったね」と。都会のストレスで自分はそんなにぴりぴりしているのか、はっとさせられました。歩くスピードも養老渓谷では遅かったそうです。そりゃ急いでも仕方ないですからね。たまにはいいですね、こういうのも。
 
 
 

2008年6月24日(火)
 昨日は犬吠埼沖の漁船転覆でもちきり、のはずでした。死者4人、行方不明13人というのは重大事故です。しかし夜の10時過ぎから、北朝鮮とアメリカが手打ち、という話が出てきてまたまた大騒動に。いやまあ、分かってはいた話ですが、実際に飛び出してみるとなかなか・・・。で、例の寧辺の核施設の爆破を全世界テレビ中継する、というのは本当にやるんでしょうか。
 話が変わりますが「信長の野望」という有名なテレビゲームがあります。自分が織田信長なり武田信玄なりになって、ほかの大名家を滅ぼすか、または臣従、従属させて天下を統一するものです。この中で、どれほどお金を持っていようが軍事力があろうが、領地が広かろうが官位が高かろうが、他家に臣従してしまった大名はまったく何もできなくなります。外交はいっさいできず、戦争も主家の方針に従うことに。逆に独立を維持している大名はどんなに小さい規模で金がなく、兵力が少なくとも文字通り一国一城のあるじ、堂々と外交ができます。
 日本って国は結局、従属国であって、北朝鮮は堂々の独立国、ということなんだろうなと、ふとこんなゲームを思い出しました。サミット議長国をやろうが、G8メンバーだろうが関係ない。何事も主家しだい・・・。そんな感じでしょうか。
 ◆   ◆   ◆
 ゲームといえば。私は高性能のPS3を使って10年も前のPSのゲームをやっています。このところずっとそう。結局、あのぐらいの時代の、まだまだやりたいことが技術的にできないけれどアイデアで勝負、という時代のゲームが面白くてならない。
 「ゼルドナーシルト」「大航海時代」に「シヴィライゼーション」。ことにシヴィライゼーションは最近のものではない、96年の初代のものです。わざわざオークションで取り寄せました。
 ◆   ◆   ◆
 服飾史の本など書いていますので、さぞファッションにも一家言あるかと思われて、好きなブランドはなんですか、などと聞かれることが出てきました。いやいや、服飾評論家ではないので、仕事として50万、100万円の服でも手に入れて着る、という立場の方たちとは違います。あくまでも日常の仕事や交際の範囲で着るべきものしか買わない主義です。私は何事も・・・軍事にしても音楽、あるいは文学、それにファッション、それから仕事にしても「専門家」はともかく、「マニア」と呼ばれるのが嫌いな人間です。その一分野に閉じこもってオタクとなることが出来ない人間なのです。だから身につける物も、いまの自分のポジションに相応のもの、という感覚で考えます。偉い人や芸能人のコスプレみたいになることは好みません。
 それはそうとして、よく使っているブランドを挙げれば。
 スーツは結局、バタクハウスカット、リチャードジェームスです。私の体形は胸囲が1メートル以上、ウエストは84センチ、身長1メートル60というまあ、太くて短いものです。よくいわれる「日本人の体形は前肩でアームホールは細く、肩が小さくて腰回りも細く・・・」などというのが一つも当てはまらないので、身長が低いにもかかわらず、そんな日本人向けアレンジなどしていない服の方が気やすいのであります。痩せてからは既製服で大丈夫になったのでカスタムはしません。ブレザーはブルックスブラザーズ、カジュアルなジャケットはもういろいろなブランド。中には西友の安売りものまであります。気に入ればなんでもいいのです。スラックスはロータやインコテックスが確かにいいので愛用しています。あとはダニエルクレミュなど。
 靴はトリッカーズ、チャーチ、クロケット&ジョーンズとヨシノヤが多いです。アレン・エドモンズ、ヤンコもよく履きます。いずれもあまりに高いものは買いません。実用品ですから20万も30万もする物は使わない。足については今のところ特注は必要ないようなのでしません。
 カバンはBREE、RIMOWA、万双、グローブトロッターなど。あと全く安物のトートバッグをカジュアルなときに。
 タイについては、逆に、タルブで注文したセッテピエゲが気に入っております。あといくつかありますが、あまりこだわりません。3万円のから100円ものまであります。最近買ったのはリプセットの夏用ツィードのタイです。しかし夏になると私はスーツの時以外はタイはしないでショールやリボンもよく使います。何もしない、ということはあまりありません。
 シャツは、これはタルブでの注文が気に入っております。それから新浦安駅前アルマディオであつらえたシャツもいいです。帽子は安物ばかりですが、近頃は癖になったのでほぼ常になにか帽子をかぶっています。野球帽はかぶりません。ああ、軍帽のたぐいもかぶりません、いっぱい持っていますが(笑)。またカフスボタンはこれも30セットは持っていますが高い物で3万円ほど。安い物となると3000円のたぐい。これもこだわりはありませんけれど、お気に入りといえばポールスミスでしょうか。時計はブライトリング、ハンハルト、チュチマ、ラコー・・・こう見るとみんな軍用時計ばかりですね。それからオリエントの機械式をいくつか。これも身につける物だからあまりに高いものは身につけません。傘もいつなくすか分からないものだから、国産の1万円ほどの16本傘を愛用。
 そんなとこでしょうか。全体に「落っことしても惜しくない程度で、そこそこいいもの」というのがポリシーですかしら。


2008年6月21日(土)
新聞社のようなマスコミには、いろいろと真っ当なご意見から、はっきりいって意味不明な言いがかりまで届くものであります。
 最近では、米大統領選の共和党マケイン候補の経歴について、「海軍士官学校卒、とあるが海軍兵学校の誤り。記者は若いのだろうが不勉強だ」と非常に高飛車なおしかりのメールが来ました。しばしばこういうとき、とにかく絶対に自分が正しくて相手は間違っている、という態度で書いてくる人が多いんですけどねえ・・・。この場合も、別にそういう問題に無関心で「士官学校」と書いているわけではない。ただ、アメリカのアナポリス・ネーヴァル・アカデミーの訳語としては「士官学校」でもいいのではないか、ということで、必ずしも日本の記事では兵学校とは書かないのであります。まあ、記者、外部筆者などの書いてきた原文のままでいいのじゃないか、わざわざ統一するには及ばないのではないか、ということです。もちろん「兵学校」と書いてきたものはそのままでいきます。
 陸軍士官学校も英語ではミリタリー・アカデミーで、要するにもともと概念に違いがあるわけではない、あくまで旧日本海軍の兵学校にならっただけの訳語ですから。
 言うまでもなく、もし、旧日本海軍の話題で「海軍士官学校」などと誰かが書いてきたらイヤもおうもなく兵学校に直すべきです。
 旧海軍の場合、成り立ちとして士官以外に下士官兵の教育も担った時代があること、それから兵科学校、機関学校、経理学校と分野別の士官学校という意味合いでもあったから、兵学校と呼んだわけですが、外国の海軍士官養成学校については当てはまらない話だろうと思いますので、士官学校という翻訳でもまあ構わないのではないか、という次第です。
 そういえば先日もある新聞の記事で、ある船の船長さんが取材を受けて「ブリッジ」と言ったのを、記者が勝手に和訳して「艦橋」としてしまい訂正を出していました。英語ではブリッジはブリッジなんですが、日本では軍艦だと艦橋、普通の船だと船橋などと言い分けしなければならないので面倒が起きます。航空機のランディング訓練でも降りる場所が陸地か空母かで日本語では離着陸と、離着艦などと言い分けしなけりゃならない。英語じゃぜんぶ同じです。このへんも面倒です。しかし元々、原語じゃ同じ概念なんですからね。日本人特有の問題です。
 最近は戦艦と軍艦はマスコミではあまり間違えなくなりました。湾岸戦争のときに大いに問題になったからです。バトルシップとウォーシップは概念が違うのだから、一緒にすべきではないでしょう。軍艦は軍用の船全般、戦艦はその中で大砲を主な兵器とする軍艦の一種ですから。軍用機をなんでも戦闘機と呼ぶ傾向はいまだありますが、現在のジェット軍用機はほとんど戦闘機なのでまあ、実態からいうと不都合は少なくなりました。それでもB(ボマー)がつく飛行機、たとえばB1だとかB29だとかを「アメリカの戦闘機」などと書いてきたらちゃんと爆撃機と直すしかありません。
 ◆  ◆  ◆
 戦争当事者の話だから大丈夫か、というと最近はそれも怪しくなってきました。太平洋戦争から実に63年です。終戦時に20歳でも83歳。ある程度、責任ある立場にあった人となるともはや90歳以上です。だから、70ぐらいの人と言っても実は、終戦時には子供だったので、年配者だから正しい記憶とは限らない。以前にも「うちに兵隊さんが何人か泊まりにきて、指揮官は軍隊長さんだった」という投書がありました。投書者は終戦時に3,4歳だったそうです。それでも今では67歳なんですが。「軍隊長」なんて言葉はどうもおかしいでしょう、これは「分隊長」じゃないんですか、ということになりました。
 そういえば年配の方で「マッカーサー元帥の、すい、の字が間違っている。教師の師という字ではないのか」と問い合わせてきた人がいます。終戦時に20歳ぐらいの人のはずなんですが、この人はいままで「元帥」の「帥」と教師の「師」が違う字だと知らなかったらしいから驚きです。戦中派でもこういう人もいるから頭から信用できません。
 最近の例では、「迫撃砲」のことを「追撃砲」だと思っている人がいるらしい。字が似ているので間違えるのでしょうか。前者は「はくげきほう」後者は「ついげきほう」ですね。
 まずもって、20世紀以後の話題で出てくるのはほぼ100%「はくげきほう」の方ですから。ただし、帆船時代の話題なら「追撃砲」もあり得ます。帆船の場合、大砲は脇腹に砲列甲板というのを設けて並べておりました。前方と後方を撃つ大砲は原則的になかったわけです。しかし逃げる相手を撃つには、艦首に大砲を移動して撃った。逃げる方は艦尾に砲を置いて撃つ。で、この艦首の大砲をバウ・チェイサーなんて呼んだ。艦首の追い掛けるための大砲、ですね。日本語で「追撃砲」という。「ついげきほう」というとこれだけです。
 たとえば太平洋戦争で兵隊さんが馬に乗せて運んだ、なんてものは絶対に追撃じゃなくて、迫撃砲のはずです。
 が、こんなことをいちいち説明するのが面倒なんですね、知らない人は知らないですましてしまいますから。それにしても、字が似ているゆえの間違い、というのは日本だけの問題でしょうね。

2008年6月20日(金)
このところは岩手・宮城内陸地震に宮崎死刑囚の刑執行、と相変わらず世の中、いろいろ多事多難です。ニュースがなくてなくて困ってしまう、という日はないもんでしょうか。いや、局地的にはなくもないんですが・・・。
 宮崎死刑囚について、鳩山大臣が朝日新聞の記事に不快感を表明したとか。「問題となった記事は朝日新聞18日夕刊1面コラム「素粒子」。執行再開(93年3月)以降の法相で最多の執行数となったことに触れ、「またの名、死に神」などと表現した。鳩山法相は「マスコミは(執行数を)野球の打率のように論評するが、私は粛々と正義の実現のために法相の責任を果たしている」と述べたうえで、「人の命を絶つ極刑を実施するのだから、私も心境穏やかではないが、社会正義のために苦しんで執行した。恐ろしい事件を起こした宮崎死刑囚にも人権も人格もある。軽率な文章だ」と話した」(毎日新聞)ということですが、この大臣はいろいろ失言もありますが、少なくとも正直に思った通りを言う方です。そしてこの件については大臣の言われるとおりと思います。
 死刑という制度は現在の日本では正規の法制度として機能している以上、そして終身刑がない以上、待機中の死刑囚が100人を超えている状態は異常であって、やはり、法務大臣には任期中に一定数を執行する義務がある、ということでしょう。前に全くやらない大臣も居たので、ここでやるということかもしれません。
 冤罪の可能性がある事件、ことに昔の事件など、警察もまだ戦前の体質でしたから、確かに本当にこの人が犯人なのかためらわれるものもあると思います。しかし宮崎死刑囚とか、今回の加藤容疑者のような、その犯罪事実そのものでは争っていない者の場合、大臣が執行すること自体は全く問題ないというか、義務でしょう。
 私は、個人的な見解では徐々に死刑廃止すべきでは、と思っていますが、現状ですぐに出来る状況とも思いません。終身刑を設ければ設けたで、どんどん数が増えていく受刑者をどうするのか体制を整えないといけません。そんなに簡単なことばかりではないかと。
 ◆   ◆   ◆
 ところで、先日に浦安市でお祭りがあったのですが、4年に一度の大きなもの、と前にも書きました。
 この4年の間に、私の妻の実家が市内で引っ越しをしたのですが、その理由というのが、旧市街の静かなところで暮らしたい、ということでした。で、ある神社のすぐそばの閑静なところに転居したのですが・・・。
 ところが、今回のお祭りで分かりました。4年に一度、とんでもない大騒ぎになるのですね。静かに暮らす、どころかもうフルに引っ張り出されて町内会でフランクフルトだか焼きそばだかを焼く羽目になったそうであります。家の前も露店がずらり並び、その数は少なく見ても数百件。朝の5時からトルコ人がやってきて、「お騒がせしマース」といって手ぬぐいおいていったとか。
 4年前と比べ、トルコ人の屋台の多さが目に付きました。もっともトルコ人以外もいたかもしれない、外国人の屋台。みんなトルコ料理ケパブの屋台なんです。この露店の国際化は新しい傾向。でもなぜかみんなケパブ。ほかのものはないんですね。
 最近は露店も種類が制限され、おそらく仕入れなどの問題があるんでしょうが、規格化されてつまらないな、と思いました。

2008年6月13日(金)
 久々に丸の内のリプセットに行きました。実はM16の村松代表に私の著書『スーツ=軍服!?』を贈呈したところ、内見会においで、とのご招待。前からリプセットさんではいくつか買わせていただいていますので・・・で、今日、うかがいました。
 おもしろいものがいろいろありましたよ。ものすごく軽いジャケットに、細かいタータンチェックのベスト、なんと同じ生地のシャツもあって、村松さんに依れば「このシャツとベストを合わせて、これでグレーのスラックス、足下は革底のいい靴、なんてかっこいいと思いますよ」。うん、たしかにそれはかっこいい。正体不明の大人、という感じでしょうか。全体にこちらの商品はそうですよね、私は好きです。バラクータの古いトレンチコートをモデルにしたトレンチもいい感じ。あれはなかなかいいですねえ。「今時風の細く仕上げないで、昔のだっぷりしたままの作り」を再現したのだそうです。これも余裕があったら欲しい。ただまあ、けっこう単価はそれなりなのでなかなか買えないんですけどすみません。いやあ・・・言うまでもなく秋冬なんですけどね、物は。東京はこのところ涼しいもので、今日は久しぶりに暑いのですが・・・冬場の商品、さすがに暑く見えます。
 しかし、次の秋冬もこれは面白そうですよ。丸の内なんてありとあらゆるブランド、セレクトショップがひしめいていますが、リプセットは「ここにしかない」感じがありますね。私は好きです。
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 政局が色々・・・ですが、私は知りません(笑)。来年の秋まで総選挙はないと思いこんでおります、はい。いや、別に政権与党にずっと頑張って欲しいなんて思っていません。ただ、私が夏休みを取り終えるまでは何事もありませんように・・・。個人的都合だけです、はい。今年も早めにとるつもりです。
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 実は今日の夕方から、浦安では「三社祭」というのをやります。神田の三社祭にならったものだと思いますが、市内の三つの神社の御輿がせいぞろいします。これがなかなか、非常に盛大な物です。三つの神社周辺にはものすごい数の屋台がでます。我が家で飼っている最初の金魚は前回の祭りの金魚すくいでとってきたものです。4年たって、その金魚ははじめの4センチぐらいから、もう30センチにもなってフナみたいになっております。旧市街地の家では手伝ったり、寄付をするのはほぼ当然の義務となっております。4年に一度、五輪や米大統領選の年にやることになっています。ディズニーランドの浦安とはまた違う、古い浦安の魅力が味わえると思います。お近くの方はぜひ。


2008年6月10日(火)
 会社に行きましたら秋葉原通り魔事件「加藤智大」の話題一色。たまたま犯行当日が新聞休刊日だったこともあり、いい加減になりがちなリアルタイムの初報よりも、かえって重く厚く扱うのでありました。そういえば8日というのは大阪・池田小事件の日、なんですね。似たようなヤツが似たようなことをしたような。
 ま、なんとかかんとかコメントする気も起きませんが、たとえば読売新聞のコラムでは「世の中が嫌になったのならば自分ひとりが世を去ればいいものを、「容疑者」という型通りの一語を添える気にもならない」と書いていまして、まあその通り、というところです。
 こんなことをしでかすところを見ると容疑者は、秋葉原を知ってはいてもアキバ系というような人間でもないのでしょう。かえって「みんな楽しそうに歩いてやがってむかつく」といった感性なんだろうから。アキバを愛する人からすれば憎むべきヤツでしょう。なんでもいいがつまらんヤツです要するに。あんまり、近頃の格差社会の問題と結びつけて、なにかこの男が一定のメッセージを発しているかのような論調にはしないほうがいいと思われます。実際、それほどの考えがあるとも思われず実にくだらないヤツなんでしょう。少しでも考えがあるならサミット期間中にでもやるでしょうね。
なんでも小中学校では優等生、でもその後は優秀な人に囲まれて挫折というありがちなコース(そんなの誰でも経験することじゃない。高校、大学、社会と進むに連れ、ちょっと出来る人はみんな、小学校じゃ首席でしたみたいな人ばかりだと気づいて愕然とする、なんてのはどんな人でもある年齢で経験することでしょう)、そんで今の職場じゃ「会社に居場所がない」とか勝手に首になったとか思いこんだのが原因。こんなのは、「俺、もうダメかも知れない、首になるかも」と思って落ち込むなんて社会人なら何度か経験有るのは当たり前、どんな人でもトラブル起こしたり、左遷や解雇の妄想が膨らんだりして、一度や二度は会社に行く気がなくなるほど落ち込んだことぐらい有るでしょう、それ、どんな恵まれた会社の正社員であっても同じです。ことにこの容疑者、格別に酷い目にあっているとも今のところ思えず、やったことから見て、派遣だから、不安定だからかわいそうみたいなことで同情したり酌量したり出来る範囲にはないですわね、このケースの場合。
 おそらく「自分は結構、大した人間なのかも」と小さいころに思いこみ、その後、世の中、甘くないと知って墜落していく・・・本当に見ているとこの手の通り魔犯人の類型は似ています。本当にみんなそういう連中。初めから劣等生でした、というのはこういう犯罪はしない。簡単に言えば世間知らず。元優等生。ひとつの特徴として、人生もうダメだと諦めるのが非常に早い。小さいころになまじいスケールの小さい栄光を味わっているのでものすごく打たれ弱い。泥水すすってもなんとかしよう、というほどの迫力はないくせに世の中を逆恨みする。本当は自分の器では大して通用しないということが客観的には分かっているが認めたくない。
 何をするにしてももう少しなんかないのか、とは思います率直に言って。意味がなさすぎる。またまた「死刑になりたかった」と言ってるみたいですが(それにしても犯罪の発想まで人真似しかできないとはつくづくくだらないヤツです)、本当にこういうのはコロシアムで猛獣に喰わせて、見せしめにしたほうがよろしいのではないか、と。あ、古代ローマの闘技場では、午前の前座で犯罪人の「処刑ショー」をやったんですね。猛獣に喰わせたりプロの剣闘士と戦わせたり(もちろんなぶり殺しになります)。野蛮なようですが被害者が私刑するよりはずっと文明的、と理解されていたらしい。教育的にも公開処刑はむしろよいこととされていた。「見せしめになって死ぬのは、役立たずな犯罪者の唯一の社会貢献」と当時はされていた。厳しかったのである。で、午後のプロのショーでは、案外、思われているほど剣闘士は死ななかったらしい。いい試合をして負けた闘士は助命が普通だったそうなので。
それにしても、今の日本の死刑ってのも、実はあまり楽な死に方じゃないそうですよ、聞くところでは。絞首だから決して安楽な死に方では・・・。特に、朝、突然に「今日、執行するから」と言われて2、3時間以内、昼にはやってしまう。いきなり読経の鳴り響く部屋に入れられ仏壇を礼拝した後、目隠しされて・・・死刑囚はもちろん、頭では分かってはいても、その時が来るとあまりのあっけなさに、みんなびびりまくるそうですが。
にしても、うかうか歩いていられませんね。今回のように歩行者天国にトラックで突入されたらどんな人でも避けられないでしょう、ゴルゴ13みたいな人ならともかく。しかし、あくまで一般論として、日ごろから日本の街では、人は皆、あまりに無警戒に歩きすぎるとも感じています。ことにヘッドホンしてケータイなど見ながらのろのろ歩いている若い衆って大丈夫なんだろうか。もう世の中、殺伐としてきてるんだから、相応に緊張感もってないといけないんじゃないかとも個人的に思います。そのへんの他人を信用しきっているのは危険じゃないかと思うのであります。


2008年6月06日(金)
6月6日です。ノルマンディー上陸作戦の日ですね、とほぼ毎年、書いております。私のような「病気の人」にはなんでもかんでも、その手の話題になりがちなので、今日はよしておきます。
 ところであの「タクシー接待」っておかしいですね。東京新聞によると「町村信孝官房長官は六日午前の衆院決算行政監視委で、深夜タクシーから金品の授受を受けていた中央省庁の職員数が計五百人余、乗車回数が延べ約七千九百回に上る調査結果を明らかにした。職員が乗車中に運転手から手渡された金品数の合計は、約一万二千四百件だった・・・福田康夫首相は接待の実態について「びっくりした。国民から疑念を抱かれることを一切すべきではない。当たり前のことを、どうして守れないのか」と官僚の体質に強い不快感を表明した」とのことでした。
 しかし、びっくりした、といって、こんなの大昔からあったことだと思いますが。にしてもすごいですねえ・・・なんでも毎回、商品券もらっていた人がいるそうで。年間150回で30万円とか40万円とかになるとか、ねえ。
 そんで、まあ中央省庁の公務員の皆さん、お忙しいのだとは思います、思いますが、別にどこの会社の人も忙しいんですけどね。毎夜のように深夜までいてタクシーで帰る、それも公費で、というのは本当に意味のあることでやっておいでなのか、なにか慣例でやっているのか・・・どうなんでしょう。
 そういえば、橋下大阪府知事のリストラ案について、ある大阪の女性教諭がブログで「知事は月給130万円、私は手取り34・5万円。こんな薄給ではやっていけません」などと書いて「炎上」したとか。まあ手取り35万円で「薄給」というのは書かない方が良かっただろうなあ、確かに、と。今の大阪の状態からいって、やがて夕張市みたいになったらそれどころじゃないはずですが。月給10万円とかになりかねないのでは?
 いえ、まあなんというか、ずーっと官の経験しかない人ってのは、なんかずれているなというふうに思うだけです。

 ライブドアにもこんな記事がありました。「とにかく、退庁時間が過ぎても役所に残ってさえいれば、残業代は貰える。その結果、新聞を読んだりテレビニュースを見たりしながら、過ごしているのである。さらに悪質なのは、勤務時間中にダラダラ仕事をして、退庁時間を過ぎてから突如熱心に仕事を始める職員である。これで大手を振って残業代を稼げるばかりか、仕事熱心な人と評価されたりする。なんのことはない、勤務時間中にダラダラしているか、残業時間にダラダラしているかの違いだけである。なにしろ税金で給料をもらっているから、身銭意識がない」まあどこのどういう役所の話かは特定されていませんがこれね、実際20年ぐらい前は民間企業もこうでしたよね確かに。ずっと会社にいる人間を評価するアホな部長が居たりしましてね。まあ90年代の半ばぐらいまでは。今じゃ、仕事があっても残業は許さない、というのが普通なわけでしょう。まあ、なんかいろいろな点でお役所って20年ほど前の感覚のママなんですよね、おそらく。



2008年6月03日(火)
 超党派の国会議員が「量刑制度を考える超党派の会」という議連をつくって、年内にも「終身刑」を作る法整備を目指す、という話があります。これ、どうも前からあった「死刑廃止議連」がなかなかうまくいかなくて、それなら「終身刑議連ならどうよ」と募ったところ、こっちは案外、たくさんの議員が集まったということだそうで。
 つまり「死刑廃止」はあんまり議員の間で人気がないが、「終身刑設置」はいい、ということのようです。ことに来年の5月、今ごろには既に裁判員制度が始まっているので、その意味でも選択肢を増やしておかなければ、ということだと。確かに、日本の制度では死刑と無期懲役(ということは、無期といっても服役10年以上たつと釈放もあるということで、最短ではわずか懲役10年と同等です)の間にはギャップがありすぎる、とは誰しも思ったことがあるはず。もっとも実際には仮釈放はきわめてハードルが高く、光市事件の元少年が書いたような甘いものではない。さいきんでは50年以上も服役している無期囚もいるそうな。これは既に、ほぼ終身刑と同等ですね。
 私はまあ、自分の好みで言えば終身刑は賛成、死刑は徐々に廃止、という感じです。しかしまあこれについてはいろいろ意見があります。死刑になりたいといって殺人する者まで出てきていますので一概に言えないのですが、逆に死刑を厳しくする、という話だけは出ませんね、さすがに。いえ、古代ローマみたいに重大犯罪者はコロシアムで猛獣に食わせて見せ物にする、というのも一案じゃないでしょうか。ローマ帝国では「犯罪者は市民として役立たずな者どもだが、最後に死をもっていくらかの社会貢献ができるのである」と説明していたそうです。厳しいですねえ・・・。
 それで、問題も山積の中でひとつ、議論になっているのが、「絶対に釈放の望みがない終身刑の囚人が自暴自棄になるのでは」ということだそうです。受け入れる看守としては、確かに今まではそういう制度がなかったのだから気になるのでしょう。
 それで、最近アメリカのテレビ番組で見たのですが、アメリカのある州では、終身刑の囚人で犬好きの人たちに、虐待されて心身の傷ついた犬の世話をさせているのだとか。これがなかなか感動的で、人間不信に陥っている犬たちを、殺人などを犯した囚人たちが献身的にケアし、ちょっと病気になったというと涙ぐんだり、里親探しには必死になったりして・・・「こんな優しい人たちが本当に重大犯人なの?」と思われます。
 期限内に犬をケアし、しつけをして、見事に里親に引き渡さないと、その犬は殺処分、つまり処刑されてしまいます。だから囚人たちはもう涙ぐましいほど努力します。
 彼らは二度と社会には復帰しないのですが、おそらく、壁の中で初めて人間らしい心に目覚めたのでしょうね。あれ、いい話だと思いました。日本では出来ないでしょうか。


2008年6月01日(日)
6月に入りました。自衛隊機がどうのこうの、という話がありました。どうしても関係する文脈では「戦後初」という言葉を入れたい、という意向がこれにかかわるあたりであったらしく、しかし自衛隊なんて戦後に出来たものだから、なにをしても戦後初なのは当たり前ですよね? なんなら「日本軍、のようなものを中国に戦後初派遣」とかすべきだったのでしょう。 そういえばクラスター爆弾の話もありました。あれ、日本のような専守防衛の国にはいい兵器・・・いい兵器という言い方はないでしょうが効率のいい兵器でした。しかし周辺国、つまり米中露韓朝の各国はあの爆弾を廃止しないので、日本としては本当にあれでいいのか、という声が防衛筋ではあるようであります。
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さいきんは論評をあんまりしません。面倒くさいからです。どうせ世の中十人十色、波長の合わない人に無理に合わせる必要を感じないのです、近ごろ。 それから批判、中傷、悪口を基本的に書きません。嫌いなものなんて政治家にも芸能人にも世の中のあらゆるものにも無数にありますが、そういうものについて書きません。無駄な努力はしないことにしました。 ブログなんて所詮そんなもんでしょう。
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近ごろ、グリナという味の素の製品をのんでおります。 http://www.ajinomoto-ff.com/glyna/index.asp?p=fl012879aw  とにかく、ほとんどの日は夜勤で明け方まで仕事なんですが、週に1回は朝出勤、また週に1回は宿直勤務です。普通の人と生活リズムが6時間ほどずれているのに、週に2日は普通の人と同じような時間で動かないと行けません。これ、ほぼ毎週、海外旅行をしているようなものです。時差がきつい。いつも朝の8時に起きている人に、無理矢理に夕方の6、7時ごろに就寝して、深夜2時に起きてすぐに仕事をするように強要するのと同じことです。 当然、慢性的な寝不足で頭の芯が疲労しております。たとえ就寝してもいつもより6時間ずれていては眠れるわけがありません。 それで上記の製品を試してみました。個人差があるようですが、私には非常に効くようです。これは睡眠薬じゃありません。実際、睡眠薬で無理に寝ても寝覚めは非常に悪いものです。グリナは眠くなる訳じゃなく、快眠したときと同じような疲労物質の分解をしてくれるアミノ酸が入っているようです。だから、必ずしも睡眠できるわけではない。それでも、確かにすっきりしまして、頭の重さがとれている。だから1、2時間、眠っただけで無理に起きても仕事が出来る。こいつはいいです。海外ビジネスが多い人に愛用者が多いとも聞きますが納得です。
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ところで、トム・クルーズって最近、あまり聞きませんが、間もなく映画「ワルキューレ」公開なんですってね。いろいろ事情があって延期が続いているみたいですが。彼がシュタウフェンベルク大佐? もっとも写真を見るとなかなかよく似合っている、というか本物がかなりハンサムですから。しかし確か、かつてはクルーズと並んで人気のあったチャーリー・シーンがテレビ映画でシュタウフェンベルクをやっています。まあ、欧米の俳優が気兼ねなくドイツ軍人を演じるとなると、ヒトラー暗殺を企てたシュタウフェンベルクぐらいしか役がないのでしょうけど。でも、ドイツ映画でも「オペレーション・ワルキューレ」とかありますし、古いドイツ映画でもこの事件は何度も取り上げてるし。やっぱりドイツ語じゃないと変だと感じますけど、どうせ英語なんでしょうしね。写真を見る限り、クルーズのシュタウフェンベルクは参謀用の線の入った乗馬ズボン、襟章はどうかな? ちゃんと参謀用の襟章なんだろうか、よく見えません。

2008年5月30日(金)
 なんか寒いんですが、東京近辺。涼しいと言うより、薄ら寒いほどですが。こういう暑いのだか寒いのだかはっきしりない時期は気を付けないと本当に、また風邪ひきますね。
 先日、自ら亡くなった川田アナウンサーの最後の出演番組、というのを私もユーチューブで見ましたが、そもそも精神的に不健康だったとすると、あの内容(青木ヶ原樹海の自殺者の特集)はこたえたかもしれません。しかし仕事だから、内容を選べませんしね。
 実はあの日はいくぶん元気だった、と共演者が言っているようですが、あれは本当で、鬱の状態が最悪の場合は自殺すらする気力がなくなるそうです。だから、「お、ちょっと元気になったかな」と思ったときが実は危ないのだとか。
 私も、数年前、何をやってもうまくいかない、とかなり鬱状態に陥ったことがあります。きっかけはある編集者の態度が気に入らなかったのと、時を同じくして仕事上でトラブルが複数あったこと、そんなことが2、3重なると「どうして自分は何をしてもうまくいかないんだろう」とか「なんで他の人は順調なんだろう」とか後ろ向きな発想にはまってしまいます。で、後で考えると、客観的に見てそこまで悩むようなことではなかった、しかし一つの考えに固定してしまうんですね。そういうところにはまりこむと、傍目には「何であの程度のことで悩むのだろう」と思われるような、一見して幸せそうな人がどんどん鬱に落ち込んでいく。私の場合は、特に病院に行ったりする前に、ある本を読んでいて「おや、つまりこれは鬱なんじゃないのか」と自分で気が付くことで、呪縛が解けました。急に「考えてみると大したことないじゃないか、もっと面倒なことは幾らでもある」と冷静に思えました。だから外野から「あの程度で悩むなんて贅沢だ」的な批判をするのはきわめて馬鹿げていると思います。主観的な地獄なので所詮、他人には分からないのです。
 良家に生まれて誰しもあこがれる大手局のアナウンサーになり、仕事も順調、美貌にも恵まれ・・・そういう華々しい人生を歩む人でも、その人としての悩みは深いという、当たり前のことですが改めて人生それぞれ、の思いを強くしました。本当のところ、仕事が少なくなっていたから、とか、あるいは四川の大地震やミャンマーの災害などというこの時期に、報道をやりたかった自分がこんな仕事をしていていいのか、といった焦りや、ほかに男性の影とか・・・いくつか原因が憶測されていますが、おそらくは複合的なもので、しかし、あの最後の番組がちょっと刺激が強すぎたのは確かかもしれません。
 実際の所、むやみに他人の境遇をうらやむのは馬鹿げている、と近頃は思うことが多いのですが、この場合もそのような一例なのかな、と。


2008年5月25日(日)
先日、というか金曜日にある人の異動に伴う送別会があったのですが・・・しかし酒に弱くなりました自分。2日たったのにまだ疲労が抜けません。近ごろは全く、ほぼ飲酒の習慣がなくなりましたので、あの程度の飲酒でももはやついていけない。30代前半までは仕事上も週に3,4日飲むのが当たり前でした。ここまで受け付けなくなるとは・・・。
 体質変化といえば、まえにも書きましたが本当に冷房が嫌いになりました。このところさすがに気温が上昇してきましたが、私はまだ冷房は勘弁してほしいです。本当にのどが痛くなる。今日などもわざわざ冬のベストなど着込んでおります。深夜になって社内の人数が減ったころにはこれでちょうどよくなる。
 先日の健診でも医師から「メタボじゃないですね、大丈夫ですよ」と言われました。ほんの1年前にはウエストが94センチぐらいあったわけで、1年で10センチ以上、腹の脂肪がなくなったのだから寒く感じるのは当然でしょうか。それに全身の無駄毛もそり落とすようになりまして(運動には邪魔ですから)、おそらくですが、かつての私より体感温度が3度とか4度とか、それ以上下がっているかも知れません。これは大きい。以前の25度か今の私には21度とか、以前の30度が私には26度でしかないとかいうことです。
 どうも今年も私はクールビズには無縁のようです。逆にどこまで自宅で冷房を使わないでいけるか、のほうが問題かも知れません(昨年も35度ぐらいになるまで入れませんでした、そういえば)。
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 パワーポイントの話、というのが話題になっています。トヨタの渡辺社長が「パワーポイントの資料なんて時間と経費の無駄だ、とおっしゃったらしい。実際、社外プレゼンならいざしらず、社内向けには一種の虚礼のようにも思えます、パワーポイントの資料。ライブドアにはこんな記事が。「2008年5月20日付けの「ダイヤモンド・オンライン」には、トヨタ自動車の渡辺社長のこんな発言が掲載された。「今は何でもパワーポイント。枚数も多いし、総天然色でカラーコピーも多用して無駄だ」もっとも、トヨタ自動車は「パワーポイントを使用するなという意味で発言したのではない」と釈明、「円高や原材料高で業界全体が厳しい中、今こそ原点に帰り、仕事の効率を見直すべきだという意味で伝えた」と説明している。渡辺社長の意図がどこにあるにせよ、世界的大企業のトップの発言で、仕事の効率にかかわる事柄ということもあり、反響は大きかった。記事には400件を越すコメントが寄せられている。「パワーポイントで会議レジュメを作る奴 ほんと多くなった。はっきり言って無駄が多い。普通にワードでまとめた方がいいものができる」「パワーポイントって、単なる文字情報でいいものに、ゴテゴテとデコレーションを施して大した事もない情報を素晴らしいものであるかのように見せる為の粉飾技術の事」さらに、「資料造りが仕事だと勘違いしている奴が増えている事は事実。見た目は良いけど内容が薄くて見るに耐えないものもある」といったコメントも載っている」
 ま、私は実際の所、社内会議ではA4の1枚紙に入る情報で十分、社外用のプレゼンなら、いろいろ見せ方の工夫としてあるだろうとは思うけれど、今の企業の幹部たちは世代的に言ってもこういうものの技術や一見した見た目で、判断を左右されないような気はします、そもそも大して興味がないというか。ITものではったりがきく時代はとっくに終わってますし。それに、今のオフィスでは「資料造りが仕事だと勘違いしている奴」はいるんでしょうね、実際。役所なんかもそうでしょう。役所というとなにごとについても、無駄に分厚い資料がいろいろな省庁とかなんとか会議とかなんとか委員会、検討会議だかから、次々に回ってきます、うちの会社なんかでも。それを見るたびに、忙しい忙しいと彼らは言うが、要するにこんなペーパーを作って偉いさんに見せることに忙しいんだろうな、と推察するわけです。

2008年5月23日(金)
 「ナルニア国物語 第二章 カスピアン王子のつのぶえ」を見て参りました。話題作の第二弾です・・・見終わっての感想を言いますと「なんか、すごい戦争映画になっちゃったな」と。これは悪い意味じゃありません。よくまあかくも立派な活劇に仕立てたものと感心しました。
 といいますのも、実は原作のほうはけっこう地味というか、読んでみるとシリーズの中ではやや、盛り上がらない感じといえばいえるんです。これ、「指輪物語」でも緊迫感ある第一部、クライマックスの第二部と引き比べて、ガンダルフが行方不明になっている間の第二部がちょっと間延びしている、のと似ているかもしれません。また、原作の展開が、本筋の大事なところを登場人物の回想、会話で処理している部分が多いところもちょっと似ています。映画でもロード・オブ・ザ・リングの第二部はいまいち話題にならなかったですよね。なにしろサルーマン軍の壊滅のくだりは原作じゃ、全部、回顧談に出てくるわけという有り様ですから。
 さてそれで、今回のナルニア第二部もそんなところがあって、原作では、久々にナルニア国に舞い戻ったペベンシー兄妹が「おや、ここは昔我々が暮らしたケア・パラベルの城の廃墟だ!」と気が付くまでに相当なページが割かれますし、その後も、捕虜になっていた小人から一部始終か語られるのですが、その中でカスピアン王子の話もあかされる、といった展開。けっこう読んでいてまだるっこい。そしてこの話、全体に何か牧歌的。
 なんでもC・S・ルイスは第一部だけ単発の予定だったが、好評につき第二部以後を書き足したそうで、あとで全部をつなげるとなんとなく一部が浮いている感じがするのもそのため。で、第二部は以後の展開のためのつなぎ的な役目を負ったんですね。
 そういう訳なので、映画化に当たっては原作そのままだとけっこう冴えないことになりかねない、という部分でかなり苦心しています。しかし、後で読み返してみると、確かに大筋としては映画に出てくる通りなので、決していい加減にオリジナルをいじくっていることもなく、なかなか巧妙だと思います。というか、「ああ、つまりこういう話なんだな」と映画を見て見直したような感じ。
 とにかく非常にシビアな戦争シーン満載の娯楽作品に仕上がっております。ファンタジーと言うより中世の合戦映画もののよう。ベン・バーンズ演じるカスピアンは、話の筋からいってちょっと頼りない人物、ということなので、前宣伝のイメージに比べて案外、活躍しない気がします。しかし、この人物は次の第三部のほうが本当の主人公なんでこんなものでしょう。4兄妹は前作同様の熱演ですが、上の二人、ピーターとスーザンがこれで引退なのが残念・・・。どうなんでしょう、ちゃんと原作通りに映画化するなら、ピーターは最後の弟7部でまた登場するはずなんですが、ちょっと役者としては間があきすぎになりはしないかな、と。そして、スーザンは本当に二度と行かない、わけですね。
 原作では話題しか出てこないティルダ・スウィントンの魔女がちょっとだけ出てくるのも、うれしいサービス。この人も、むしろ後の章でまた出てくるはずなんですが・・・。
 


2008年5月19日(月)
 あのポテトチップスの湖池屋さんが創業50年なのだそうですね。で、私が知らないうちに妻が、その50周年記念プレゼントに応募していたのですが・・・突然、コイケヤのポテトチップスやカラムーチョが満載の段ボールが我が家に届いてびっくり! 見事、当選したのだそうです。その当時のコイケヤ・チップスの復刻品が入っていまして、透明な袋なんです。懐かしいな、たしかに昔はこんな袋でした。今は、保護を考えて中身は見えないのが普通ですが、当時はチップスに皆さんのなじみがなく、中身を見せる必要があったに違い有りません。
 創業者の方がポテトチップスに出会ったのが1960年のことだそうです。私が生まれる7年前のこと。昭和30年代半ば、ですね。まだまだ「戦後」という印象が残っている時期だったでしょう。考えてみますと、私も幼稚園や小学校時代にポテトチップスなんてあまり食べた覚えがありません。むしろ「かっぱえびせん」のほうが記憶にあります。当然のように食べるようになったのは中学生ぐらいからのような気が致します。
 飽食の時代のなんのといいますが、案外、底が浅い話といいますか、カップヌードルなんてものも私が小学1年ぐらいの時に出現して、当時はもれなくフォークが付属していましたが、非常にもの珍しい食べ物だったのをよく覚えております。
 そういえば、そのころ読んでいた漫画はジャンプの「トイレット博士」でしたね。ジャンプも、この漫画のヒットまでは大した雑誌じゃなかったような記憶もあります・・・。
 当年41歳。今の世の中じゃまだまだ若い部類に入ると思います。しかし、子どものころには蒸気機関車も3輪自動車も見ております。1ドル=360円でした。
 結局、日本が今のような文化にどっぷりと浸ったのはせいぜい、ここ20年ぐらいのものなんだな、と思うと大したことないんだな、と思います。
 それを思えば、さらに短期間で繁栄してきた中国が、どこか上っ面というか、足が地に着いていない感じなのも無理もないのでしょうね。

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 最近「水着問題」とよくいいますが、こんな話なんですね。「イギリスに本拠を置くスポーツ・メーカー、スピード社が開発した水着「レーザー・レーサー」は、抜群のフィット感に加え、縫い目のない製法を取り入れたことより、200mで約1秒のタイム短縮が実現できると言われており、これを着用した選手が相次ぎ世界記録を更新。その成果が話題となっているが、日本水泳連盟公認メーカーは、ミズノ、デサント、アシックスのみで、スピード社は使用できない、いわゆる「水着問題」。18日には、中村礼子ら、一部の選手が国内大会でスピード社の水着を着用すると、自己ベストに迫る好タイムをたたき出し、スピード社導入の声に拍車を掛ける結果となった」・・・なるほど。英国発といいますと、かつて英国海軍がドレッドノートという新型戦艦を開発し、世界中の戦艦が時代遅れとなってしまったことがあります。そのあまりにもひと時代すぐれた性能にショックを受けた日本人は、以後、ものすごいもののことを「超弩級」(ちょうどきゅう)といいます。「超ド級の衝撃」なんて今でも新聞の見出しなんかでありますね。水着の超弩級という感じですね。そういえば、以前はスピードスケートでも新型靴で同じような話がありましたが、日本の水着メーカーさんは8月までにスピード社並みのものが作れるのでしょうか。



2008年5月17日(土)
皆様、お久しぶり・・・実はあの後、風邪が悪化。おまけに妻にもうつってしまいまして声が出なくなる始末で、もうこのところ活動停止状態でした。
 その間、ミャンマーでああいうことがあるし、四川でああいうことがあるし、あとはもうなんでしたか、殺人事件も多いし、エスカレーターが止まるし、まあいろいろありましたけれども。少々、熱があろうがなんだろうが、会社はそうそう休めないし、しかし大事件があるたびそりゃもう振り回されますし・・・いやあ。
 それはそうと、そろそろ次の本の執筆にもかかっていまして。今度はかなりミリタリー寄りな内容になるかな、と思っておりますが、もちろん、一般的な服飾ファンの方にも読んでいただければ、というような感じのもの・・・まあ、おおむね世界の軍服の通史、というようなものです。なかなかそういう本がないんですよね、驚くことに。ドイツ軍の本、米軍の本、そういう個別専門分野の本は山のように汗牛充棟しているんですが、トータルの流れや由来を知りたい、となると案外、こたえてくれるものがない。詳しい方は多くいらっしゃるはずなんですが、やはりかえって詳しい人ほど面倒になってしまうのだと思うのです。同好の人がうるさいとか、いろいろ考えてしまうこともあるでしょう。
 そうなると、不完全でも何でも、素人の自分でやるしかない。不足は読者や後に続く人に補って頂くしかない、と思う次第です。
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 それにしましても、つい4月に都淵江に旅行した、という人からメールが来たんですが、あのときお参りした廟もみんな倒壊してしまった、と嘆いていました。
 日中、いろいろいきがかりがありますが、向こうはどう思うか知らない、日本人はこと地震については、日頃どう思っているとかいないとか関係なく、なにしろ他人事じゃない国柄ですので関心も高く同情もします。ここは妙にうがった見方をせず、こちらが援助したいという申し出には素直にこたえていただきたい、と思うところです。

2008年5月08日(木)
 なんか風邪ひきました。暑いのか寒いのかはっきりしないこのごろ、思いきりよく冷房をガンガンつけてくれている電車や建物がありますが・・・勘弁してほしいな、と。けっこう乾燥した風が吹いてきて、蒸していない日など、一発で風邪ひきます。地球温暖化=なんでもかんでも暑くなる、というイメージは違うと私は思うのですが(今でも、本当に人類のCO2が地球の平均気温を左右しているのか、もっと大きな原因によるのか実ははっきりしないとしている科学者も少なくないのですが。今や地球にやさしい、といえば政治家は票が取れる、企業もかえって商品が売れる・・・私はけっこう騙されないようにしないといけないのではないか、とむしろ懐疑的に見ているのですが)。

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映画「スパイダーウィックの謎」を見てきました。近頃、大活躍の名子役フレディ・ハイモア主演のファンタジーで、原作は2003年以後、5冊が刊行されている童話だそうであります。

しかしながら、子供向け、というイメージで売り出しているようですが、脚本が巧みでそう一筋縄でいかない作品に仕上がっています。1920年代、妖精学に一生をささげたアーサー・スパイダーウィックが謎の失踪、娘も森の中で妖精に誘拐されたと主張したため精神病院に入れられ、以来、スパイダーウィックの館は主を失い廃墟と化します。それから80年たち、母親に連れられて高校生の娘と双子の兄弟が館にやってきます。特に双子の兄のジャレットは母親に反発し問題児扱いされています。しかし彼はこの古い館で、大叔父にあたるアーサ・スパイダーウィックが残した「妖精図鑑」にまつわる秘密を知ることになります・・・。

まあ、あとはこういう話にありがちなことですが、いくら「妖精をみた」などと言っても信じてくれない母親や姉との確執に悩みながら、いろいろ騒動が持ち上がっていくわけで、その中でばらばらになりかけていた一家が心の絆を取り戻してく、という次第。これと、失踪したアーサー親子の物語が絡んで、「親子の心のつながり」をテーマに据えた脚本は非常にうまく出来ています。ラスト、感動させられます。原作とはちょっと違う展開なようですが・・・。

妖精の造形はスター・ウォーズ・シリーズのフィル・ティペットが手がけており、見事な出来栄えです。

壮大なスケールのハイファンタジー映画が目立ちますが、本作は話が大きくなりすぎず、いい映画だと思いました。


2008年5月05日(日)
皆様、連休のことと存じます。もちろん私は出勤です。
 ところで情報誌Factaの記事でこんなのを見かけました。日経新聞さんのハイヤーに関する話題です。

「深夜の自宅送りが、3人相乗りになってしまっては、帰宅が遅れて仕事になりません」「ハイヤーがあるだけでもいいと思え。俺が若いころにはタクシーで夜回りして取材先に馬鹿にされたものだ」日経新聞の社内報に載った座談会でのやりとりが、社内でひとしきり話題になった。「3人相乗り」に不満を言うのは若手女性記者。これに反論するのが杉田亮毅前社長(現会長)だ。同社では、帰宅が深夜に及ぶ記者職には以前から本社発の自宅送りハイヤー制度がある。ヒヨッコ記者まで黒塗りで自宅に送ってもらうこと自体、時代錯誤と言わざるをえないが、そんな優雅な日経でも経費節減は緊急課題。従来は、自宅が同じ方向にある人が2人集まった時点でハイヤーが発車していたが、今後は3人集まるまで待たなければいけなくなった。さらに、これまで随時発車していたハイヤーも30分おきという、バスのような運行方式に変わり、記者たちから不満噴出という。記者が自由に使えるタクシーチケット制度が残っていた大阪本社編集局でも昨年秋、ついに廃止になり、記者は自腹でタクシーに乗り、いちいち精算しなければならなくなった。

・・・というんですが、いやあ、本当に優雅ですなあ、そりゃあ。同業者とはいえこれほどよかったとは。うちの会社も夜の2時3時まで仕事がある以上、帰りは車で送ってくれます。残業ではなく、日々のレギュラーの仕事がそうなんだから、会社としてはそこまで面倒を見る必要があるわけです。じゃあ宿泊させてしまえば、というのは安直、今度は宿直、宿泊扱いとなって、労働法的にも賃金的にもいろいろ問題がある。やはり帰してしまった方が会社としてはいいのです。で、私が新入社員のころは4人同乗でした。運転手が入って5人です。かなり窮屈ですね。しかも知らない人ばかりで黙りこくって帰るんです。それで、当時から30分おき発車も常識で、時間外に行っても出してくれません。タクシーチケットなんてものもすでに20年前に廃止されていました。ですので、「ヒヨッコでも黒塗りで自宅に・・・」なんて話ではなくて、4人の家を回っていくのですから、最後の人は1時間以上かかるのが普通です。電車なら30分で帰れる人でもそうなってしまいます。私も千葉市まで2時間半かかって帰ったことがあります。同じ方向の人、といってもたとえば都心から小岩、船橋、市川を回って千葉なんてコース(ご近所じゃない方は地図を見てご想像ください)だと、それも幹線道路から外れた人がいたりすると「もうちょっと便利なところに住めよな」なんて言われます。おまけに、同じ方向(それもすごくアバウトです、ぜんぜん遠い人と組み合わされて喧嘩になることもしばしばです)がそろうまで延々と待たされます。2時に発車の予定が2時半になってしまった、なんてことも珍しくありません。大事件などあって取材で車が出払っているともっと待たされます。
 そんなわけだから、「車帰り」は特権でも何でもなく、出来るだけ避けたほうが無難で、電車で帰れる人は出来るだけ無理してでもハイヤーをキャンセルして電車で帰ります。うちの会社じゃそれは常識。大晦日など電車がある日はハイヤーは使わないのも常識です。まあ車で良かった、と思うのは大雨や台風の日とか、大荷物がある日だけですね。
 いつでも好きな時間に一人で車が出せるのは、部長級以上だけです。それも普通は遠慮して、部長でもそれ以下の人と一緒に帰るのが常識的な姿です。ちなみに3時すぎるともはや車は出してくれません。朝まで待つしかない。それも「勝手に会社にいた」という扱いになりますので、もちろん宿泊扱いではありません。
 実は、その後、死亡事故があって(車帰りなんて、そういうリスクもあるわけですね実際)、組合が交渉し、近年は「ハイヤー同乗は最大3人まで」と改めました。それでも「すごく快適になった」と私たちは思ったわけですから、日経さんはまるで別次元だったんですね。
 そういえば、うちの会社は20年も前から鉛筆やボールペンなど物品のリンク制をしています。今ではどこでも常識でしょうが、世間的に見ても、当時としては早いほうだったと思います。しかし当時はほかの同業社から「鉛筆も好きなだけ使えない貧乏くさい会社」といって馬鹿にされたそうです。当時の雑誌にそんな記事が載りましたので覚えています。
 いや、別にどうということもないのですが、なんでこれで不満が出るのかな、と思った次第ですが。
今日も車で帰るんです、そういえば。私は嫌ですけどねえ・・・。

2008年5月02日(金)
 ローランド・エメリッヒ監督の新作「紀元前1万年 10,000B.C.」を見てきました。「インディペンデント・デイ」「デイ・アフター・トゥモロー」などの大ヒット娯楽作品で知られる同氏ですが、今作はなんとも異色な「原始時代物」であります・・・とはいっても1万年前ですので、そんなに大昔でもなく、マンモスがそろそろ絶滅しつつあり、また文明が勃興し始める時期でもあります。そんなわけで、非常に大胆な解釈で1万年前の人類の生活を想像した一作なんですが、まあ言ってみますとメル・ギブソン監督がマヤ文明をテーマに描いた「アポカリプト」と、エメリッヒ監督自身の出世作「スターゲイト」を混ぜたような感じ、でしょうか。実際、ストーリー的には「アポカリプト」を思わせる部分が多いのですが、なんでもエメリッヒがこの作品の構想を始めたのは実に15年も前だそうですから、特に関係はないのでしょう。
 それにしましても、マンモスがすごい。これは見た人は誰でも思うでしょうが、圧倒的なマンモスの数と質。最新のCG技術の底力を見せつけられた感じです。ロード・オブ・ザ・リング以後、もう何もみせられても驚かない、という感じになってきましたけど、それでも今作は「これは苦労したろうなあ」と思わせるものです。あまりに作業時間が膨大になるため、やむなくマンモスの毛を当初プランから3割ほど「薄毛」にしたそうです。毛がゆさゆさ揺れる処理がいちばん大変なんですってね。
 後は、クライマックスで出てくるピラミッド建設シーンの巨大さ。エジプトもの映画ではおなじみの光景ですが、これほど真に迫ったものもなかったのでは。ここは見物です。
 ストーリー的には生きつぐ間もなく巧みな展開です。はじめに主人公の父親が部族を出て逃亡するシーンから始まるのですが、これが後々、ストーリーにうまく絡んできてうまい伏線だな、と思わせます。もうちょっと終盤でひねって欲しかった気もしますが。
 山間でマンモスを狩って暮らす狩猟部族が、あるとき突然、騎馬民族に襲撃されてしまいます。次期族長候補である若きヒーローは、さらわれたヒロインを追って苦難の旅に出ます。その先に待ち受けるのは、まったくこの時代には想像することもできないような超先進的な文明の存在でした・・・。ま、そんな話です。
 ヒーリー、ヒロインともまだ無名に近い新人ですが好演しています。エメリッヒはウィル・スミスやヒース・レジャーが無名時代に抜擢した伯楽として有名なので、きっとこの二人も有望なのでしょう。
 ということで、大いに満足したんですが、ちょっと気になったのが・・・実は音楽。作曲チームはエメリッヒとこれまでも仕事をしてきたベテランなのですが、どうも一番大事なところで使われている曲が、ブラッカイマーの「キング・アーサー」にそっくりなんですね。私はそれが気になっていましたが、妻も終わるやいなや「音楽が気になった」というのです。似ているというか、まあ全く同じ、という気がするのですが。妻は音大を出ているのですが「あれは音階からアレンジからまったく同じじゃないのか」というので、私たちばかりではなくそう思った人がほかにもいるのでは。あれだけがちょっと気になりました。


2008年4月30日(水)
「ミリタリークラシックスvol.21」(イカロス出版)の152ページ「MC放送局」に
も書評が出ました。

「スーツ型衣裳の原型はルイ14世時代の軍服」「ダブルのブレザーの語源は英海軍の
フリゲート艦」など、われわれの身近なところにもミリタリーファッションの影響はた
くさん残っている。日本でも企業戦士の戦闘服といえばスーツだが、それも元をただせ
ば軍服に由来するものなのだ。本書は服飾史と戦史の観点から、洋服やその正しい装い
方、それぞれが持つ意味まで学べる内容になっている。ミリタリーマニアでなくても、
一読すればスーツに対する見方も着こなし方も変わる、目からウロコの軍装解説書。

という具合です。


2008年4月29日(火)
私の新刊「スーツ=軍服!?」で続報です。今日たまたま書店で雑誌を眺めていて発見しました。http://books.yahoo.co.jp/book_detail/32035383

ひとつは「マスターモデラーvol58」(芸文社)99ページの「おすすめ新刊」コーナーで。「スーツ・ファッションはミリタリー・ファッションの末裔だった、とのキャッチコピーどおり、本書は現在一般的となっているファッションのデザインの中には軍服を起源としているものが多いということをわかりやすく紹介。トレンチコート=イギリス軍の塹壕用野戦コート、などよく知られているものから、かなりマニアックなものまで多種多様なファッション例が記載されている。著者はファッションのみならず、軍服、戦史などミリタリー全般にも詳しい方なので、ミリタリーに詳しい方も(もちろんそうでない方も)安心して読むことができる。

もうひとつ、「モデルアート」6月号(モデルアート社)124ページの「ブックレビュー」。「戦史および服飾史の研究家である著者が、スーツをはじめとする身に着ける諸々についての蘊蓄を傾ける。トレンチコートが塹壕戦に由来することは、ミリタリーファンには比較的知られているが、他にも中世から現在までの、数々の軍服の歴史が綴られる。対象は勲章、靴、鞄、帽子、腕時計など多岐にわたる。多数収録されているイラストは、イラストレーターである著者の奥さんによるもの。284ページ」。

どちらも私がいつも愛読させていただいている模型専門誌。こういう編集部から紹介していただけるのはまことに光栄です。


2008年4月27日(日)
それにしてもウィンドウズ・ビスタ、使いにくいですね。なんでこう面倒なものにしたのかな。普通のユーザーは性能や安全性はは高めてほしいが、機能や操作はあまり変えてほしくないのじゃないかと思いますが。
 ところで、身近の人から「本というのはどうやって出すものなんですか」と聞かれました。それで、ご存じの人にはありきたりの話ばかりでしょうが、こういう世界に無縁な人とか、漠然と「いずれ著者になってみたい」という方もいらっしゃるでしょうから、自分の経験の範囲で少し書いておきます。
 いわゆる自費出版については自費出版専門の版元があるのは今では誰でも知っていますし、それがこのところ経営破たんしたり、大変であることも知られています。要するにハードルが低くて誰でも出版してくれる反面、後の面倒は全然みてくれないので、著者の不満が高まったのは当然です。そもそも基準が甘いのだから、仕方ないとは言えます。
 大体のところ、ああいうところで全額自費で出版すると、まあ100万円ぐらいが最低出資額だと思います。企画によってもっと安いところもあるでしょうが、まあ宣伝を万全にやり、豪華な造りにし、部数を増せば上限はいくらでも上がるでしょう。200〜300万円出した人もいると思います。
 次に、ちゃんとした商業出版社からの企画出版をするにはどうするか。まずは、一番、王道なのはなにかの文芸賞をもらってデビューすることです。しかし、これは才能がある人であっても一生の間に受賞できるかどうかは相当に運次第なのは明らかで、その僥倖を待っていてはいつまでたってもデビューできません、というかなにがなんでもデビューしたい、というなら、30代半ばぐらいまでの若い内はともかく、受賞を前提にしているわけにはいかないでしょう。それに、どなたもお気づきのように、世間に出回っている書籍のほとんどは別に文学賞をとった作家が書いているわけではありません。著者になるには文学賞は必須条件ではないことになります。
 文学賞タイトルが絶対必要なのは、文芸作品の企画出版です。だから、無名の人が文芸作品の原稿を版元に送ったり持ち込んでも、まあほとんどの場合、何事も起こりません。見てもくれません、通常は。漫画と違い、持ち込まれても簡単に概要を理解できないので、時間を作ってくれないのが普通でしょう。ごくまれにそれでうまくいった、という話がありますが、それはいい編集者と縁があったためで、まれだからそういう話が有名になるんですね。
 もし文芸でとにかくデビューしたい、という人は、実は小説よりも詩歌のほうが本そのものは出しやすいのですが、ただしこれはほぼ100%が自費出版となります。流通することはゼロではないが、ほとんど期待できません。しかし、詩歌については自費出版が昔から常識なので、ほかの分野と違い自費だから格が低いとは言われない、というメリットがあります。つまりちゃんと実績になる。詩歌の世界の文学賞の審査対象にもなるし、詩歌の世界で一人前として扱われる。ただし、そういうわけだから詩歌の専門の版元は、お金の面では自費なのに、けっこう審査基準は厳しく、なんでもいいから出してくれる普通の自費出版社のようにはいきません。通常は、既に実績のある先生の下でしばらく様子を見て、その紹介を得る、といった手順を踏んだ方が確実です。
 さてそれで、本当に版元の企画出版として出してもらうにはどうするか。こちらは、文芸を狙わない方が間違いなく有利です。小説のたぐいはあまり相手にされません、どうしても小説家に、という人はなにがなんでも文学賞をとるしかないでしょう。しかし「とにかく著者になりたい」ということなら、文芸じゃない分野でまずは何か原稿を書くことです。
 次に、その原稿を持って多くの版元を大きいところから小さいところまで回ってみることです。私の今までの経験ですと、非文芸でそれなりの内容の原稿だと、大抵の版元は読んでくれます。50〜60社ぐらい打診すると内容次第でしょうが、10社ぐらいから前向きな返事が来たりしましてその後は具体的な条件交渉に入ったり、あるいは、この企画はこのままじゃ駄目だけど、別の企画で書きませんか、という話になったりします。まあこれはあくまで私の経験です。
 一度、それで軌道に乗ると、少しずつほゥの話も見えてきたり、ものによっては空中分解したり、という中で、形になるモノが出てきます。そして、やっと企画出版できるというわけです・・・。この場合も、いい編集者と縁があるかないか、が最も重要になります。自分に惚れ込んでくれるような編集者に巡り会えばいうことはありません。逆に大手版元から声がかかっても、担当編集者と反りが合わず駄目になる、ということも私自身経験していますので、結局は人の縁ほど大事なモノはない、というのはどこの世界でも真理です。
 これも、ある程度の買い取りを求められることが珍しくないですが、しかし経験的にいって著書は100冊以上は手元に残しておくべきです。その後、次の企画の売り込みやらなんやらで、けっこう2、3年もするとなくなってしまいます(50社に売り込むなら50冊ななくなりますから)。新聞社や雑誌社に売り込みをするならもっと必要でしょう。だから200冊ぐらいを買い取りしても後で見ると、別に無駄にはなりません。
 その買い取りをしても、20〜40万円ほどですから、100万円以上かかる自費出版とは全く次元が違うし、宣伝もしてくれるし、流通もちゃんとしてくれます。従って、なにがなんでも自費ではなくて企画出版しないといけない、ということです。
 印税なんてものは実に微々たるモノで、入ってきてもお小遣い程度です。これで生活できる著者は部数1万部を超える人だけで、今の出版不況下でそんなに売れる人は、そういません。
 にしても、ロングセラーとなるような内容で、増し刷りにこぎ着ければ、れっきとした著者としてやっていけることになります。少なくとも赤字のない程度にやれれば、活動としては成り立つことになる。ただ、プロのライターだけで暮らすというのなら、常に1万部以上売れるような本を出す必要があり、大変でしょう。
 また、著書があると、ほかの雑誌などの依頼がある場合がある、また文芸家協会やペンクラブに入れる(著書3冊以上が最低条件で、いずでも理事の先生の推薦が必要)といったことがあります。ここまでくれば、一応、どこに行っても「私は文芸家です」と名乗れるレベルには達するわけです。当然、次の売り込みがしやすくなります。
 それ以後は、本人の努力次第でしょうし、私も目下、努力している次第です。
 とにかく、こういう時代でもいわゆる活字をやってみたい、まずはデビューしてみたいという方は、ベテラン世代にも若い人にも多いと思います。
 それで、参考までに書いてみました。お役に立てば幸いです。
 
 

2008年4月26日(土)
 仕事の関係で、昼夜逆転した生活がどうしても多くなる私としましては、特に用事がない日の昼の12時過ぎに起きるのは早起きのほうなんですが、テレビをつけたらのどかな普通の土曜日の番組。「ああ、要するに大したことはなかったのね、聖火リレー」と思ってほっとしました。ま、5人逮捕ということだから、全くなんにも無いわけではないが、大事にもならず、ということでしょうか。
 ◆  ◆  ◆
 コンピューターが壊れていましたが、本日、ようやくわが家に新しいのが届きました。NECので、ウィンドウズ・ビスタを搭載しています。がしかし、なんか慣れないと使いにくいですねビスタ。なんでもそうですが、技術的に進んでいるものが使いやすい、というわけではないんですよね。古来、武士や軍人というものも決して新しいもの好きではありませんでした。性能は高いけど使い慣れないし機能も安定しない新兵器より、少し古くても、信頼できる使い慣れたもののほうが安心なんですね。
 私も今もって、ただ単に文章を書くだけなら昔のワープロのほうがタフで使いやすかったと思っています。確かに長い文章の管理や、編集者とのやりとりの便利さなど、総合的な機能では比較にならないとしても、です。
 また慣れるまでいろいろ、イライラさせられるのでしょうね。しかも、また来年にもマイクロソフトは新製品を出すような話もありましたが・・・。
 ケータイも、私がなんと2001年の秋から愛用しているフォーマがそろそろ寿命を迎えまして、更新を考えざるを得ないのですが、なんでもまもなくムーバ系じゃないと使えなくなるそうですね、詳しくないので人から聞いた話だけなのですが。
 あれも、私は携帯電話は本当にトランシーバーとしてしか使わない、メールもケータイでは使用しない派ですので、とにかくいろいろな機能は無用なんですが(だから7年も前のを平気で使えるのですが・・・)。
 ◆  ◆  ◆
 宣伝でございます。辻元よしふみ&辻元玲子著「スーツ=軍服!? スーツ・ファッションはミリタリー・ファッションの末裔だった」(彩流社)発売中。これについては、姉妹作の企画もそろそろ出ておりますので、ご報告しておきます・・・。
 http://shopping.hobidas.com/shop/gunjisenshodo/item/3923013407.html

2008年4月25日(金)
今日、うちの会社の新聞のある記事で、若い編成記者が「ネカフェ難民対策、与党が研究会」といった見出しを付けてきた。で、「ネカフェというのはネットカフェだよな、しかしこいう略語って普及しているの?」という話題になった。当然ながら、41歳の私はこのような略語が知らなかった。で、2000年入社で8年目の、ということは30歳ぐらいの比較的若い記者に聞いたが、やはり「知りません」。さらに2003年入社で20台後半の記者も知らなかった。
 が、2006年入社、3年目になったばかりで24歳の人は「ああ、いいますよ」と即答しました。なるほど、その数年の差でなじみがある、なしが分かれる言葉なんですな。
 しかし新聞というのは小学生から明治・大正時代生まれの方まで読むので、これが通じない。まあさすがにコンビニエンスストアをコンビニと略するのはいいのですが、以前にファミリーマートを「ファミマ」とやったら、偉い人から「こんな言い方は自分は知らない」と言われて没になったことがあります。嘘だろう、と思いましたが、最近聞いたら、70代以上の人だとコンビニ自体、行ったことがない、という人がいるらしい。信じられないが「ああいうのは若い人が行くところで、恥ずかしい」のですと。まあ、ある世代から上ではそういう感じがあるのかもしれませんな。
 ま、私もあまり世間の流行、若い人の風俗に興味がある人間じゃありません。気を付けないとただの時代遅れになってしまいます・・・ま、歴史の研究家にとってはあまり関係ないのですけど。
 ◆  ◆  ◆
 久々に宣伝です。「スーツ=軍服!? スーツ・ファッションはミリタリー・ファッションの末裔だった」(彩流社)発売中。あるいは好評在庫中?
http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-7791-1305-5.html

2008年4月22日(火)
 J−CASTニュースにこうありました。「世界銀行の推計によると、過去3年間で世界の食糧価格は平均で83%上昇。これが原因で、少なくとも1億人が食糧不足にさらされるとみられている。その原因としては、気候変動による収穫量の減少や、中国やインドの食糧需要が増大したことなどが挙げられている。さらに、ここ数ヶ月で、基本食品の値上がりが加速しており、世界各地で食糧をめぐる暴動にまで発展している。エジプト、フィリピン、コートジボワール、セネガル、イエメン、メキシコなどで暴動が発生。カリブ海の島国・ハイチでは、商店の略奪が1週間以上続き、事態を収拾できなかったとして国会が首相を解任するという事態に発展している。それ以外にも、苦肉の策を取らざるを得なくなる国も多い。例えばパキスタンでは食糧の配給制が復活し、ロシアでは卵などの価格を固定。インドネシアでは補助金を増額し、インドでは高級米以外の米の輸出を禁止した」これ、以前から危惧されてきたことが現実化してきましたね。
 近所のスーパーで愕然としました、最近。パスタとバターについて「安定供給できませんので、在庫がない場合はご容赦下さい」と張り紙があるのです。
 飽食の時代、とやらもついに終わりかも知れません。終わりの始まりか。
 ポール・マッカートニーが「あとは出来るだけ人類が菜食主義になるべきだ」と提言したそうです。これ、基本的には正しい。問題は、産業界が本記になるかどうか、だと思いますが。味覚や嗜好として菜食を強要してもまずうまくいかないので、やはり代替素材の肉のようなもの、を開発するべきなのでしょう。もうそういう時代に入ってきたと思われます。
 日本ではなんかのんびりと少子化は問題だ、年金が、ということばかり騒いでいますが人類とか地球という視点では、人が増えすぎて困っているのも事実です。
 実に嫌な予兆を感じますね。



2008年4月19日(土)
わが家のコンピューターが駄目になりました、というかOSが駄目になった模様です。2002年暮れに買ったデルのもので、当時としては最新のXP搭載機でした。デル自体、あの当時は飛ぶ取り落とす勢いだったと思いますが昨今はなかなか難しい局面も、という話も聞きます。
 で、なんていうんでしょうかね、コンピューターが駄目になるときというのは、けっこう、ほかにも駄目なことがあったりしまして・・・。
 ま、なんにしましても、変な欲目で期待を持ったりするのが人生一番、いけませんね。ことにブランド的なものに振り回されるというのがいちばんよろしくない。
 自分がやりたいことをやれるようにする、ということが最も大事であろう、と思うことがありまして・・・ま、そのへんは追い追い。
 なんていうんですか、人生これすべて修行の日々ですねえ・・・。

2008年4月17日(木)
 チャン・イーモウ監督の新作映画「王妃の紋章」を見てまいりました。監督が見出した大女優コン・リーとの10年ぶりの仕事でもあります。おまけに主演はチョウ・ヨンファ、共演に台湾のスタージェイ・チョウと大変、豪華な顔合わせ。
 時代設定は五代十国時代の中国。というと日本人にはいまひとつ分かりにくいのですが、907年にあの唐王朝が滅びてから、970年に宋が全国再統一するまでの戦乱時代のことでして、要は第二戦国時代というようなものです。日本においては894年に唐を見限って遣唐使廃止、その後、平安文化が栄える一方、平将門が登場して次の武家時代を予感させた時代であり、まあ日本から見て中国の影響力が最も薄れた時期、だからなんとなくわが国からすると印象が薄いのかもしれません。
 唐というのは、黄巣という人物の反乱で滅びてしまったのですが、この人は科挙に落第した後、「満城尽帯黄金甲」という詩を作ったそうであります。ちょうど重陽の菊の節句のころ、己の名前である黄を菊の花に見立て、春の花々が枯れ果てた秋、最後に咲く菊がすべてを覆い尽くすのだ、見よ、街をすべて黄金の甲冑をまとった俺の軍勢が埋め尽くしているではないか、と。これ、今に天下を取ってやる、という意味ですが、本当にやってのけたのは凄い執念ですね。ただし、長安を占領して皇帝を名乗った黄巣の天下は3年しかもたなかったそうですが。
 で、映画の現代はまさにこの、「満城尽帯黄金甲」なんです。金色の軍隊とはだから、反乱軍、革命軍のことなんです。これでお分かりのように、宮廷を舞台にした軍事クーデターを描くお話なんですね。
 原作は「雷雨」という中国では有名な戯曲ですが、そっちは1910年代の資本化一族の物語。それを、戦乱時代のある王国の宮廷に舞台を移して、壮大なクーデターのお話に仕立てた次第。実にそれはそれはお金がかかっていそうというか、豪華絢爛というか、私はここまで派手やかに宮中を再現した映画を見たことがありません。いろいろな時代の王様や皇帝の豪華な生活ぶりを描く映画がありますが、これはすごいですよ。本当に純金で作った衣装もあって、40キロにもなるので、さすがのコン・リーやチョウ・ヨンファがへとへとになったそうですから。
 お話としましては、チョウ演じる王様が、コン・リー演じる王妃を少しずつ毒を盛って暗殺しようと企むところから始まります。一方、王妃は王妃で血の繋がらない皇太子と男女関係にあって夫を裏切っています。そこに、王妃の実の息子である第二王子が戦地から帰還してきて、いろいろ宮廷内の人間関係がおどろおどろしくうごめきます。陰謀渦巻く中、ついに運命の重陽の節句の儀式が始まりますが、それは軍事クーデターの引き金となるものでありました・・・。
 そんな感じですが、とにかく豪華絢爛だし人数は多いし、そして何万人が死んだんだろうかと言うほど戦闘で人が死にます。あきれるほどです。
 それがまた、終わると何事もなかったかのようにきれいに片付けられる。国王の何よりも対面を重んじる綺麗事の論理で・・・。
 なんか中国的だな、と。なんとなく北京五輪も連想させます。いろいろ問題があっても強引に表面だけはきれいに進行しそうな予感。
 そういえばチャン監督は北京五輪の開会式のディレクター。はて、なにか意味深なメッセージもあるのかないのか。
 とにかくものすごい大作です。大画面で見ないともったいないです。

2008年4月14日(月)
 さて、拙著も刊行以来、ちょうど1か月たちましたので、そろそろこの話題も打ち止め・・・と思ったのですが、これは自分の記録としてもぜひ載せておかないと。自衛隊関係者向けの専門紙「朝雲新聞」様4月10日号の新刊紹介に載ってしまったのです。本当に驚きました。http://www.asagumo-news.com/
 
「スーツ=軍服!? スーツ・ファッションはミリタリー・ファッションの末裔だった」
 http://www.junkudo.co.jp/detail2.jsp?ID=0277911305
 日本人の男性がふだん着ている洋服は、元々は西欧の軍服から発展したということはよく知られているが、スーツはフランスのルイ14世時代の軍服に由来し、ブレザーは英海軍の軍艦名であり、トレンチ・コートは塹壕戦用の野戦服だったと認識している人はそうは多くないだろう。
 本書は今日の洋服のルーツを歴史的に明らかにし、漫画家の著者夫人が描いたイラストと共に、古今東西のさまざまなミリタリー・ファッションを体系的にまとめた軍用被服の研究書だ。
 スーツ、ブレザー、コート、ネクタイ、ブルゾン、靴、帽子などの項目別に分かれ、それぞれの由来やその後の発展について詳述。カーディガンはクリミア戦争が起源で、タキシードは英海軍の礼装から生まれたことなどが紹介される。英国人男性が今も色や柄の美しいレジメンタル・タイに特別な関心を寄せるのはそれがレジメント(連隊)識別用のものだったからというのは興味深い。
 このほか階級章や勲章の歴史、敬礼の裏話など逸話も抱負に盛り込まれ、さらに随所に挿入されたナポレオンやマッカーサー、ロンメル将軍などのイラストはとてもファッショナブルで、眺めているだけで楽しい。

 これまで「産経新聞」様のほか、アパレル専門紙「繊研新聞」様、銃器専門誌「アームズ・マガジン」様などに取り上げて頂いて、専門的なお立場からご紹介頂いたことは本当に光栄です。この場を借りまして御礼申し上げます。

2008年4月12日(土)
ホビージャパン社の「アームズマガジン」誌5月号の206ページ「ARMS BOOK REVIEW]の中、「今月の一冊」といういちばんいい扱いで「スーツ=軍服!?」が掲載されました。http://www.hobbyjapan.co.jp/armsmagazine/

 なんとも「そうなのか!?」というタイトルで始まる本書は、現代日本でもよく使用されているスーツなどの衣類のルーツが、もとは軍用であったことを解き明かしていくという異色の書籍です。・・・考えてみれば、軍服を「歴史的」に眺め、その由来がなんであったか、なぜ現在の形となったのかという点に目線を向けた書籍はあまりありません。そうした点を考慮して、今回はこの書籍をオススメとさせていただきました。

ということで、大手他社の本などを押しのけて堂々の大扱いで驚きました。専門誌の中でもきわめつきの専門誌に評価してもらったのは嬉しいことです。いや、本当にマニア受けな内容なんですかね、何処へ行っても玄人受けは非常にいいんです、この本。ファッション関係でもセレクトショップの人なんかにけっこう受けるのは確かです。http://www.hanmoto.com/bd/ISBN978-4-7791-1305-5.html


2008年4月11日(金)
アメリカの管理職が、部下の遅刻のいいわけで珍しいものを挙げているのを見かけた。それは 1.通勤途中に川を船をこいで渡っていたら霧の中で迷った。2.スイセンをすべて盗まれた。3.「アメリカン・アイドル」のオーディションに行く必要があった。4.元夫に通勤に使う車を盗まれた。5.大統領を乗せた車の車列に通勤路がふさがれていた。6.間違えて前の職場に行ってしまった。7.証券詐欺罪で今朝起訴された。8.スターバックスで客の列が長かった。9.警察から自分の銃を取り戻そうとしていた。10.すべての質店が閉まっていたため、車にガソリンを入れる金がなかった。
 というのだが、「スイセンをすべて盗まれた」というのは何でしょうか? お花? なんかどうも・・・。ほかはしかし、絶対にないとも言い切れないような。ま、オーディションを受けたり、スターバックスに行ったりは、本人の身勝手なので理由になっていないと思うのですが、6の「前の職場に行ってしまった」これ、全くないことだろうか。私はけっこう同じ会社の中でも、異動すると半年ぐらいの間は、つい前の部署のあるフロアーでエレベーターを降りてしまったことがある。引っ越した後、ついつい前の家に向かう電車に乗ってしまったことも・・・。特に酔っていたときなど。
 ぼう、としているとあり得ないことではないようにも思うのですが。
 7とか9は、こんな人は遅刻より前に、解雇の理由にされちゃうかも。
 ◆   ◆   ◆
 拙著「スーツ=軍服!? スーツ・ファッションはミリタリー・ファッションの末裔だった」(彩流社)発売中。よろしくお願いします。
http://www.honya-town.co.jp/hst/HTdispatch?nips_cd=9983054663

2008年4月09日(水)
 なにかトラブルの多いTBSですが「TBSが今年2月に放送した『歴史王グランプリ2008まさか!の日本史雑学クイズ100連発!』の中で、戊辰戦争の鶴ヶ城開城の理由を「城内に糞尿が城にたまり、その不衛生さから」が正解とされたことに地元福島県会津若松市が抗議した問題で、TBSは本日(8日)午後1時前に謝罪放送をしました」(ニュース畑)というのが地元で大きな話題になっているとか。
 それで、この「糞尿が城にたまって開城」という説が、どこから出てきたか分からないらしいんですね、どうも。出典として挙げてきた本も、どうもそんな本がないというお粗末さ。じゃあ全部、いい加減だったのかしら。それはいけない。なにか根拠があるんなら示せばいいが、たぶん適当にネット情報からとってきたか、何かに書いてあったような気がする、という話をうろ覚えで出してきたか・・・ともかくクイズの出題がそんなことでは歴史王なんて企画自体、成り立っていない気がしますが。
 そりゃ地元の人は怒るでしょうね。そんなに郷土ナショナリズム的な人じゃなくても怒るでしょう。まして、会津の歴史というのは、これで片付けちゃ可哀想だと思いますが。
 篭城すればいろいろ環境悪化するのは当然ですが、それだけの理由で開城するか、というのもなんか違うと思うし、もうちょっと真面目に調査するべきだったろうと。
 ◆  ◆  ◆
 前にも書きましたが、私の勤めている新聞で、ゴールデンブリッジ(昨日、チベットの北京五輪聖火反対の活動家が横断幕掲げた、あれです)の開通年月日がぜんぜん違う記事が掲載されかけたことがあります。おかしいな、と思い調べると、なんと日本国内のネット情報はほとんどその間違った年月日が載っている。それで英文のサイトを調べて分かったのですが、ゴールデンブリッジの近くに似たような名前の別の橋があり、そっちの開通年月日が出回っていたようです。おそらく出所は一人で、それが誰も確認しないまま、広まったんでしょうね。
 ネットを見ていて「みんな同じような文章だな」というときは気をつけないといけないなと思った次第でした。
 会津城のことはどこで出回っていた話か知りませんが、どうせなにかの掲示板に載っていたとか、そんな話の一つじゃないでしょうか。
 ◆  ◆  ◆
 拙著「スーツ=軍服!? スーツ・ファッションはミリタリー・ファッションの末裔だった」(彩流社)アマゾンでは初期の在庫完売となったようです。もちろんすぐに補充するでしょうが。よろしくお願いします。http://www.honya-town.co.jp/hst/HTdispatch?nips_cd=9983054663

2008年4月07日(月)
チャールストン・ヘストンが逝った。「【サンフランシスコ=松尾理也】5日、84歳で死去した往年のハリウッド・スター、チャールトン・ヘストン氏は晩年、全米ライフル協会(NRA)会長を務め、強硬な銃規制反対論者として、保守化する米世論に大きな影響を与えた存在でもあった」(産経MSN)という通り、ブッシュ政権に至る流れの中で重要な役割を果たした人物だと思う。アメリカの歴史を調べると、米軍というのは独立戦争のときの民兵のなれの果てのようなものだと分かる。市民による、自分たちの国土の防衛、という意識が強い。だから保安官も市民の中から選ぶし、軍も州ごとに州軍があったりする。日本のように明治以後、中央集権的にまとまってきた国から見ると異質なわけですが、銃規制がなかなかできない理由の一つも、こういう「市民には武装して自衛する権利がある」というのがあったりしまして、刀狩りされて何百年という日本人にはなかなか分からないのも事実でありますが・・・しかし刀狩りだって確かに、それでお上に反抗できなくするという趣旨だったわけで。ま、ひとつの時代がまた終わり、ブッシュ流の保守もそろそろ店じまい。
 ◆  ◆  ◆
 辻元よしふみ著「スーツ=軍服!? スーツ・ファッションはミリタリー・ファッションの末裔だった」(彩流社)販売中。http://www.hanmoto.com/bd/ISBN978-4-7791-1305-5.html

2008年4月06日(日)
このところ自分の本の宣伝ばかりして、というのが自分でも気になっていましたので(笑)他人の本の話ですが、片瀬平太『スーツの適齢期』(集英社新書)を読みました。http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0433-h/index.html何よりも「ファッションの情報に敏感だから格好いい」「一流品をよく知っているから装いの達人」といった価値観を否定している、という姿勢がいいです。ファッション雑誌など読んでいると、まさに上記のような価値観が普通なのかな、と思ってしまいます。仕事でファッションを扱う業界人の人々が、これでもか、とばかり最新モードを繰り出し、四半期ごとに「○○は時代遅れ、これからはコレ」ともてはやし、その値段を見ると「40万円〜50万円当たり前」といった感じ・・・どう考えても現実的でなく、私自身、たとえ自分が億万長者であったとしてもそういう服を買うのに毎月のように投資するか、と思うとどうもそうは思えず、まああくまでも動向の分析とか、情報の一端として見ればいいのですが、落ち着かないものです。
 「男の場合、自分のために装っているうちは、年はどうあれまだ子どもだ」とか、「アメリカ男は・・・世界中のどこでも自分のスタイルを貫いている人が多い。場や人に対する敬意が込められていない。アメリカ人の装いを日本人は忘れるべきだ」という主張、きわめて共感します。アメリカ人が世界何処にいっても現地語をまったく覚えようとせず、でかい声で英語で話しかける傲慢な光景は実に醜いものです。彼らのたるみきったバカンスファッションも同じこと。旅行先を馬鹿にしているのだとしか思えない。まあ、9・11テロ以後、少しは変わったかもしれないが。
 だから、傲慢の塊だったマッカーサーの真似から始めた戦後日本人が品がないのは当然なのだと自分は思っております。彼に日本人の精神年齢は小学生だ、といわれたわけですが、当のアメリカ人はどうなんでしょうか。
 ◆   ◆   ◆
 ということで、自分の本の宣伝もよろしく。ネット書店を見ていると、拙著「スーツ=軍服!?」は、上の「スーツの適齢期」と「この本を読んでいる人はこっちもチェックしています」でしばしば登場しております。
http://www.hanmoto.com/bd/ISBN978-4-7791-1305-5.html

2008年4月05日(土)
 それにしても、なんでかしら、大変なことになる、大変なことになる、と脅かす人がいますよね、テレビなんかで。いつでも暢気ではバカだけど、だからといって大変だ、大変だと騒ぐほどこのこともない、ということも多いような。インド洋の給油が途切れたって何事もなかったし、ガソリンのこともまあ、関係者にはなんだけど一般レベルではそれだけのもんだし、日銀総裁なんてのは本当に大勢になんら影響ないし。
 なんかこう、あまり過剰に騒ぎなさんな、と思うことがあります。一般論として。
 ◆   ◆   ◆
 「後期高齢者」という名称に怒った方が多いと思います。確かに事務的というか機械的です。厚生労働省さんですが、あそこの職員さんは皆さん、必ず結婚していて子どもが3人以上おり、お腹の周りは85センチ以下で、70歳ぐらいまでで死んで、年金はもらわず辞退し、という「模範的な健康的かつ見事な産む機械」ばかりなんでしょうか。もしそうなっているなら、国民に色々言う資格もあるでしょう。
 ◆   ◆   ◆
 「スーツ=軍服!?」ですが、けっこうゆっくりと・・・まあ、ロングセラーねらいなんですが筆者としては。どうかまだ読んでらっしゃらない方、よろしくお願いします。アマゾンの在庫があと2冊だとか。どうかここは一つ(まるで選挙みたいでございます)。
 実はもう、聞けばびっくりするような大物の方からご激励をいただきびっくりしています。名前は秘しますが。御縁のある方はいらっしゃるんですね。
 すべての御縁のある方といい出合いがあることを、心から願っております。
 

2008年4月01日(火)
4月に入りました。今日から社会人という方も多いと思いますが・・・なんかけっこう肌寒いですね。サクラ台無しですね。なんでも北海道じゃ大荒れの大吹雪とか。どうなってんでしょう。
 大荒れといえば、ガソリンですね。福田政権、3回目ですね。ねじれ国会といっても前から分かっていることなのに・・・なんで何にも出来ないのですかね。
 ◆  ◆  ◆
 今日も一つご報告ですが、アパレル業界の専門紙「繊研新聞」http://www.senken.co.jp/の新刊書コーナーに私どもの新刊「スーツ=軍服!?」の書評が載りました。なにしろ業界の専門紙ですので、本当に光栄です。この手の本を見慣れているプロの方たちにご評価いただけるというのことは何よりのことでございます。
「ミリタリーファッションの影響など、服飾の歴史から男の服装を見直す。・・・由来やエピソード、史実など詳述。イラストや写真も豊富で男の服飾と服飾雑貨の事典としても有益な一冊。」ということで、感動しております。
 なにとぞ、まだ御覧になっていない方はお手に取ってみてくださいませ。内輪で恐縮ですが、妻の描いたイラストも美麗です。
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%84-%E8%BB%8D%E6%9C%8D-%E2%80%95%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%84%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%AF%E3%83%9F%E3%83%AA%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%AE%E6%9C%AB%E8%A3%94%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F-%E8%BE%BB%E5%85%83-%E3%82%88%E3%81%97%E3%81%B5%E3%81%BF/dp/4779113059
 


2008年3月31日(月)
今日、ある編集者から教えられまして、30日日曜日付の産経新聞13面読書コーナー野中の「手帖」という欄で、拙著が紹介されていたとのこと。確かめてみたらありました、ありました。
「ファッションに関するウンチク満載なのが、辻元よしふみ著「スーツ=軍服!?」(彩流社)。私たちが身につけているスーツもブレザーもトレンチ・コートも、その源流をたどれば軍服に行き着く。」
 まあ、こんなものなんですが、新聞に載せて頂くのは本当に嬉しいことです。ありがたいことでございます。
 ◆  ◆  ◆
 ところで、もう一つ驚いたことがありまして。
 昨日の明け方、午前4時ごろ。私が夜勤から帰宅しまして、テレビを見ておりました。月曜の深夜ってあまり放送をやっておりません。ショップチャンネルをぼう、と見ていましたら・・・。
 前から欲しかった西川のヒツジの抱き枕「メルくん」を売っていたのです。これ、人気商品でなかなか手に入らない。
 で、妻に「すぐに電話したら」と申しました。ちょうどそのとき、あの手の通販番組でよくやっている「お客様からのお電話がつながっています」というのをやっていました。
 直感的に、なんか、予感がありまして、「早く電話しなよ、前から欲しかったんじゃないか」とせかしました。で、妻が「メルくん」を注文しましたら・・・「ええ!」と妻が声を上げます。「お、ひょっとして」と思いました。案の定、本当につながるといいます。
 おお、全国放送テレビ出演!! 声だけとはいえ。
 以下は妻の話ですが、まずはオペレーターにつながり、それから説明する人(ADさんでしょうか)から商品番号とか、「千葉県のレイコです、と名乗るように」と指導され、最後に厳しい声の女性(きっとディレクターさん)につながれて、「そのままお待ち下さい。・・・はい」ということで、出演中の小柳津キャストと会話がつながりました。
 もう心臓が飛び出しそうなほど緊張したそうであります。が、なかなか上手に受け答えしておりました。おお・・・妻、テレビデビューです、一応。私もラジオには出たことがありますが(会社がらみの出演でした)テレビはまだないなあ・・・。
 どうも、生の声とテレビから流れる声は3,4秒時間差がありますね。それは当たり前ですか、よくニュースでも外のレポーターとやりとりに時差があります。
 いやあ、いい経験しました。私も横で見ていただけで緊張しました。
 


2008年3月30日(日)
今月の10日に出版した「スーツ=軍服!?」(彩流社)http://item.rakuten.co.jp/book/5502033/で、もう一つ、意外な御縁が出来ました。いやあ、こういうことがあると、出版して良かったな、と思います。
 靴が好きな皆さんならご存じの、日本を代表するビスポーク靴職人・柳町弘之さんのことであります。先日、発効されたエスクァイア・マガジン社の靴専門誌「LAST」巻頭の情報コーナーにもあるとおり、柳町さんは99年以来、店舗を置いていたワールドフッドウェア・ギャラリーから、この2月、ほど近いところに独立店舗を構えられたのであります。http://www.wfg-net.com/order.html
 で、それで私と何の関係が、と思われるでしょう。実は私、大学生時代に、千葉市稲毛駅前の「千葉進学塾」なる塾でアルバイト講師をしていました。で、その当時のバイト仲間に柳町先生、という人がおいでになった。千葉大学の理科系の大学院においで、ということでちょっとクール、というか理知的、だけど穏やか。われわれはバブル時代のお馬鹿学部生でしたので、まあ乗りが違うというか、際だって紳士、大人に見えました。まああのぐらいの時期に3、4歳の差は大きいですよね。
 さてそれから十数年後。私はたまたま、靴というものに関心を持つようになり、35、6歳になってそれまで愛用していたギョーザ靴が急に嫌になってしまった。実は、私はそれまで軍装や戦史には大いに興味があったけれど、現代のファッションにはまるで関心がなく、靴なんかも3000円のオヤジ靴で平気でありました。
 が、気になり出すと気になるもんで、手始めにクロケット&ジョーンズ、それ以後、いろいろとそれなりの靴を買うようになりまして。で、靴を良くするとスーツもネクタイも全部それなりにしたくなりまして。で、紳士服飾の本を落合正勝さんほか、出回ってるものを片端から読みあさり、雑誌も月に6、7冊は乱読し、今に至っております。ついに上記のような本まで出す始末です。
 で、そんなある日、ある雑誌(メンズEXかbeginだったと思いますが)で、日本を代表する靴職人ヒロ・ヤナギマチなる人物を知ったのでります。
 ところが、その時点ではなんとも思わなかった。その後、なにかのサイトで柳町さんの顔写真を見て「お?」と思ったのです。これはあの塾の仲間だった人じゃないのか。
 さらに経歴を見れば、千葉大学大学院修了後、電機メーカーに就職、その後に渡英、などとあり年齢的にもますます「ひょっとして」との感を強めておりました。
 が、人違いであったら困ってしまうので、WFGの店舗の前を通っても思い切って柳町さんのブースを訪れることはかなわなかったのであります。
 が、上記の本を出したことで、私も一種の大義名分が出来たというか、著名人に献本するのは普通のことだし、それで思い切って柳町さんの新店舗に新刊をお贈りし「ところで、ひょっとしてかつて、千葉市で塾の先生をなさっていませんでしたか」と書きましたら・・・数日後「驚きました、千葉進学塾の柳町です(笑)」というメールが届いた次第。
 ということで、私、柳町さんの新店舗にお邪魔しました。国立競技場のほど近く、閑静な場所柄で周辺は服飾関係の卸しをしているようなお店が多いところ。柳町さんのお店は、いい感じの落ち着いたテナントビルの二階にあります。たまたま外に出ていた柳町さんが「あ、辻元さん」と声をかけてくださいました。実に20年ぶりの再会。
 「ああ、そのお辞儀の仕方、昔から辻元さんはそうでしたね」と仰る。そんなに特徴あるお辞儀を自分はするのかしら。どうも軍人風に素早く頭を下げる癖があるので、そのへんが変わって見えるらしいのですが、それ以後、なんか20年ぶりというのがウソのように話し込んでしまいました。かれこれ1時間半もお邪魔しましたか。
 「これからの時代、使い捨てではないものが普及してほしい」と仰る柳町さんに満腔の共感を覚えました。安いものを外国人に作らせ、石油を消費して輸送する、トータルで値段を抑えて大量生産浪費・・・。結果として、日本人の生活水準が低下し格差が拡大しても、外国製の安いものを買っていれば貧乏人は文句を言わないだろう。これが竹中路線のグローバル化の一側面ですが、これ、なんか違うんじゃないか、と私も思っています。
 「靴のビスポークは初回で25万円ほど、2回目からは平均して20万円ほど。これを量産品と同じ靴として比較されると高いということになるのでしょうが、切実に足に合う靴がほしい、というお客さんは安いと仰る。結局、価値観の問題」。まさにそう思うし、現にその場で作業している二人の若い職人さんを見ていると、全部ここで手作りして20万円前後は非常に安い、と思うのは確かです。月あたり生産数を聞きましたが、それで考えてもこれは安すぎるのかも、とすら思いました。
 それにしてもいい感じのお店です。落ち着いたカフェのような佇まいで明るく、採光も行き届いていて、工房という雑然としたイメージとは違います。柳町さんのお人柄でしょうし、実際「そのへんはこだわっています」とのことでした。
 私が今後、何か書くときにはぜひ教えてください、と言いましたら「靴作りの実務に関してならなんなりと。でも歴史については、靴は分かんないんですよね、19世紀以前というのは」とのこと。そうなんですよね、靴の体系的歴史って書かれていません。
 これは、ゆくゆくまた、自分で書くしかないのかな・・・などと。
 とにかく本当に有意義、そして楽しい20年ぶりの再会でした。
 

2008年3月29日(土)
思いがけないことだが、スタイルクリエーションズ社のパーティーというのに招かれた。それは、滝沢滋代表からご招待があったからで、当ブログを前からご存じの上、小生の新刊「スーツ=軍服!?」http://www.junkudo.co.jp/detail2.jsp?ID=0277911305もご覧になったから、なのでありますが、会の趣旨はピッティ・ウオモ出展報告会、ということで、小生としてはそれはもう、何しろ嬉しいのだが、冷静になるとはて、と困ってしまった。私は服飾評論家、ではない。要するに自分自身がオシャレだったり、いいものをたくさん持っているわけではない。あくまで歴史の研究家であったりするので、ことに、実のところは今時のかっこいいスーツ(いや、余裕があれば欲しいのはいうまでもないが)よりは、イラストの研究用に買い集めたあやしげなどこやらの軍服みたいなものでクローゼットはいっぱいであったりする。
 おまけに、大いに困ったことに、私は目下、肝心のタキザワシゲル・ブランドの服を一つも持っていなかったりする。しょうがないので、まさかどっかの軍服でいくわけにもいかず(ブラックタイなんてこともないが、仮装パーティーでもなかろうし)リングヂャケットのそこそこのものを着て、あとはまあ、きっと会場も暗いであろうから、といいかげんな服装で出かけました。
 妻も招かれたのだけど、こちらも、ステージに立っていたころなど今は昔で、ドレスの類など一つもない、というかあっても古すぎるし、まあなんにもない、といって困った揚げ句にまあ、なんかそれらしい普段着を適当に組み合わせて出かけたようだった。
 サローネ・オンダータhttp://www.style-creations.jp/salone/ondata/noon.htmの常連さんにとっては、あほらしい話だろうが、私はなにしろいきなり乗り込んだため、銀座・虎屋ビル8階と聞いていたので、ついつい松坂屋の通りの方から羊羹の虎屋の門前にたどりつき、はて、どこから入るのか、困惑してぐるぐる巡り、ああ、これは搦め手から入るに違いない、と合点して裏に回った。
 のだが、これがまた、初めて飛び込むにはなかなか入りにくいもので、逡巡しつつ、いつもはそんなことを全く気に掛けないのに、極度にレディファーストを押し通し、要は妻に先に立って貰い、私はその背後に影のごとく隠れて入場したのでありました。
 滝沢さんは、よく最近の雑誌で着ておられるカーキ色のジャケット姿で出迎えて下さいまして、というかエレベーターの蓋、ではないドアを開けるとそこにすう、と立っておいでになって、いきなりびっくりしつつご挨拶しましたが、いやあ、スマートな方。カニみたいな小生とはだいぶ違う。
 以後、スタッフの方々をつかまえては、訳の分からない軍装談義をいたしまして失礼いたしました。さぞかし皆さんげんなりされたと思う。
 とまれ、非常に有意義な時間を過ごせましたことをこの場を借りて滝沢代表と皆様に御礼申し上げます。

2008年3月28日(金)
ディズニー映画「魔法にかけられて」を見て参りました。このところ忙しくて遅ればせですが・・・。しかし最近、映画封切り多いですね。興味合っても間に合わないです。
 もうすでにどんな映画かは知れ渡っていると思いますので多くは語りません。ディズニーアニメと実写の融合という試みで、アニメ世界で恋に落ちたヒロインと王子様が、実写のニューヨークにやってきてどたばた喜劇を繰り広げる、という筋です。2D世界で夢のような世界観から3D世界に来てどうなるのか、というのが見物です。
 で、お姫様役のエイミー・アダムズは本当にアニメそのもの、というかアニメの人間化のような演技。それから、「ヘアスプレー」であまりにも見事な歌とダンスを披露していて主演級の人らを食っていたジェームズ・マースデンも見事。ちょっと出番が少ないが。
 ま、それで、あとはなんだか「プリティ・ウーマン」調の現実世界とのかかわりがあって話が進んでいくですが。
 これ、落ちとしては誰でも二つは思いつくはずですね。で、どうなんでしょう、私はちょっと、エンディングにかけては、現実が勝りすぎかな、と思いましたが。
 「現実に適応する」=「成長する」ことって、そんなに素晴らしいことだろうか?
 まあ、ちゃんと現実に背を向けてアニメ世界に飛びこむ人物も出てきますけど・・・。
 それ以上はまあ、何をどう書いてもネタばれにつきご容赦。
 それにしても王子様の服装はあれですね、スラッシュ入りのパフスリーブのダブレットに下半身はタイツ。刀は鋭いタイプ。まあ十四、五世紀ぐらいのファッションです。
 王子様ってだいたい、このへんのイメージなんですね。
 いや、ついつい服飾史の本など書きましたので。「スーツ=軍服 彩流社」
 http://www.bk1.jp/product/02976958
 と、またしても最後は宣伝入れますがすみません。
 しかし面白い映画でした、はい。

2008年3月22日(土)
昨日の話の続きであるが、英国大使閣下からの書簡には、「銀座松坂屋でヘンリープール展をやっているのでぜひご覧を」とあった。
 そう言われては、見に行かずばなるまい。
 ということで、銀座松坂屋の「UK−JAPAN2009公認イベント ヘンリープール展〜サヴィル・ロウ、スーツの源流」3月19日〜24日、というのを見てきました。
 ヘンリープールはロンドンの紳士服街サヴィル・ローでも最も古いテーラーで1806年創業とか。ナポレオン戦争の時代ですね。そしてナポレオン3世、エドワード7世、チャーチル首相、吉田茂首相、昭和天皇の服を作った老舗中の老舗。
 まず銀座松坂屋に行きますと、1階のショーウインドーにいきなりでーん、とネルソン提督の軍服の復刻がある。トラファルガー海戦で彼が着用していたネイビーブルーの燕尾服の精密再現だそうで、写真や肖像画では分かりにくいディテールがよく分かります。中央の隠しボタンはホック留め、左右の折り返し襟は肖像通りに非常に先端がとがっていて、ああ、おそらく後のピークドラペル(剣襟)はこの海軍の様式なんだろうな、と納得されます。
 その折り返し襟と、袖口のボタンホールは想像よりも大きくかつ細い。しかしちゃんと開閉できるのは当然であります。正肩章エポレットはベタ金で格別な飾りはなく、これが将官の階級を表して、袖口の金線は二本。海軍中将を表すのでしょう。二角帽は中央に金色の組みひもがぶら下がっており、珍しいディテールがよく分かる。
 その隣にはエドワード7世の夜会服。ぱっと見は普通のショールカラーのタキシードだが驚いたことに、前合わせがダブルになっていて、ハンガリー風の綴じ紐がついている。つまり軍服の肋骨服の仕様になっているのに驚きました。
 5階に上がるとヘンリープールの店内に展示あり。
 まず目を見張ったのがガーター騎士団のガウン。例の「人を笑うものに災いあれ」を刺繍した深い紫のガウンで、中央に下がる見事な太い組みひもの装飾は目を引きます。
 隣には1820年ごろの御者の制服。派手な縞柄でやはり前合わせはホック。金ボタンは飾りです。これはダブレットスタイルの最後の生き残りだと思われますが、おそらく1850年ごろまでに廃止された大礼服の類はこんなものだろうと納得。
 それから1900年代初頭の赤い英陸軍のジャケット。これは総督の着る礼服で普通の軍服じゃないらしい。エポレットの付け方がよく分かりました。留めボタンを受ける金具が、肩の生地に直に埋め込むのでなく、台布を置いて盛り上げて取り付けている。またエポレット本体も金属製の芯がついており、旧日本軍の正肩章と同じスタイルであること、など見て取れます。裏地は当然ながら白、また燕尾服の裾にまで王室紋章があるのは総督用の意匠でしょう。
 チャーチルのストライプのグレーのスーツの復刻もありました。ああ、こういうのを着ている写真もあるなあ、と思いました。もうちょっとダークな印象もありますが、明るいグレーも着たんですね。
 それから日本の明治時代に制定した枢密院侍従長の大礼服。見事な刺繍で、やはりこれも金ボタンは装飾、ホック留めと軍服の仕様なのがよく分かります。
 ほかに吉田茂や昭和天皇の注文台帳の実物も展示されています。そこらの電話帳よりずっと分厚い代物です。
 ということで、私みたいな者には面白いのですが、ちょっと店内展示なんでもっと大規模にやってくれればいいのに、とその点は残念というか、もっとたくさん見たかったですね。
 そして、やはりというか、こういう軍服のディテールとか仕立て技術が、そのまま紳士服の仕立て技術に応用されたのだな、ことにナポレオン戦争以後にサヴィル・ローが勃興して今のスーツの原形を作っていく、という流れは本当であるな、と実物展示で納得できるものでありました。
 私も「スーツ=軍服!?」などと言う本を出した手前、しかしこういう本物を手元に持っているわけではなく、本当にいい勉強になりました。
 この展示は、3月26〜31日には名古屋の松坂屋本店に移る予定だそうです。
 
 
 

2008年3月22日(土)
 映画「ライラと黄金の羅針盤」見てきました。遅ればせですが・・・。いや、面白いですね。細かい話は既に出回っていると思いますから書きませんけれど、要はパラレルワールドもので、現実世界とちょっと違う世界のお話。人の魂が実体化して主人にペットのようについて歩く世界が舞台。そして、独裁的宗教機関「教権」の抑圧が存在する社会。そこに登場して世界を変えていくのは一人の型破りな少女の勇気である・・・と。ものすごく速いテンポで、複雑な話を裁いていて、その手際が見事と思いました。ファンタジーは世界観を理解するまでが難しく、そこでついていけないと面白くなくなってしまいますが、今作はうまいですね。ダコタ・ブルー・リチャーズという子役、この人はすごいですね。大物になる予感がします。時代劇なんかもってこいと思う。007コンビのダニエル・クレイグにエヴァ・グリーン、そしてニコール・キッドマン、いい仕事しています。いちばん心動かされるのは、この第一話(3部構成)ではやはりシロクマ・・・じゃなくてヨロイグマの逸話。父を殺され王位を簒奪された王子の復讐劇はハムレットそこのけ、いいですよね。
 さすがに「ロード・オブ・ザ・リング」のニューライン・シネマ。手堅い。いい映画化ですよね。原作ファンも納得じゃないでしょうか。ぜひ第二部(現実世界が描かれるとか)も見たいです。
 ◆  ◆  ◆
 大阪市営地下鉄で男性会社員が痴漢にでっち上げられた事件後、「男性専用車両を導入してほしい」という申し入れが市交通局に相次いでいることが21日、わかった。「痴漢に間違えられたくはない…」。同様の要望は事件前から鉄道各社にも寄せられていたという。今回の事件を契機に鉄道各社も「導入を検討したい」としている。(ゲンダイ)
 これ、前から思ってました。男性にはそう思う人も多いのでは? 痴漢は論外ですが、絶対に冤罪もあるとみんな思っていたはず。こういう計画的な悪人が出てきたことで、警察も頭ごなしに犯人扱いするばかりでなく、こういう可能性もあるのでは、と少しは見方を変えてはどうか、と思います。
 ◆  ◆  ◆
 新刊書「スーツ=軍服!?」が出たので、サイトをリニューアルしました。
 http://www.tujimoto.jp/
 一応「戦史・服飾史研究家」というのを表看板にして見ました。いかがでしょう。
 ◆  ◆  ◆
 その新刊書について、いろいろご感想なども戴きました、意外な方からいただいてびっくりすることもあります。今日はなんと、英国大使館グレアム・フライ駐日大使閣下から、直筆サイン入り書簡が! まあ謹呈したからですが、返事があるとは思いもせず。
 今年は英国年なんですね。いま、松坂屋銀座と新宿伊勢丹でサヴィル・ロー展をやっているとのこと。こりゃ見てこないと・・・。
 

2008年3月15日(土)
 3月15日は「靴の日」なんだとか。大村益次郎の命令で、伊勢勝造靴場が陸軍の軍靴製造工場として創業したのが1870年の今日なんですと。この伊勢勝造靴場、というのは今のリーガルのことです。
 このことは、私の本にも触れましたが、しかし創業記念日は知りませんでした。
 という次第で・・・このところ宣伝ばかりじゃないか、とお叱りを蒙るかもしれませんが、なにしろ自分で宣伝しなきゃ誰もしてくれませんのでどうかお許しを。ということで、10日に発刊しました拙著「スーツ=軍服!? スーツ・ファッションはミリタリー・ファッションの末裔だった」ですが、http://www.7andy.jp/books/detail?accd=32035383あのスタイルクリエーションズ社代表で、タキザワシゲル・モデルのスーツで有名な滝沢滋さんや、高橋洋服店の高橋純社長からご激励をいただき驚いております。
 なんとも驚いたことに、滝沢先生はなぜか当ブログを以前からご存知だったとのこと。いやもう驚くばかりです。
 それから今日、幾多の戦記文学の名作で知られる直木賞作家の伊藤桂一先生からもお便りがあって、「私は軍人生活(兵隊)が長く、あわせて戦記も多く書き、軍服世界育ちです。軍事をスーツから考えてみられていてたいへん面白いです」とご激励を賜りました。厚く御礼申し上げます。
 

2008年3月13日(木)
 日銀の総裁人事でもめています・・・しかし。まあ最悪の場合、理事が代理で担当しても大勢に影響なし、というか、利上げなどできず、利下げしたくても下げる幅もなく、要はなんにもできないのであり、決定会合のたびに「何もしません」というだけのことなら私にだって出来そう。つまり、今の日本の日銀総裁なんてどれほどの影響力があるのか、という感じは率直に言ってあり、「早く決めないと大変だ、大変だ」と脅かしのようなことを繰り返す向きもありますが、まあどうなのでしょうか。
 ◆  ◆  ◆
 さて、私が10日に出しました新刊「スーツ=軍服!? スーツ・ファッションはミリタリー・ファッションの末裔だった」http://books.yahoo.co.jp/book_detail/32035383
 の打ち上げ会を昨日、担当編集の方と私と妻とで、都内・神楽坂の某料理店で開きました。それで、あの本を買われた方は、カバーを外してみていただきたいのですが、表紙に使っている紙は、紺色地に白の薄い立てラインが入っており、ちょうど白墨で縞を描いたような柄になっております。どうみても、いわゆる英国系の渋い背広のチョークストライプという生地のようです。
 そしたら、編集さんの言うには「あれは、セビロという名前の紙です」とのこと。ああ、本当にセビロを意識した紙なんですね。紙見本を見ていたら偶然、発見したのだとか。なかなか粋な配慮で著者としても嬉しいです。
 今日、銀座の某有名テーラーの方からメールがあったりして、思いがけないことになかなか評判もよろしいようで・・・いや、自分で言うのも変ですが。
 とにかく、ファッションの専門家はファッションのことしか書かず、軍事の専門家は軍事にしか興味がなく、ミリタリーの視点から男の服装を考える、といった類書がなかなかないのが現状でした。だったら自分で書くしかない、と思い立ったわけであります。
 そういう動機なので、ともかくこういうことにご興味のある皆様に少しでもお役に立つことがあれば、と思っております。拙い部分も多々あると思うのですが、ぜひご指導を賜りたいと存じます。ご縁のありますすべての皆様にお手にとっていただけますことを念願しております。

2008年3月10日(月)
今日は・・・「東京大空襲の日」ですよね。「東京大空襲から63年にあたる10日午前、空襲や関東大震災の犠牲者を弔う法要が、東京都墨田区の都慰霊堂で営まれ、常陸宮ご夫妻をはじめ、被災者や遺族ら計320人が参列」(読売)というわけですが、しかし考えてみるとわずか63年前、ですよね。そんなに大昔という話でもない。
 世の中、変わり果てました。犠牲になった方が今の日本を御覧になったらどう思われるだろうか、と思います。もちろん平和でよかった、と思うでしょうが、しかし「うーん、こんなはずでは」ということも多いのでは・・・。
 たとえば。国交省の皆さんには悪いですが、しかしそんなにマッサージチェアが必要なんですかねえ、とは誰しも思います。なんとかならんですかね、もう少し。
 ◆  ◆  ◆
 この3月10日というのは私にとりまして。
 「スーツ=軍服!? スーツ・ファッションはミリタリー・ファッションの末裔だった」(彩流社、本隊2200円)の一般発売日であります。
 http://www.bk1.jp/product/02976958
 著者としまして、すべてのご縁のある方にお読みいただきたい、そして、少しでも皆さんのお役に立つことがあれば、と切望しております。
 歴史ファンの方、特に西洋史にご興味のある方、また服飾史、ファッションに関心の高い方、軍事史、ミリタリーファンの方、プラモデルがご趣味の方・・・などぜひ、お手に取っていただきたいと存じます。
 なにとぞよろしくお願い申し上げます。

2008年3月03日(月)
 雛祭りでございます・・・私は子どものころ、実はおひな様ってのに憧れてましたね。うちは男の子一人だから。それにひな人形というのは、男は束帯、女は女房装束でしょ。私は昔からそういうコスチュームに興味がある子どもだったんですが。
 それでどうしたかっていうと、五月人形の武者人形にわざわざ、束帯とか狩衣風の上着を着せたりしてね。まあ変なことをしてました。
 だからって、後々、服飾の本なんか出すことになるとは夢にも思わなかったですが。
 その「スーツ=軍服!? スーツ・ファッションはミリタリー・ファッションの末裔だった」(彩流社、2200円)http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-7791-1305-5.html
ですが、早いところでは8日か10日には書店様の店頭に並ぶ予定です。
 また、5日の読売新聞一面、9日の朝日新聞書評面などに書籍広告を打つ予定です。
◆  ◆  ◆
 ざっと、目次から見出しだけ並べてみます。

◆本当に「スーツは男の戦闘服」である
◆文明開化当時、スーツは最新式の服装だった
◆基本を知らなければ崩すことも出来ない
 ◆我々の身近にあるミリタリーファッションの影響
一、スーツの章
@スーツまでの歴史を概観する
 ◆西欧の衣服は本来「ひらひら」
◆長く続いた「ワンピース」の時代
 ◆半ズボンとボタンの登場
 ◆ルイ14世の「紳士服革命」
 ◆ナポレオン時代は軍服花盛り
 ◆ヴィクトリア朝に登場する今のスーツ
A背広の襟(ラペル)について
 ◆背広の襟はもともと詰め襟
◆2ボタンスーツと3ボタンスーツ、どっちが正式?
 ◆ダブルのスーツはフロックコートから
 ◆ボタンが広まるまで
 ◆男も女もレースの襟飾りの時代
 ◆襟は自然発生したもの
 ◆ポーランド騎兵とハンガリー騎兵の制服
◆紳士服にも「左前」があった時代
 Bフロックコートの時代
 ◆2人の「アルバート」とヴィクトリア女王
◆質素倹約の父親、ファッションリーダーの息子
 ◆フロックコートは「乗馬用上っ張り」
 ◆「プルシャン・ブルーの軍服」の流行
 ◆モーニングの登場
 ◆そして現代型スーツの誕生
 ◆フロックコートの退場
 ◆タキシードも本当は英国海軍生まれ
◆日本の閣僚が夜でもモーニングを着る理由
 C軍服が背広に近づいてきた時代
 ◆ドイツ空軍の「背広軍服」
 ◆日本軍の折り襟軍服はドイツ軍の真似?
 ◆世界的に大流行した折り襟
 ◆フランス陸軍式の学生服、英海軍式のセーラー服
 ◆軍服が「ドレスダウン」したころ
Dセンターベントとサイドベンツ
 ◆「馬乗り」と「剣吊り」
 ◆シングルにはセンターベント、ダブルにはサイドベンツ
 ◆軍刀を下げるのに便利?
◆ノーベンツの方がフォーマル?
E袖の仕様「本切羽」その他について
◆「切羽」とは日本刀の部品だが
◆英語では「リアル・カフ・ホールズ」
◆ナポレオンも袖口のボタン外し
◆ドレスシャツを袖から覗かせる習慣
◆ズボンの折り返しがあるほうがフォーマル?
F007はなぜイタリアン・スーツを着るのか?
◆ボンドは第2次大戦に従軍した海軍中佐
◆ブリオーニのスーツは一着50万円也
◆注文あつらえにも段階がある
◆コネリーのボンド
◆レイゼンビーのファッショナブルな007
◆ロジャー・ムーアはエグゼクティブ風
◆「マイアミヴァイス」のようなダルトン時代
◆ブリオーニが採用された背景
G「クールビズ」が気に入らない理由
◆気になった「政治的ユニフォーム」
 ◆制服効果の悪しき前例
 ◆そもそも時代遅れな発想ではないか
 ◆見せかけではなく本当の環境対策を
 ◆やめるべきはネクタイではなく「衣替え」
◆古来、偉い人ほどラフな格好を好んだ
 ◆スーツを駆逐する服装はあるか
 ◆たかがネクタイ、ですまない場合も
 ◆「涼しいだけ」では正装といえない
二、ブレザーの章
◆色違いの「替え上着」ではすまない
◆「ブレザー」に二つの系統
◆ケンブリッジ大学のボートクラブ
◆英国軍艦「ブレザー号」の逸話
◆「セーラー服」は1857年に制式に
◆平和任務で名を残した名艦
 ◆4代目「ブレザー」号
 ◆海軍士官のジャケットはダブルのブレザーに
 三、コートの章
◆コートが必要になった時代
◆チェスター・コートに名を残した伯爵
◆水兵用のピーコート
◆モントゴメリー将軍が流行らせたダッフル
◆アクアスキュータムのトレンチ
◆クリミア戦争とファッション
◆ラグラン男爵とカーディガン伯爵
◆塹壕で生まれた数々のもの
◆そして「塹壕」コート
◆軍用コートには不可欠な肩章
◆肩章の長い来歴とは
◆「小さな肩」を頼もしく見せたい
四、ネクタイの章
@クラヴァット普及までの謎
◆真相はルイ13世か、14世か?
◆ローマ軍のフォカーレ
◆クロアチア兵、フランスに現る
◆クラヴァットの流行
A結び下げネクタイの謎
◆フォー・イン・ハンド・ノットの謎 
Bレジメンタル・タイと「大佐」の権威
◆レジメンタル・タイの特別な意味合い
◆軍服の「カーキ色」化
◆軍隊における「連隊」の格
◆古代以来の由緒ある呼び名
◆レジメントが最高の編成だった
◆将軍にはなれるが大佐にはなれなかった
◆日本軍向けにすっきりと翻訳
◆海軍の階級の由来
◆キャプテンの由来は「斬り込み隊長」
◆無理な陸海軍のすり合わせ
◆ストライプはなぜ英国と米は逆なのか
C水玉ネクタイの不思議
◆水玉タイはなぜ格が高いのか
◆ブラックスーツを結婚式で着るのは日本人だけ?
◆水玉とは「ポルカ・ドット」
五、ブルゾンの章
@戦闘服とブルゾン
◆「硫黄島からの手紙」への妙な難癖
◆鬼の首を取ったようなブログの滑稽
◆戦闘服が登場したのはごく最近
◆Tシャツも米軍が普及させた
◆今の若者にも大人気のM65ジャケット
Aヒモ飾り「飾緒」の歴史
◆「参謀職緒」は参謀専用ではない?
 ◆むしろ「副官=秘書」の印である
 ◆もともとは「馬の手綱」
 六、勲章の章
 ◆勲章の歴史をたどってみる
 ◆ガーター勲章と金羊毛勲章
 ◆新時代の勲章レジオン・ド・ヌール
 ◆あまりにも有名なドイツの鉄十字勲章
 ◆ヴィクトリア十字勲章、メダル・オブ・オナー、金鵄勲章など
七、靴の章
◆謎だらけの「靴の歴史」
◆とんがり靴とミッキーマウス靴
◆靴に名を残したワーテルローの英雄
◆19世紀に花開くさまざまな靴の様式
◆靴の手入れは自分でするに限る
◆10足の靴を交互に履くほうが長持ち
◆老舗「トリッカーズ」の由来をたどる
◆創業時は「バルトロップ」社だったか
八、鞄の章 
@旅行用トランクとルイ・ヴィトン
◆日本にはなかった「カバン」の概念
◆旅行が盛んになる時代が前提
◆世界最古のトランク業者
◆日本の家紋の影響というが
◆世界最大の巨大ファッション財閥に
◆ドン・ペリニオンの由来
A奇跡のような紙のトランク
◆ゾウが踏んでも壊れないトランク
◆ヴァルカナイズという名の共通点
◆靴のグッドイヤー・ウェルト製法とグッドイヤー氏
◆薄幸の天才チャールズ・グッドイヤー
◆マッキントッシュとヴァルカナイズド製法
◆なぜか紙から生まれた素材もヴァルカナイズドに
◆漱石も見た? グローブ・トロッターの流行
B金属製のトランク
◆ドイツ空軍仕様のリモワのケース
 九、帽子の章
  @二角帽までの時代
 ◆装飾過剰の時代まで
◆三角帽、そして二角帽に変化
◆軍帽から生まれたさまざまな様式
A敬礼と脱帽の歴史
◆ネルソンの麦わら帽子
◆現代的な「官帽子」の成立
Bシルクハットの時代
◆さまざまな帽子が出そろう19世紀後半
◆帽子の消滅と復権の兆し
十、腕時計の章
◆最初の懐中時計はヘンリー8世か
◆航空機と世界大戦が普及させた腕時計
十一、その他のこぼれ話
◆まずはリーバイ・ストラウスから
◆レイバンの軍用サングラス
◆オールデンのコードバン靴
◆英陸軍発祥のカジュアル・シューズ
◆一旅行者が流行させたサンダル
◆沈没船から引き上げられた帝政ロシアの幻の革
◆万年筆と鉛筆の四方山話
◆エルメネジルド・ゼニアの先見の明
◆パラシュートから生まれたナイロン傘
◆チャーチルの「特別製のもの」を守った特製の下着


 あとがき

主要参考文献・参考サイト

 まあ、こんなような内容です。ご興味をお持ちになった方はぜひぜひ、お手にとって
ごらんになって下さい。
 イラストも100枚ほど入っております。妻の玲子による描きおろしです。なにとぞよろしくお願い申し上げます。以上、宣伝でした・・・。


2008年2月29日(金)
 映画「エリザベス ゴールデンエイジ」を見てきました。これ、9年前に大好評だった「エリザベス」の続編。ケイト・ブランシェットの出世作として有名ですね。にしてもこのシリーズ、当のブランシェットはじめ主要キャストがなぜかオーストラリア出身。監督はインド出身、というわけで、英国のエッセンスをしっかり受け取っているけれども英国人ではない、という面々が非常に多い。しかしだからこそかえって英国の黄金時代の象徴、エリザベス女王を映画化しよう、なんてことが成り立つのかも、とも思います。
 が、サー・ウオルター・ローリー役のクライヴ・オーウェンははまり役。「キング・アーサー」以来、時代劇にも出ていますが、確かにこういう役に合う人。やっぱり日本でもそうだが時代劇には存在感ある人でないと。
 そもそもケイト・ブランシェットっていう人も、時代劇にはまる人ですしね。もう白塗りメークするとエリザベス1世にしか見えないし。この人とか、先日オスカーを獲得したティルダ・スウィントンとか、決してハリウッドじゃ出てこないタイプの俳優さんってのはいます。
 そりゃそうと、今作は基本的に、前作で苦難の日々を乗り越え、晴れて女王となったエリザベスが、今度は一番有名な話である従姉妹のスコットランド女王メアリー・スチュアートを処刑し、さらにフェリペ2世の無敵艦隊アルマアダと決戦、ついにスペインの時代を終わらせ、英国が世界の海を支配する時代に・・・というもう女王本人だけでなく英国史上でもひとつのクライマックスの辺りであります。基本的に史実に忠実なので、ストーリー解説は無用でしょう。時代は16世紀の終わりごろ、日本で言うと本能寺の変から豊臣秀吉、関ヶ原の合戦あたりの時代で、まさに洋の東西で決戦の時代だったわけ。
 とにかくエリザベスの父ヘンリー8世が巻いた種(そりゃ彼のどうしょうもない性欲とそれを誤魔化すための宗旨替え、度重なる再婚、処刑の数々)が、因果めぐってここまで来ちゃった、しかしそれを結果として乗り越えることで、英国は世界帝国となりスペインは没落、女王は世界史に残るヴァージン・クイーンとなった次第。そこらはご覧になればよく分かります。前作と合わせてみれば、英国史の要点がしっかり分かるいい映画。
 メアリー・スチュアートは史実通り、かわいそうなことになりますが、そして描き方としては全くフェリペ2世の陰謀という形になってますが、しかし、エリザベスの没後は実は、彼女の息子のジェームスが即位しますのでもって冥すべしか。
 ここに加えて、女王と、ウオルター・ローリー、女官ベス・スロックモートンの三角関係というのも、史実をちょっと誇張して絡んできます。映画じゃ出てきませんが、エリザベス没後、ジェームス2世の時代にこそローリーとベスの苦難の日々があるんだけどそこは描かれません。
 それにしても、アルマアダを迎え撃つ女王が甲冑に身を包んで将兵を激励するシーン、有名な肖像画がありますが、あれは胸甲だけ着けている、というのが史実のようだが、この映画のように全身白銀の甲冑をまとうのもビジュアル的に素敵。あれはジャンヌ・ダルクのイメージにもだぶりますね。救国の聖処女のイメージ。エリザベス女王が結婚しなかった、という理由が映画でもしっかり描かれてますが・・・これは別に上杉謙信みたいな神懸かりの理由じゃなく、諸国の男性君主にその気を持たせて(つまり英国女王と結婚してしまえば難なく事実上、英国も支配できる。エリザベスの姉のメアリー1世はフェリペと結婚してたから、その時点では英国はスペインの属国同然だった、というのが複線としてあるわけです。ついでにいえば、メアリー・スチュアートもスコットランド女王であると同時にフランス王妃だった時代があり、その時点ではスコットランドはフランスの支配下にあったも同然ですね。昔は縁組一つで同盟も国の合併も簡単にできた、というわけです。最近の王室・皇室のお后選び、なんて次元じゃなかったんですな)外交を有利にする策略だった、というのがいちばん大きいのですが、それに加えて精神的な理由、ジャンヌ・ダルク的な投影があったんだろうな、と。
 蛇足で言えば、後の時代のヒトラーなども同じような発想で独身を続けたのだろうと。不思議と権力者でその気になればどんな縁組でもできるのに、なぜか独身、という人は人気が出る。最近じゃ小泉総理もそうだったかもしれません。
 とにかくコスチュームプレイの魅力満載。ブランシェット以下の配役も完璧。時代劇として言うことありません。歴史好きは必見。あまり出番はないけど、「女王陛下の海賊」ことフランシス・ドレーク提督も海戦シーンではちゃんと登場。
 それにしてもエリザベス1世はオシャレで有名な人でしたから、衣装がすごいです。見事に再現してますね。この時代はファージンゲールという枠みたいなものをスカートに入れて膨らませていたんですが、その形も英国式とかフランス式とかいろいろある。フランス育ちのメアリー・スチュアートはフランス風の角張ったスカートで、エリザベスは英国式のAラインのスカートだとか、なかなか細かい。
 あと、この時代の服装というと、男女問わずラフというでっかいレースの襟飾りが有名です。このへんの時代だけの流行なんですな。
 病気の犬の身体に薬など塗った際、犬がそれを舐めたりしないように、首にでっかい襟巻き状の固定具を着けますが、あれをエリザベスカラー(エリザベス女王の襟)と呼ぶ。女王のでっかい襟飾りはそれだけ有名だったんですね、今でも名前が残っているんです。
 いやあ、いい映画でした。


2008年2月23日(土)
浦安に住んでいると、年に2回ぐらい、つまり春一番とか木枯らしとかいう時期に「強風のため電車全滅」ということがある。つまり、浦安市内を走っている東京メトロ東西線と、JR京葉線がすべて運休してしまう、という事態である。
 今日は春一番じゃないようだが(その後、やっぱりこれが春一番なんだと聞いた)、そういう悪夢の事態となった。
 いやそればかりか、海沿いからちょっと離れればなんとかなるだろう、という発想で、より内陸の総武線、さらにずっと内陸の常磐線などに回ろうと思っても、そちらに向かうべき武蔵野線や、肝心の総武線、常磐線まで止まった、というわけなので、午後3、4時ごろにどこかに行こうと思っていた海沿いの千葉県民は完全にアウト、というわけだった。こういうことも珍しい。
 まあ、多くの人は土曜休み、ということだっただろうが、私は夕方出勤なのでもろに困ってしまった。
 でまあ、私はこういう場合の奥の手として、徒歩で旧江戸川にかかる橋を渡り、江戸川区葛西まで出て、ここから都バスで最寄りの都営線一之江駅まで出る、ということを想定している。いつもよりちょっと時間はかかるが、まあバスの時間によるが、1時間〜1時間半ほどで都心に出られる。
 というわけで、本日もそのようなルートでなんとか出社に及んだ。いつもより1時間強の遅れだが、なんとかなった次第だ。
 しかし後で聞けば、都営線も今日の場合は一部区間で運休していたそうで、もし自分の乗るべき区間がそうなっていたら、今度こそ完全に打つ手なしである。いやもう、危ないところだった。 
 ◆  ◆  ◆
 中国ネタがうんざりである。サッカーの話もギョーザの話も、もう触れたくもない。日本人が気に入らないのはもう分かった。しかし、それだけ言っていればなんでもかんでもいいという話は、聞き飽きた。
 ◆  ◆  ◆
 イージス艦の話もうんざりである。初報以来、私らも仕事上、振り回されているが、まあ詳細はおいておく、それにしても海上自衛隊、これだけ世間の民間企業の危機管理がなっていない時期に、準軍隊であるこの組織がこのていたらくで大丈夫なのか、しょせんあなた達もその程度の「並の組織」なんだな、とがっかりさせられる。
 そして、都合の悪いことを直視できず、悪い話を前向きに対処できず、悪い情報が正確に表に出ず・・・これでは昔の日本海軍と変わらないではないか。
 軍機の名の下になんでも秘密にするような軍隊は、今の時代では弱い軍隊である。悪い事態を直視し適切に対応できるのが強い軍隊である。いや軍に限らず、組織全般である。悪い情報を正直に公開するほど株価が上がる、というのが今の時代だ、と民間企業のまっとうなところはすでに理解しつつある。駄目なのは古い体質の所だ。
 自衛隊も、そのへんの考え方を変えるいい機会とは思う。大本営発表など通用する時代でないのは言うまでもない。今の自衛隊は天皇陛下の軍隊ではないからであって、あくまで税金で養われているただの公的組織だからである。
 そして、俺らは世界最新鋭の主力艦だ、そのへんの漁船は自分でどけ、という意識があったことはまず間違いない。こういう慢心があるようではとてもこの時代、やっていけないと危惧する。「あたご」というのは旧海軍の巡洋艦「愛宕」の名を継ぐのだが、その愛宕も戦前は最新鋭の名を欲しいままにしたが実戦では非常に芳しくなかったように記憶する。たしか最後はレイテ突入時の栗田艦隊旗艦だったが、あっけなく潜水艦の魚雷で沈没、これがケチのつきはじめで、栗田提督は結局、訳の分からない反転をしちゃった、という戦史があるが、どうも最初の愛宕の沈没が思い切り、みんなの士気を阻喪させたように思う。
 旧軍の慢心まで継承しないようにしてもらいたいものではある。
◆  ◆  ◆
 9時すぎて、ロス疑惑の三浦和義氏がサイパンで逮捕された、と言い出した。しかし、今更じゃなかろうか。若い人は全く知らない事件だろう。ちなみに同氏はアメリカの裁判でどうなろうが、すでに日本では無罪なのである。

2008年2月16日(土)
 今でも健在も健在なのだな、と思った。アイアン・メイデンである。
 「英ヘヴィメタルバンド、アイアン・メイデンの世界ツアー日本公演が15日、横浜市のパシフィコ横浜で開幕した。来日は1年4カ月ぶり12回目だが、今ツアーの“足”は、チャーターしたボーイング757だ。バンドのロゴを塗装し、ボーカルのブルース・ディッキンソン(49)が自ら操縦している。飛行機好きのブルースは、趣味が高じて90年に旅客機操縦免許を取得。今ツアーでは他のメンバーや70人のスタッフ、12トンもの機材を載せ、欧米、インドなど10カ国、約7万キロの空を飛ぶ。ブルースは映画「オーメン」の不吉な数字にかけて「ボーイング666、だぜ」と命名するなど上機嫌で、この日夜の初日を迎えた。ライブは、演奏曲を80年のデビュー盤から7作目までのアルバム内に限定。「魔力の刻印」「鋼鉄の処女」など、日本では14日にDVD化されたばかりの、85年のライブビデオ「死霊復活」の曲目に準じた、代表曲ばかり17曲を披露。超満員4500人のファンを感激させた。」(サンスポ)ということで、私にとってはそりゃポリスの来日よりずっと感慨深いものである。
 ヤニック・ガースが加入した直後のステージをNHKホールで見て以来、私は見ていないが・・・というか、近頃はコンサートに行くこと自体、ないのだが、メイデンならもう一回見てみたいような気がいたします。
 しかし・・・とにかくロックスターの死因でやたら多いのが「飛行機事故」。薬物死と飛行機事故死がとにかく目立って、ちょっと思い出してもバディ・ホリーにポール・コゾフにランディ・ローズに・・・枚挙にいとまがない。それだけ移動が多いわけだが、気をつけてもらいたいものである。
 ◆   ◆   ◆
 アメリカの選挙はそろそろ絞れてきた、ということでいいんだろうか。クリントン陣営の特別代議員抱き込み工作も限界か?
 ◆   ◆   ◆
 ギョーザはあの騒ぎ、皇室はがたがた、政治家たちはなんとも弛緩しているのに、アホな利権ばかりちらちら。うんざりである。
 ◆   ◆   ◆
 「スーツ=軍服!?」ついに入稿した。よって、月末には初刷り、3月はじめには刊行の予定です。
 さらに、この後もいくつか、出版の話が来ておりますので、それについてはおいおい。

2008年2月13日(水)
 「防衛省は13日、平成22年度からの装備化を目指し国産開発中の陸上自衛隊の新型戦車(試作車両)を、神奈川県相模原市にある同省の研究施設で報道陣に公開した。ハイテクを駆使し味方の戦車同士で瞬時に情報を交換、共有するシステムを搭載しており、敵の戦車だけでなく、ゲリラや特殊部隊による攻撃など新たな脅威にも対処できるのが特徴。開発費用は約484億円で、一両の値段は約7億円と世界最高レベルだ」(産経新聞)というのですが、なんか前の90式がレオパルトのちょっと遅れパクリ、という感じだったのと同じく今度も「レオパルト2の周回遅れパクリ」という感じも・・・またまたそっくりですもんねなんだか。いまどき主力戦車なんて、軽装甲車の機動部隊のほうが時代じゃないのか、という声も一部にあるようだが、しかし戦車の自力開発能力というのも先進独立国のバロメータなので、一応、維持したほうがいいとは思います自分などは。米軍の機動展開戦略にしても、イラクであのとおり頓挫して以後、なんだか尻すぼみだし。
 ◆  ◆  ◆
 35歳で羊水が・・・みたいな話も一段落したかと思いますが、まああれはここまで順調にきた歌姫への初の本格的バッシング。ここを乗り切れれば一流に、ここでダメになるようならここまで、という気が致します。
 ◆  ◆  ◆
 江原某氏に対する大槻某氏のバッシング本が出る、と話題になっておりました。江原某氏についてはどうも英国スピリチュアリズムの成果のいいとこ取り、というかシルバーバーチとかインベレーターとか元ネタがわかる話が多いな、と前から思っております。能力のほどはわかりません。
 しかし大槻某氏というのもなんか「?」な人ですから。「オーラは光の三原則に従えば化学的に見えない」「霊は科学的には存在しない」という話のようだが、それもまたあまり科学的とも思えず、あくまで我々の科学はこの時空、この宇宙の法則を明らかにするもので、そうじゃない世界の存在を前提にした話をする場合に、この時空の法則とこの時空での人間の五感の範囲を根拠にした否定は意味がないとしか思えないのですが。「オーラが見える」というのもそれが見えると前提した場合、必ずしも肉眼で、という意味とは限らず、ただ江原某氏が本当に見えているのか見えていないのか、は本人以外には分かりません。
 結局、死んで見ないとわからない、としか言えないのでは?

2008年2月01日(金)
もう会社に行ったところ、餃子、餃子の一色である。そして、午後1時ごろになって警察庁から「兵庫の餃子のパッケージに穴」という一報が来て、また大慌てである。
 というのが本当なら、事故ではなくて事件、というのが確定するのである。そして、天津港を出る前に、何者かがやったのかもしれない、という話になってくる・・・。
 まあ、今の段階ではどこでどうなったのか、まったく確証がないのでこれ以上はどうにもならないが。
 まあ、しかし。あんまり冷凍食品に頼らない、というのがいちばんいいことなのかもしれない。
 ◆  ◆  ◆
 お待たせしている(というのは結構、そろそろ出ないのですか、と聞かれるようになってきたので)「スーツ=軍服!? スーツファッションは軍服の末裔だった」(彩流社)についてだが、http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-7791-1305-5.html イラストを何点か追加して、今日、やっと最後の赤字ゲラを出した。
 ということなので、あと一週間ほどで校了、その後、印刷して、刊行は2月末ごろと見込まれます。
 予価2200円。ちょっと最初思ったより分厚く300頁を超えそう。お値段もそれでちょっと上がってしまいましたが・・・。
 「欧米の軍隊の階級の歴史」とか、「勲章の歴史」「帽子の歴史」「敬礼の由来」など、ミリタリーマニア向けの話題から、トリッカーズやマッキントッシュ、アクアスキュータムにルイ・ヴィトンといったファッションブランドの話題まで、つまり軍事好きの人にもファッション好きの人にも喜んでいただけるのでは、と思っております。というのも、おおむね軍事好きは軍事のみ、ファッション好きはファッションのみに話題が偏りがちで、お互いの関わり合いとか歴史が意外に語られていないのですよね。
 たまたま両方に興味ある私がこういう本にしてみた、という次第です。
 もう少しですので、よろしくお願いいたします。

2008年1月25日(金)
 ドイツ映画「ヒトラーの贋札」を見てきました。先日、原作者のブルガー氏が来日してけっこうテレビなどにも出ていましたので、話題にはなっているはず、なのに今のところこのあたりじゃ日比谷シャンテ・シネと千葉の京成ローザぐらいでしかやってくれない。相変わらず、ハリウッドじゃない映画は見るのに苦労しますが。
 で、この映画は第二次大戦中、ナチスドイツが秘密裏に、アウシュビッツ等の収容所にいるユダヤ人の中から製版や印刷技術を持った人材を集め、ザクセンハウゼン収容所で偽ポンド札、偽ドル札の偽造をしていた、という実話が元になっております。
 すなわち偽紙幣で連合国の経済を混乱させるのが狙いだったわけ。で、特にポンドの方は実際に大量に印刷され、かなりの効果を上げたそうであります。
 先述のブルガー氏は、実際にこのベルンハルト作戦に従事し、戦後も生き残って貴重な生き証人となった人物であります。
 が、まことに面白いことに、映画の主人公はブルガー氏というわけじゃなくて、贋札作りの事実上の指揮を執った実在のロシア系ユダヤ人、サロモン・スモリアノフをモデルとした人物なんですね。
 映画状の役名はサロモン・ソロヴィッチとなっているのですが、彼はロシア系ユダヤ人であるうえに、贋札作りの名人という犯罪者。つまりナチス帝国ではまさに三重苦というような立場なんです。はっきり言ってアンチ・ヒーロー。悪人です。正義ぶった話は大嫌いで金儲けが大好き。賭け事も名人級。大胆で頭が良くてクールな悪党です。そういう人を主人公に据えた収容所ものというのが異色ですね。
で、彼はぬけぬけと1936年までベルリンで活動、しかしやりすぎて偽ドルを見破られ、あえなく捕まってしまいます。
 そして収容所に送られますが、持ち前の根性でこれまた逞しく生き延び、収容所の将校のご機嫌などとって、得意の肖像画など描いて、実にしぶとく生き残る。
 そこに、かつて彼を逮捕した警察の捜査官、今はその功績で親衛隊少佐に昇進しているヘルツォーク(史実ではSS国家保安本部外国局のベルンハルト・クリューガー少佐)に呼び出されるのであります。
 で、生き残るために精密な贋札を作らねばならない。しかし贋札を作ることはナチスに協力することである。それに贋札作りを条件にほかの収容者とは比較にならない特権待遇を得ているので、後ろめたさもある。
 映画の中ではブルガーという印刷工が、家族の処刑を知ってサボタージュを始めるわけです。これ、原作者ブルガー氏がモデルですが、ご本人は「あんな映画のように公然とした反乱は起こせません、すぐに殺されますから」といっておられるので、このへんは脚色のようです。が、映画中でも描かれるとおり、わざと質の悪い素材を持ち込んだりして、故意に作業を遅らせる者はいたという。
 しかし、作業が遅れると、今度は仲間が殺されるわけですね。「早く贋札を完成させろ」とヘルツォークから矢のような催促があるわけです。
 仲間は裏切れないが、ベストを尽くさないとみんな殺されてしまう。サロモンは悩みに悩むわけであります・・・。
 後は見てのお楽しみですが、一筋縄でいかない収容所映画です。単純に善悪白黒でものを見ることなど出来ない、観念的な正義なんてものがいかに薄っぺらいものか、というのがビターな味わいの一作です。そもそも本質が悪党である主人公が、ナチスという桁外れの巨悪の前に相対化されてしまうんですね、しかし「善良な無実のユダヤ人が悪いナチスにいじめられてかわいそう」という普通の図式に当てはまらないその状況で(というのもサロモンはそもそも犯罪者ですから)、そんな彼がどう振る舞うかという、人間ドラマであります。
 時代考証は良くできております。史実そのままではないが、原作者は何度も駄目出ししたそうで、変な受け狙いのシーンもありません。
 ただまあ、気になったといえば、ヘルツォーク少佐が騎士十字勲章をのど元に下げているのが、ありなのかな、と。どうみても戦功十字章ではなく騎士十字のように見えましたけれど。SS内勤で警察上がりの彼が騎士十字を手に入れる機会があったのかしら、と思いました(これは良くある話。SSも警察もみんなヒムラーの指揮下に入ったので人事異動はあり得るわけです)。もっとも、それでいえば、髑髏部隊から第3SS師団に移って前線勤務でもした、というのも人事異動としてあり得るので、そういう設定なのかもしれませんけれど。ま、こういうのはマニアネタなのでどうでもよろしいことです。
 


2008年1月18日(金)
 近頃は「いつまでもデブと思うなよ」なんて本が話題になります。私は岡田斗司夫さんほどじゃないですが、やはり最大で83キロほどになり、身長160センチですのでそりゃもう危険水域、健康診断の結果も以上をあらわすマークでいっぱい、医師からも警告されました。健康面もそうだし、岡田さんとか、あるいは卓球の四元選手もいうことですが、明らかに現世に置いてはルックスは大事、であります。自分の身体とかビジュアルイメージをないがしろにするようでは、どんなに頭でいいことを考えていてもダメである、というのはまことに同感であります。
 そんなことで、私自身もその最大体重から、いろいろ苦心して減らしました。今では68〜70キロぐらいです。まだまだ身長から言うと多いのかもしれませんが、体型ということもあるので、まあここから先はそう簡単に減らないようです。
 ではここまではどうして減ったか、というと、最初は「ハリウッド・ダイエット」というダイエット・ジュースです。これで78キロぐらいまで減りました。その後は「シアーズ・チョコバー」で75,6キロまで。「ジョーバ」で73キロまで。これは体重も減りましたが、腹筋や足の筋肉がつき、その後のエクササイズの基礎となりました。
 で、昨年の「ビリーズ・ブートキャンプ」で70キロになった次第です。
 が、ビリーの愛用者なら誰しも思うように、さすがに半年もやると飽きてきます。身体もなれてきて、けっこう、効き目が薄くなってくる気がする。維持は出来るのだけど、一層の絞り込みは難しい。
 やはりちょっと違う角度のものが欲しくなる。
 で、ショップ・ジャパンさんが最近、力をいれているのが「コア・リズム」という製品ですね。ラテンダンスのチャンピオンが開発した、ダンスの基礎的な動きを使ったエクササイズです。
 私もこれ、買って見ました、はい。
 で、最初の「入門編」をやってみましたけど・・・きついです。これはきつい。ビリーのおかげで相当に体力もできて腹筋もできているのですが、それでもこの動きはきつい。特に第二ステージの動きの速さはついていくのが大変。それに40分以上、休みなく踊るのも実に厳しいです。ちょっと見のイメージとは違いますね、これは。いきなり全く運動していない人がやったらついてこられないのでは?
 おそらく、ビリーなどをやってかなり基礎体力が付いた人がやってみる、という自分のようなパターンがいちばんよいのじゃないでしょうか。
 私は、腕の筋肉はビリーバンドで、腹筋はしばらくこっちで鍛えようかと思っております。


2008年1月11日(金)
 今日は国会があわただしく、肝炎救済法、新テロ特措法と相次いで成立しまして、これでまあ今国会も終わりのようですが・・・まあとにかく、国会議員の先生方も毎年、年末年始にこのぐらい仕事をされるのはいいのじゃないでしょうか。あの人たちの維持費が莫大にかかっているわけですから。
 ところで、浜崎あゆみさんの突発難聴が話題になりましたが、実はうちの妻も一時、なったそうなんですね。やはり漫画の締め切りに追われて無理をしたら、発症したそうであります。が、その後は問題なく緩和したそうですが・・・売れっ子歌手となるとそりゃもう休めないだろうし、1時間歌えば時給でいって何百万何千万円という方ですから。
 しかしこう見てますと、時代の寵児とか売れっ子とかいう、特に歌手ですね。日本の最近の人だと浜崎さん、宇多田さん、安室さんといったあたりですが・・・皆さん、客観的に見るとかなりつらいというか、プライベートはむしろ不幸なことも多いように思われますよね。なんかこう、スピリチュアリストのいう「補償」とか「埋め合わせ」というのかしら、これは売れっ子故に不幸が舞い込む、のではなく恐らく逆で、身を削って苦闘するのと引き替えに歌が世に出て行く、そういう作業なのかな、と。つまり身を削る覚悟をしないといけないのが、こういう立場の人なのかな、とは思うのです。
 人生万事がOKということは決してない、というのはおそらく確かな話でしょうね。
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 丸ビルのバタクさんでダブルのスーツを引き取りました。いやあ、これでこの冬のセールも私は終戦宣言しますが・・・ここのダブルは本当に、私のような身長160センチでウエスト85センチ、胸囲が104センチという人間には・・・つまり、最近の若い人たちの体型とはおよそ逆ですね、がっしりというか、カニみたいというか。とにかくそういう私に非常によく合います。ここは生地も面白いものを使っていて、夏場もフィッシャーなんてのは私はここで見せられるまでよく知りませんでした。着てみると実に強靱でいいですね。私好みです・・・もうスーツは軍服のようにガッチリ着るのが理想ですからして。そうそう、ここのタッターソールのオッドベストもいいですねえ。私は流行に関係なくゲルマン派、つまり英国、ドイツといった北方系好み、あんまりフランス、イタリアのラテン系は好みでないので、よくその手の雑誌である「イタリア男の伊達姿から盗むテクニック」みたいなのがぜんぜん興味がないのですが。ああいうのは結局、校則違反の不良ファッションじゃないですかしら?
 引き取りに行きましたら店長の久保さんがおいででした。先日、この方がメンズクラブで「英国風というのはボタンもわざと練り物で、本切羽なんてのもわざわざ開けない」というのは私も同感であります。よく英国の仕立屋さんの書いているものを英語のブログなどで見ると、「もともと本切羽なんて医者が獣医が腕まくりするためのものだよ」と書いている。なるほどです。ただまあ、調べると、たとえばナポレオンなんかも軍服(特に擲弾兵連隊の制服など)の袖口のボタンを開けて見せていますので、けっこう、地中海系の伊達者は昔から袖口本開きが好きなのかもしれない。
 それと対極のような、舞浜のTULBさんで勧められたリングヂャケットのかなり派手なチェックのスーツも出来ましたが・・・こっちはなんでもスティーブ・マックイーン・モデルというそうで、彼が映画で着ていたもののレプリカなんだとか。まあ、あんまり私はそういうことは気にしませんが・・・だって、映画スターが映画で着ていたものをコピーしたら、そりゃコスプレの一種だろうし。ヒトラーやゲーリングの制服のコピーを着てコミケで歩くのとあんまり変わらないような気がしますので。ですが、それはそれとしても非常に格好いいです。それで私もコスプレついでで、マックイーンがその「華麗なる賭け」で合わせていたような青いシャツに紺無地のタイにして初回は着てみましたが。が、次はどうしてやろうか、とこう思っております。なんかしかし、映画「大脱走」なんて見ても、しきりに格好いい、と褒めるアメカジ派の人がいると思うが、私などあの映画を見るとドイツ軍の方しか目に入らない。あれだけ赤い記章のドイツ空軍高射砲兵なんかが出てくる映画もほかにない。将校たちの制帽のあみだ被りも堂に入っております。連合軍が出てくると飛ばしてみてますが(笑)、あの映画も軍服通の見方によれば、マックイーンは米軍故にバッジが着いてないだけのフライトジャケット姿でも一応「軍服」、つまり米軍の衣料はカジュアル衣料みたいなもの、というか元祖なので、そのまま脱走して歩いていても、軍服を着ないで脱走した=スパイとして射殺していい、というのを逃れることが出来るわけですね。英軍の捕虜は一生懸命、軍服を背広に仕立て直して逃げる。で、あとで捕まったときに「制服はどうしたのか?」とドイツ将校に聞かれると「いや、制服を仕立て直しただけだ、古くなったからね」などと言い逃れるけどダメ、処刑されてしまう・・・そういう一面を感じますけどね。
 ほかにTULBさんで買ったウデシのコート、それからバセットウオーカーさんで買ったグレーのチェスターコート。格別こだわりはなかったのだが、なんだか今季もいろいろ買い込んでしまいました。
 靴はもう買わないです、しばらく。もう靴箱に入らないですはい。
 ときに、そのTULBさんが舞浜から撤退。表参道ヒルズからも撤退されたとか。ほかに丸の内でけっこう贔屓にしていたダージリン・デイズも撤退とのこと。なんか贔屓にしていたお店がなくなると残念であります・・・まあ、ちょっと銀座・丸の内界隈は店が増えすぎですよね実際。近頃は丸ビル周辺から、せいぜい大丸、有楽町丸井、マロニエゲート・・・このへんまで見ると精根尽き果てて、銀座まで出なくなってしまった。もう増えすぎですよね明らかに。
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 流行を追わない私のこと、今頃になって汐留シオサイトに行ってきました、そういえば。日テレさんも電通さんも、おまけに凸版さんも、みんな前の職場ではよくお世話になり、それぞれの本社にも行ったことがありますが、シオサイトに移ってからは全く存じ上げない。で、行ってみたのですが・・・というか、大江戸線で東京タワーに遊びに行ったとき、妻が途中の駅名コールを聞いて「あの汐留シオサイトってなんなの?」と聞くので「いやまあ、なんかあると思うがよく知らないので・・・降りてみるか」とこんないい加減な具合です。
 いやあ・・・和風ダイニングのなんとか(UNと書いてあん=庵というらしい、私はまた国連軍かなんかだと思いました)いうのに入ったのですが、すごく大げさな店内に仰天。しかしなかなかいいですなあ・・・地鶏の焼き物、牡蠣のワイン蒸し、なかなかなもの。別にグルメでも何でもないこだわりなき私ですのでなんの蘊蓄もなし。しかし飛び込みで入ったお店がなかなか当たりだと嬉しいもの。
 ぜひもう少し、汐留も開拓してみようかな、と。案外に浦安から大江戸線で30分ほどだし。と思っております。


2008年1月05日(土)
 少し遅ればせですが、明けましておめでとうございます。2008年もよろしくお願い申し上げます。
 大晦日は結局、会社で年を越すことになりました。が、宿直ではなかったので、電車も動いているので元日の早々に帰宅いたしました。柿安に頼んでおいたおせちというのがあったので、味見・・・と思う間もなく夫婦で完食。というわけで、1月1日の日の出を迎える前にわが家のおせちは消滅いたしました・・・。
 で、近所の神社に行って初詣で、ということでしたが、私は結構、月に一度は参拝しているので特に初詣でだからどうこうとも思わず、そもそも、初詣でというのは、その年の最初の参拝、その一回きりで、次は来年ね、というのでは初詣でではないですね。年一詣でといったものでしょう。
 で、翌日は東京表まで出まして、昨年末までに銀座に立ったという3大ブランドの本拠地、アルマーニタワー、ブルガリタワー、ダンヒル本店、を覗いてみました。
 が、正直の所、そんなに感銘を覚えず、まあそもそも買う気もない冷やかしなのでそれも当然か、ただしダンヒルのものはいいですねえ確かに。
 それから丸の内を通過しまして、しかし丸ビルや新丸ビルはほとんど毎日、通過しているのでパスしまして(そういえばバタクのスーツを頼んでいましたが、もうすぐ出来るのだっけ)、大丸へ。
 昨年に新装なった大丸東京店も今や立派な新名所の一つですが、まあ、本日は福袋が目当てだからこういう百貨店らしいところがいいかな、と。
 で、妻がトレンチコートがほしいというので、トレンチも入った5点セットだかの福袋を、私は下着が5枚入ったのを買いまして・・・と思えば、前からちょっと欲しかった茶色のダレスバッグ(DAKS製)を発見、3万円の福袋扱いでして、おそらく定価は5〜6万円のもの、なかなか感じもいいので買いましたです。
 で、上階のポール・ボキューズへ行きまして食事。正月はコースしかないのですがなかなかお安くてよろしい。なんかほかのお店に妙に列をなして群がっている人も多かったが、はて、フレンチは高いという先入観でもお持ちの方もいるのかも、と思いましたが。こっちは待たせることもなく、非常によい感じでありました。
 と言う具合で、正月も瞬く間に過ぎ去りまして、もう仕事しております。
 要するに、休みは3日あったわけですが、うち2日はそもそも公休の曜日なので正月は無関係。いやあ、世間じゃ9連休なんて人もいるようですが、いいですなあ。
 ということで。とにかく本年もいろいろ考えておりますが、なんだかさほど正月らしくもなかったのですが、よろしくお願いいたします。
 


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